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ライ麦畑でつかまえて タイトルの和訳の謎、と隠し味
ライ麦畑でつかまえて(J.D.サリンジャー)を読みました。5点に分けて書きます。隠し味は4に書いてあります。
1.きっかけ
2.あらすじと解説を探すならここ
3.面白かったところ
①厨二が良い感じ
②フィービーがかわいい
4.タイトルの隠し味 リンク有り(カクヨム、無料)
5.備考
1.お馴染みの「攻殻機動隊SAC」です。
作中にかなり引用されています。本書自体も登場します。
2.あらすじと解説はここ
Wikipediaさんは良いです。
ブログの一記事として感想を書く方が多くて、面白かったです。
中でも、子を持つ方が母親の視点で本書の感想を書いていたブログが面白かった。
※「ライ麦畑でつかまえて 感想」で検索すると多分1ページ目に出ます。
3.面白かったところ
①精神年齢が近い。
私は物語の最初でけっこう笑ってしまったし、ほとんどニコニコして読んでしまいました。主人公の一人称で書かれている物語です。精神年齢が近かったんだと思います。私はもう十代ではないです。この歳で厨二とは。
②フィービーがかわいい。
ホールデンに似てる性格だとも思うけど、彼らの科白がその前後の文章の伏線と絡んで、妙な幸福感を運んで来ます。
「寝るかもしれん。寝ないかもしれん。ま、心配するな」 ライ麦畑でつかまえて J.D.サリンジャー 訳 野崎孝 2009年2月20日第109刷 白水社 78頁
「行くかもしれないし、行かないかもしれない」 同書324頁
前半がホールデン(主人公)、後半がフィービー(その妹)です。引用した科白は異なる場面で言っています。
引用文それぞれの一文としての、この曖昧さ、が好きです。どっちつかずを楽しむというか、この前後の行間をどう読むか。そもそもタイトルの邦題と原題からして「ライ麦畑でつかまえて」と言いつつ「The Catcher in the Rye」ですから、この「行間案件」は確信犯だと思われます。
4. タイトルに隠してある意味
原題「The Catcher in the Rye」の意味は、遊びに夢中になり過ぎてライ麦畑から崖に落ちそうな子供を捕まえる役、です。
しかしこの上手い具合に邦題の「ライ麦畑でつかまえて」とは真逆の意味になる。
行間からホールデンを忖度すると、実は「言葉と気持ちは裏腹」で、子供を捕まえる役をしたいと言いつつ、本当はホールデン自身が自分を捕まえて欲しかった、のでは?と思っています。ここが言葉の曖昧で楽しいところですね。一文ではなく文章でどこまで読んでいくか!
訳者さんのセンスが素晴らしい。存じ上げませんが、この野崎さんはこの小説、めっちゃ好きなんだと思います。
本当とウソの対比→追及した上で周りから孤立→言葉の曖昧さで隠している自己憐憫、が私にとって面白いところでした。自己憐憫では太宰治さんの作品が上がりそうですが、文体は全然違いますね。
もうひとつのアウトプットとして5,000字前後で小説も書いているので良かったらリンク先をご覧頂けるとうれしいです(小説投稿サイト カクヨム 無料)。
https://kakuyomu.jp/works/16816700428916791612/episodes/16816700428917034715
行間を読めて、曖昧な言葉を脳内補正できる人はどこででも生きていけると思います。という高二が出てくる学園ドラマ(と思います)
5.備考
他の登場人物はどこかにひと癖あります。名前だけでその存在の登場描写がない、桐島みたいな人もいれば、同性愛を隠している可能性がある先生、弁論なのに脱線する話ばかりする同級生とか、池のアヒルの事を尋ねると決まって怒り出すタクシードライバー達。
新刊の購入費用のサポートして頂けるとありがたいです! ちなみに小説はこちらで公開しています(無料)。 https://kakuyomu.jp/users/nishimura-hir0yukl/works