二郎丸 大

ショートショートと短編小説を書いています。「また読みたい」と思ってもらえる話を書きたい…

二郎丸 大

ショートショートと短編小説を書いています。「また読みたい」と思ってもらえる話を書きたいです。 作品の投稿頻度:週2、3回(毎週ショートショートnote/シロクマ文芸部/140字小説)

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    小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加させていただいた作品をまとめています。

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    不思議な種を食べて依頼人の悩みを解決する少年の物語です。創作大賞2024の参加作品です。

記事一覧

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色とりどりのメシの種【第一話】 #創作大賞2024

【第一話】メシの種との出会い 腹が減ったら飯を食べる。至極当然のことだ。 その飯は誰が用意してくれるか。 未成年の子供の場合は、お母さん。お父さんが用意してくれる…

二郎丸 大
2か月前
28

海の日の過ごし方(140字)#シロクマ文芸部

海の日をどう過ごすべきか、ずっと考えていました。子供の日やクリスマスにプレゼントをもらうくせに、海の日を適当に過ごす自分が許せないのです。 皆さんは平気なのです…

13

海のピ #毎週ショートショートnote

暇だったので数年前まで海だったところに行ってみた。 ある日、そこは海じゃなくなったのだ。海水がなくなり、たこ焼き器の型みたいな巨大な穴がぽっかり空いて、そこから…

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夏は夜が好き(140字)#シロクマ文芸部

夏は夜が来るとほっとする。風呂に入って冷房の効いた部屋で枝豆とビール。特に見たいわけじゃないけど、テレビをつけてスポーツ中継を流す。なんてことはない話をして、た…

二郎丸 大
11日前
23

彦星誘拐 #毎週ショートショートnote

年に一度の七夕の前日。織姫の家の電話が鳴った。 「はい、もしもし」 「もしもし、織姫さんか?落ち着いて聞けよ?彦星を誘拐した」 「なんですって!」 「だから落ち…

二郎丸 大
2週間前
21

手紙には書いていません #シロクマ文芸部

手紙には、こう書いてあった。 何だ、これは。 いや、何回も読み返して今は確信している。 これはパスタの作り方に違いない。 では、なぜ薫さんは僕にこの手紙を? 薫さ…

二郎丸 大
2週間前
27

一方通行風呂 #毎週ショートショートnote

「おーい、カヨ、帰ったぞ。風呂に入りてぇなぁ」 「もう。わざわざ私に言わなくていいから。勝手に入ってください」 「おお、珍しい!今日は返事してくれるんか。いつも…

二郎丸 大
3週間前
19

ラムネの音と正義感 #シロクマ文芸部

ラムネの音が合図だった。 「みっちゃん、行こう!」 僕はみっちゃんの手を引いて走り出した。 みっちゃんのお父さんの振りをした男はラムネの瓶を持ったまま怒鳴ってい…

二郎丸 大
3週間前
23

天ぷら不眠 #毎週ショートショートnote

和食の職人になって20年。 たいていのものは上手く作れる。 だが、天ぷらだけは満足のいく出来にならない。 それを客に出している自分が許せない。 最近は眠れないほど悩む…

二郎丸 大
4週間前
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創作大賞2024の参加作品、なんとか書き上げることができました。読んでくださる皆様のスキや温かいコメントのおかげです。この場をお借りして御礼を言わせてください。ありがとうございました。noteで書いていて本当に良かったなと思います。

https://note.com/hiroshi_jiromaru/n/n4d75bbbee403

二郎丸 大
1か月前
13

色とりどりのメシの種【最終話】 #創作大賞2024

月曜日を憂鬱に思わない人なんていない。 そう思って生きてきたけど、目の前にいる男は月曜日が好きらしい。道理で話が合わないと思った。 「さて、サトシ君、いよいよだ…

二郎丸 大
1か月前
19

隔週警察 #毎週ショートショートnote

面倒くさい世の中になったもんだ。 警察になりたい奴が減っちまって、今じゃ誰もが隔週で警察になる法律ができちまった。 俺なんか大きな声では言えないが、人の弱みにつ…

二郎丸 大
1か月前
17

色とりどりのメシの種【第八話】 #創作大賞2024

紫陽花を見ると、あの日の事を思い出す。 動かなくなったサトシを抱っこ紐で背負い、泣き叫ぶユイを抱き抱えながら、森を抜けてタクシーを拾った。行き先を告げた覚えはな…

二郎丸 大
1か月前
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友情の総重量 #毎週ショートショートnote

私、元々は友達が少なくて本ばっかり読んでいたんだけど、このままじゃ駄目だと思って高校入学と同時に変わったの。 友達100人作る勢いで社交的になった。 そしたら、だん…

二郎丸 大
1か月前
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色とりどりのメシの種【第七話】 #創作大賞2024

雨を聴く余裕もなく、とある神社の裏の森を僕達は歩いている。 僕がひとりで行くと言ったら君は嫌だと言った。 危険なところにひとりで行って勝手にいなくなるのは許せな…

二郎丸 大
1か月前
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てるてる坊主のラブレター #毎週ショートショートnote

ねえ。 見えてる? 僕の後頭部。 ちゃんと見てよね。 ちょっとそそっかしくて気まぐれだけど、とっても良い子なんだ。 初めて作ったんだって、てるてる坊主。 僕が第一号…

二郎丸 大
1か月前
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色とりどりのメシの種【第一話】 #創作大賞2024

色とりどりのメシの種【第一話】 #創作大賞2024

【第一話】メシの種との出会い

腹が減ったら飯を食べる。至極当然のことだ。
その飯は誰が用意してくれるか。
未成年の子供の場合は、お母さん。お父さんが用意してくれる家も多いだろう。
でも、これは当たり前のことではないと知っている。

ウチの場合、ばあちゃんが飯を用意してくれていた。
俺達には両親がいない。生きているか死んでいるかも分からない。ある日、目の前からいなくなってしまったのだ。
だから、じ

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海の日の過ごし方(140字)#シロクマ文芸部

海の日の過ごし方(140字)#シロクマ文芸部

海の日をどう過ごすべきか、ずっと考えていました。子供の日やクリスマスにプレゼントをもらうくせに、海の日を適当に過ごす自分が許せないのです。

皆さんは平気なのですか?もっと一日一日を大切にすべきではないでしょうか?

あ、美香さん。ご意見どうぞ。

「黙って休めば?面倒くさい」

そ、そうします!

※シロクマ文芸部に参加させていただきました(遅刻してすみません🙇)
#シロクマ文芸部 #海の日

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海のピ #毎週ショートショートnote

海のピ #毎週ショートショートnote

暇だったので数年前まで海だったところに行ってみた。

ある日、そこは海じゃなくなったのだ。海水がなくなり、たこ焼き器の型みたいな巨大な穴がぽっかり空いて、そこから黒くて深い溝が遠くまで続いている。原因はよくわかっていないらしい。

その巨大な穴の奥底をじっと見つめていると、空飛ぶ何かがグングン目の前に迫ってきて、あっという間に目の前に降り立った。

全身白タイツで顔も真っ白。白粉を塗っているわけで

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夏は夜が好き(140字)#シロクマ文芸部

夏は夜が好き(140字)#シロクマ文芸部

夏は夜が来るとほっとする。風呂に入って冷房の効いた部屋で枝豆とビール。特に見たいわけじゃないけど、テレビをつけてスポーツ中継を流す。なんてことはない話をして、たまに笑う。〆に素麺か何か啜って眠る。
翌日、やっぱり朝が来る。もうギラギラしている。何をそんなに怒っているのか。暑いなあ。

※シロクマ文芸部に参加させていただきました
#シロクマ文芸部 #夏は夜 #思い浮かんだことを140字で #小説は

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彦星誘拐 #毎週ショートショートnote

彦星誘拐 #毎週ショートショートnote

年に一度の七夕の前日。織姫の家の電話が鳴った。

「はい、もしもし」

「もしもし、織姫さんか?落ち着いて聞けよ?彦星を誘拐した」

「なんですって!」

「だから落ち着けって。明日、会いたいよな?俺の言うことを聞けば彦星は無事に返してやるよ」

「お金ならいくらでも払うから彦星を返して!」

「へへへ、そう来なくっちゃ。金額は……」

「なーんちゃって」

「え?」

「彦星とは年一で会ってるけ

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手紙には書いていません #シロクマ文芸部

手紙には書いていません #シロクマ文芸部

手紙には、こう書いてあった。

何だ、これは。
いや、何回も読み返して今は確信している。
これはパスタの作り方に違いない。

では、なぜ薫さんは僕にこの手紙を?
薫さんは僕の高校のサッカー部のマネージャーをしている、ひとつ上の先輩だ。

薫さんは何でもよく気が付いて、明るい笑顔で部員みんなを励ましてくれる。
当然、全男子部員の憧れの人だ。

そんな薫さんが僕に手紙を手渡しでくれた。
「誰もいないと

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一方通行風呂 #毎週ショートショートnote

一方通行風呂 #毎週ショートショートnote

「おーい、カヨ、帰ったぞ。風呂に入りてぇなぁ」

「もう。わざわざ私に言わなくていいから。勝手に入ってください」

「おお、珍しい!今日は返事してくれるんか。いつもは何も言ってくれないのに」

「何言ってるの。私は毎回返事してますよ、面倒くさいけど。私の返事に反応するアンタの方が珍しいわ、こっちからしたら」

「そっかそっか、悪かったな。
 ……久しぶりに一緒に入らないか?」

「何言ってるのよ!

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ラムネの音と正義感 #シロクマ文芸部

ラムネの音と正義感 #シロクマ文芸部

ラムネの音が合図だった。

「みっちゃん、行こう!」

僕はみっちゃんの手を引いて走り出した。
みっちゃんのお父さんの振りをした男はラムネの瓶を持ったまま怒鳴っている。

「ちょ、アレ?なんだ、おい、こら、待て!」

待たない。
あんな奴の言うことなど聞けない。
僕は昨日みっちゃんから聞いたんだ。
アイツがみっちゃんにしていること。
人として絶対に許せなかった。

だから今日のお祭りで、みっちゃん

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天ぷら不眠 #毎週ショートショートnote

天ぷら不眠 #毎週ショートショートnote

和食の職人になって20年。
たいていのものは上手く作れる。
だが、天ぷらだけは満足のいく出来にならない。
それを客に出している自分が許せない。
最近は眠れないほど悩むようになっていた。

尊敬する天ぷら職人に恥を忍んでコツを聞いてみた。

「どんなものでもそうだけどタイミングが大事だ」

そうなのだ。
天ぷらは油から上げるタイミングが重要なのだ。
同じ素材で作るなら、違いはそこしかないはずだ。

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創作大賞2024の参加作品、なんとか書き上げることができました。読んでくださる皆様のスキや温かいコメントのおかげです。この場をお借りして御礼を言わせてください。ありがとうございました。noteで書いていて本当に良かったなと思います。

https://note.com/hiroshi_jiromaru/n/n4d75bbbee403

色とりどりのメシの種【最終話】 #創作大賞2024

色とりどりのメシの種【最終話】 #創作大賞2024

月曜日を憂鬱に思わない人なんていない。
そう思って生きてきたけど、目の前にいる男は月曜日が好きらしい。道理で話が合わないと思った。

「さて、サトシ君、いよいよだよ」

「何がですか?」

「最終決戦だ」

「は?」

月曜日の朝早くからやってきたと思ったら、マツダはよく分からないことを言い出した。

「マツダさん、ごめんなさい。何を言ってるか分かりません」

「そうだろうとも!僕もそうだった。あ

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隔週警察 #毎週ショートショートnote

隔週警察 #毎週ショートショートnote

面倒くさい世の中になったもんだ。
警察になりたい奴が減っちまって、今じゃ誰もが隔週で警察になる法律ができちまった。

俺なんか大きな声では言えないが、人の弱みにつけ込んで儲けているんだよ。今週もいつもの調子で善良な市民を騙して儲けたんだけど、来週どのツラ下げて警察やればいいんだ?ククク。

自慢じゃないけど悪いことやってる奴は見たらすぐ分かるんだ。仲間も多いしな。でも、警察の週だからって仲間は逮捕

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色とりどりのメシの種【第八話】 #創作大賞2024

色とりどりのメシの種【第八話】 #創作大賞2024

紫陽花を見ると、あの日の事を思い出す。

動かなくなったサトシを抱っこ紐で背負い、泣き叫ぶユイを抱き抱えながら、森を抜けてタクシーを拾った。行き先を告げた覚えはないが、タクシーは実家に着いた。

玄関に青い紫陽花が飾ってあったことだけは覚えている。たぶん母さんに色々聞かれたと思うが、放心して何も言わなかったに違いない。気づいた時は朝ごはんの納豆をかき混ぜていた。

「母さん、サトシは?」
一番気に

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友情の総重量 #毎週ショートショートnote

友情の総重量 #毎週ショートショートnote

私、元々は友達が少なくて本ばっかり読んでいたんだけど、このままじゃ駄目だと思って高校入学と同時に変わったの。
友達100人作る勢いで社交的になった。

そしたら、だんだん身体が重くなってきたんだよね。

「ねえ、あの子とあんまり仲良くしないで。私達、友達でしょう」

う、うん。

「ねえ、修学旅行、どのコースにする?Bコース以外、考えられないよね?」

う、うん。

「ねえ、優子、もしかして小林君

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色とりどりのメシの種【第七話】 #創作大賞2024

色とりどりのメシの種【第七話】 #創作大賞2024

雨を聴く余裕もなく、とある神社の裏の森を僕達は歩いている。

僕がひとりで行くと言ったら君は嫌だと言った。

危険なところにひとりで行って勝手にいなくなるのは許せない。あなたがやろうとしていることを私は最後まで見届けたいの。この子も知っておくべきよ。だから私達も一緒に行く。

君はそう言って譲らなかった。
「この子はまだ二歳だよ?」とか言って反論することもできたけど、君を知る僕はそんな事を言っても

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てるてる坊主のラブレター #毎週ショートショートnote

てるてる坊主のラブレター #毎週ショートショートnote

ねえ。
見えてる?
僕の後頭部。
ちゃんと見てよね。

ちょっとそそっかしくて気まぐれだけど、とっても良い子なんだ。
初めて作ったんだって、てるてる坊主。
僕が第一号なんだよ、この子にとっての。

光栄だな。
みんな作ってくれなくなるじゃない?
なんだろね、僕達の力を信じなくなっていくのかな、大人になると。
僕達がちゃんと仕事をすれば晴れるのにね。
仕事というか君とこうやって通信するってことなんだ

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