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毎週ショートショートnote

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たらはかにさんの企画に参加させていただいた作品をまとめています。
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記事一覧

海のピ #毎週ショートショートnote

海のピ #毎週ショートショートnote

暇だったので数年前まで海だったところに行ってみた。

ある日、そこは海じゃなくなったのだ。海水がなくなり、たこ焼き器の型みたいな巨大な穴がぽっかり空いて、そこから黒くて深い溝が遠くまで続いている。原因はよくわかっていないらしい。

その巨大な穴の奥底をじっと見つめていると、空飛ぶ何かがグングン目の前に迫ってきて、あっという間に目の前に降り立った。

全身白タイツで顔も真っ白。白粉を塗っているわけで

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彦星誘拐 #毎週ショートショートnote

彦星誘拐 #毎週ショートショートnote

年に一度の七夕の前日。織姫の家の電話が鳴った。

「はい、もしもし」

「もしもし、織姫さんか?落ち着いて聞けよ?彦星を誘拐した」

「なんですって!」

「だから落ち着けって。明日、会いたいよな?俺の言うことを聞けば彦星は無事に返してやるよ」

「お金ならいくらでも払うから彦星を返して!」

「へへへ、そう来なくっちゃ。金額は……」

「なーんちゃって」

「え?」

「彦星とは年一で会ってるけ

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一方通行風呂 #毎週ショートショートnote

一方通行風呂 #毎週ショートショートnote

「おーい、カヨ、帰ったぞ。風呂に入りてぇなぁ」

「もう。わざわざ私に言わなくていいから。勝手に入ってください」

「おお、珍しい!今日は返事してくれるんか。いつもは何も言ってくれないのに」

「何言ってるの。私は毎回返事してますよ、面倒くさいけど。私の返事に反応するアンタの方が珍しいわ、こっちからしたら」

「そっかそっか、悪かったな。
 ……久しぶりに一緒に入らないか?」

「何言ってるのよ!

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天ぷら不眠 #毎週ショートショートnote

天ぷら不眠 #毎週ショートショートnote

和食の職人になって20年。
たいていのものは上手く作れる。
だが、天ぷらだけは満足のいく出来にならない。
それを客に出している自分が許せない。
最近は眠れないほど悩むようになっていた。

尊敬する天ぷら職人に恥を忍んでコツを聞いてみた。

「どんなものでもそうだけどタイミングが大事だ」

そうなのだ。
天ぷらは油から上げるタイミングが重要なのだ。
同じ素材で作るなら、違いはそこしかないはずだ。

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隔週警察 #毎週ショートショートnote

隔週警察 #毎週ショートショートnote

面倒くさい世の中になったもんだ。
警察になりたい奴が減っちまって、今じゃ誰もが隔週で警察になる法律ができちまった。

俺なんか大きな声では言えないが、人の弱みにつけ込んで儲けているんだよ。今週もいつもの調子で善良な市民を騙して儲けたんだけど、来週どのツラ下げて警察やればいいんだ?ククク。

自慢じゃないけど悪いことやってる奴は見たらすぐ分かるんだ。仲間も多いしな。でも、警察の週だからって仲間は逮捕

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友情の総重量 #毎週ショートショートnote

友情の総重量 #毎週ショートショートnote

私、元々は友達が少なくて本ばっかり読んでいたんだけど、このままじゃ駄目だと思って高校入学と同時に変わったの。
友達100人作る勢いで社交的になった。

そしたら、だんだん身体が重くなってきたんだよね。

「ねえ、あの子とあんまり仲良くしないで。私達、友達でしょう」

う、うん。

「ねえ、修学旅行、どのコースにする?Bコース以外、考えられないよね?」

う、うん。

「ねえ、優子、もしかして小林君

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てるてる坊主のラブレター #毎週ショートショートnote

てるてる坊主のラブレター #毎週ショートショートnote

ねえ。
見えてる?
僕の後頭部。
ちゃんと見てよね。

ちょっとそそっかしくて気まぐれだけど、とっても良い子なんだ。
初めて作ったんだって、てるてる坊主。
僕が第一号なんだよ、この子にとっての。

光栄だな。
みんな作ってくれなくなるじゃない?
なんだろね、僕達の力を信じなくなっていくのかな、大人になると。
僕達がちゃんと仕事をすれば晴れるのにね。
仕事というか君とこうやって通信するってことなんだ

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祈願上手 #毎週ショートショートnote

祈願上手 #毎週ショートショートnote

あーなんであんな約束したんだろう。
じゃんけんで負けたら下界に降りるだなんて。

あれから30年。
結構、大変だな、人間も。

まあ、俺はね、天界の者ゆえに不思議な力が使えたからね。何回かズルしたよ。神頼みするフリしてね。

そしたらアイツが神頼みすると必ず願いが叶うみたいな噂が立っちゃって。嫌だねぇ、噂する人間は。
ま、いいや。それでさ、何回か代わりに神頼みしてくれって頼まれてさ。面白がって叶え

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文学トリマー #毎週ショートショートnote

文学トリマー #毎週ショートショートnote

近頃は文学を飼う人も減ってきて、文学とは何かも分かっていない文学もどきが大きな顔をして歩いている。

文学の志がある者としては黙っていられない。
古き良き文学を取り戻すため、この私が文学トリマーとして誤った文学はハサミでカットしてやろう。

なんだ、アイツは。
つまらんことをダラダラと書きおって!
こんなものは文学ではない!
チョキチョキ。

こっちは?ふん!
ありもしないことをさもあるかのように

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二億斉藤 #毎週ショートショートnote

二億斉藤 #毎週ショートショートnote

私の名前は斉藤権蔵、六十歳。

斉藤という苗字が多いことはよく知られているが、年に一度、評価会が行われることを知る人は少ないだろう。

斉藤姓の幹部が集まり、被評価者が何斉藤に値するのか評価する。評価対象年齢は六十歳で、まさに今年、私は評価される。私は何斉藤なのか。

好むと好まざるとに関わらず、六十歳になったら何斉藤か評価されてしまうのだ。この評価会は斉藤姓にとって呪いとも言うべきものかもしれな

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放課後ランプ #毎週ショートショートnote

放課後ランプ #毎週ショートショートnote

高校に進学したけど毎日つまらない。昼休みに図書館に行って面白そうな本を探すのが最近の唯一の楽しみ。

今日は自然と一冊の本が目に入った。

『放課後ランプ』

手に取って中を見るとタイトル以外は白紙で、最後のページにこう書いてあった。

チャイムが鳴ったので本を借りて図書館を出た。

ランプのある所って……。

午後の授業は何も頭に入らなかった。

放課後、理科室に行ってみたけど誰もいなかった。な

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トラネキサム酸笑顔 #毎週ショートショートnote

トラネキサム酸笑顔 #毎週ショートショートnote

「オイ、ゴホン、オマエ、ゴホゴホ、起キロ」

え?誰?

「オイ、ゴホン、起キロッテバ」

嫌だ、怖い。寝た振りしよう。

「寝タ振リヲシテモ無駄ダ。俺ハ宇宙人ダゾ」

ガーン。
風邪ひいてるならマスクしてよ。
宇宙の風邪ってヤバそう。

「宇宙ノ風邪デハナイ。地球ノ風邪ダ」

本当に?

「本当ダ。何トカシロ」

病院行け。

「病院?テ言ウカ、ソロソロ直接話セ」

仕方なく起き上がると、いかに

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春ギター #毎週ショートショートnote

春ギター #毎週ショートショートnote


これが
これこそが
俺がお前に
見せたかった
春の風景


「どう?」

曲が出来るといつも最初にミー子に聴いてもらう。

「うーん、なんだろ、全然春って感じがしないのよね……あ、わかった!ギターの音が春っぽくないのよ。日本海が目の前に広がってる感じ。寒い」

「春の音を出せばいいんだな」

「駅前にギター教室できてたよ。行ってみたら」

そう言ってミー子がビラを渡してきた。
「春ギター教室

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花冷え全員集合 #毎週ショートショートnote

花冷え全員集合 #毎週ショートショートnote

「お父さん、今日なんか寒いね。桜も咲いたのに」

三女の夏子が帰ってきた。
高校生にもなれば父親となんか話したくもないだろうに、毎日何かしら声をかけてくれる。

「花冷えっていうらしいぞ。風邪引くなよ」

「何それ、知らない」

「俺も今日知ったよ」

「なーんだ」

呼び鈴が鳴った。
玄関のドアを開けると、長男の春生が立っていた。今年の春から大学生で一人暮らしをしている。

「なんだ、何しに帰っ

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