まつもと ひろみ

大阪のホームレス支援NPO・Homedoorで働く人の個人的な意見を綴る場所です。信楽…

まつもと ひろみ

大阪のホームレス支援NPO・Homedoorで働く人の個人的な意見を綴る場所です。信楽焼たぬきと海月と鬼瓦と純米吟醸が好きです。ゆるゆる生きていきたいのに、なぜか人生がハプニングだらけです。

マガジン

  • ホームレス問題にまつわるエトセトラ

    生活困窮者支援の現場にいるわたしが感じたことをまとめたマガジン

  • 子宮頸ガンにまつわるアレコレ

    アラサー独身女が子宮頸ガンと一緒に生きるなかで見たこと、触れたこと、感じたことのごった煮。

記事一覧

改めて『渋谷ホームレス殺人事件』を考える

『夜明けまでバス停で』という映画を見た。『渋谷ホームレス殺人事件』をモチーフにしたものだ。 さきに断っておくと、実際に起きた出来事と映画の中身は全く別物だと捉え…

引力のおかげで、『アイム展』ができました。

アイムという写真集を今年作成しました。いろんな立場の人がそれぞれの思いを乗せてくれたおかげで完成した一冊です。制作経緯は以下をどうぞ。 まさか自分が写真集をつく…

わたしにとっての『アイム』とは。

この度、写真集をつくりました。 まさか自分がクラウドファンディングで資金を集め、本をつくることになろうとは思ってもみませんでした。たくさんの奇跡と情熱の結晶が長…

「ホームレスになった時、誰とも話したくなかった」という言葉を紐解く。

先日、ある新聞社の取材をひとりの人が引き受けてくれた。わたしが働いているホームレス状態の人たちのサポートを行っているHomedoorで、数年前に関わっていた人だ。2年前…

「書いてくれてありがとう」とたくさん言われた1年でした。

2020年は溢れ出る言葉を、たくさん外に発信しました。前ガン病変が見つかり、手術することになって、それはそれは心が荒れました。ステイホーム期間中とダダかぶりで、誰か…

恐怖の術後体験記 ー円錐切除術・術後レポー

子宮頸ガンと向き合うアラサー独身女の独白はまだ続きます。よかったら読んでください。 術前は手術への不安で心折れそうだったんですが、術後はこれからの不安と体力の回…

匿名の貴方へのお返事に代えて。

ある日、勤務先のNPOにわたし宛の手紙が届いていた。驚くことに、その人はどうやらわたしのnoteを見てお手紙をしたためてくれたというのだ。 わたしが送り主に対して陰性…

言葉を分けたら、ゆたかさが増えた。

ある日のことを書こうと思う。仕事のことで落ち込んでいる人がいた。わたしが大事にしている言葉をLINEで届けた。 「大事な言葉なのに、共有してくれてありがとう。」と言…

円錐切除術は怖くないし、痛くない! ー手術・入院レポー

手術前に同じ手術(LEEP法)を受けた人のブログ読みたいなと思って探したんですが、なんだかあまり詳細に書かれたものがなくて。同じような思いをする人が減ればなと思い、記…

アラサー独身女が子宮頸ガンについて真剣に悩んだから、ここに全てを残しておこうと思う。

「どうします、手術しますか?」 そんな言葉を聞く日が来ると思ってなかった。否、来て欲しくなかった。 *** 2019年の夏になる少し前からわたしは不正出血に悩まされ…

揺れるカーテンと蘇生していく心。

人生で初めての手術をした経過と心情を克明に記録している。でもまだわたしはそれを公開できないでいる。向き合う時間を散々取ったけど、まだまだ足りないみたいだ。病気と…

きっとそれは、コーヒーに落とした角砂糖。

わたしは感情が動くと、文章を書きたくなってしまう。病的なものなんじゃないかと自分でも思うほどに。 少し前、ある人に自分が抱えている苦しみの話をした。あまりつまび…

withコロナで生きていくために。

ああ。このままじゃ、破滅の一途だ。 コロナウイルス感染拡大のニュースが流れてくるたび、暗澹たる気持ちになりました。リーマンショック以上に恐ろしいことが起きるだろ…

おうち時間にnoteを書こう

自由に行きたいところに行けない日々が1ヶ月以上続いています。元々お家にいるのはさほど苦ではない性分ですが、旅に出られないことが個人的にはとてもストレスです。 も…

人生は「好き」を集める旅だ。

わたしはたまに狂ったように言葉を綴る。何時間もかけて書き続けるから、たまに自分が何者なのかと思うこともある。 それだけ時間をかけ結晶化した言葉たちは、いざという…

国際女性デーによせて。

わたしは他の人と比べると、人に対してあまり怒りを覚えないほうだと思っている。でも、どうしても、どうしてもゆるせない人がいる。 それは思春期の頃に、安全を脅かして…

改めて『渋谷ホームレス殺人事件』を考える

『夜明けまでバス停で』という映画を見た。『渋谷ホームレス殺人事件』をモチーフにしたものだ。 さきに断っておくと、実際に起きた出来事と映画の中身は全く別物だと捉えるべきものだと思う。 『渋谷ホームレス事件』とは、東京都にあるバス停付近で野宿生活をしていた60代の女性が、バス停の近隣に住む40代の男性に殴打され亡くなった2020年の事件である。 所持金8円。弟の連絡先が書かれたメモがウエストポーチから出てきた。 それが意味することは何だったのだろう。つながりを持ちたいと思

引力のおかげで、『アイム展』ができました。

アイムという写真集を今年作成しました。いろんな立場の人がそれぞれの思いを乗せてくれたおかげで完成した一冊です。制作経緯は以下をどうぞ。 まさか自分が写真集をつくることになるとは少し前まではつゆにも思わず、「なんでこんなことになったんだっけ?」と感じる時がよくありました。 取材などで『アイム』について話すことがこのところ多かったのですが、最近その答えが分かったような気がします。 『アイム』と写真たちには不思議な引力があるのだ、と。 関わってくれているアートディレクターさ

わたしにとっての『アイム』とは。

この度、写真集をつくりました。 まさか自分がクラウドファンディングで資金を集め、本をつくることになろうとは思ってもみませんでした。たくさんの奇跡と情熱の結晶が長方形の形になって今、私の手元にあることに静かな感動を覚えています。 公式のインタビューに写真集をつくることになった経緯は書いてあるので、未読の方はぜひ読んでいただきたいです。 https://note.com/homedoor/n/n7cc922584c11 写真集の素晴らしさはすでに上記のリンクにあるとおりなの

「ホームレスになった時、誰とも話したくなかった」という言葉を紐解く。

先日、ある新聞社の取材をひとりの人が引き受けてくれた。わたしが働いているホームレス状態の人たちのサポートを行っているHomedoorで、数年前に関わっていた人だ。2年前から、セキュリティ関係の会社で日夜問わず働いていて、久しぶりに会うと恰幅が良くなっていた。 ニコニコと取材に応じてくれていたなかで、一度だけその人が語気をぐっと強めた。 「ホームレスになった時はな、誰とも話したくなかった」 なんだか、その言葉を忘れることができなかった。1時間強の取材の中で、同席していたわ

「書いてくれてありがとう」とたくさん言われた1年でした。

2020年は溢れ出る言葉を、たくさん外に発信しました。前ガン病変が見つかり、手術することになって、それはそれは心が荒れました。ステイホーム期間中とダダかぶりで、誰かに直接話を聞いてもらうことも難しく、全く苦でなかったはずの一人暮らしの盲点をたくさん見せつけられた日々でもありました。 今でも定期検診の前後は憂鬱で仕方ありません。あと4年以上通院は続けないといけないわけで、その日が近づくたびに重苦しい気持ちになります。 そんな中ひとつだけ救いがあるとすれば、このnoteを書き

恐怖の術後体験記 ー円錐切除術・術後レポー

子宮頸ガンと向き合うアラサー独身女の独白はまだ続きます。よかったら読んでください。 術前は手術への不安で心折れそうだったんですが、術後はこれからの不安と体力の回復でこれまた大変。手術後の体の違和感、痛み、体力の回復の遅さ、長く続く出血、日常生活に戻れない苛立ち、崩れる精神バランス、これまでと違う生理痛への恐怖、これからの生活のあり方…。 学んだことはたくさんあるけど、正直もう経験したくない辛い1ヶ月でした。 ▼術後の日々術後1日目 とにかくしんどい。ベッドにはりつけの

匿名の貴方へのお返事に代えて。

ある日、勤務先のNPOにわたし宛の手紙が届いていた。驚くことに、その人はどうやらわたしのnoteを見てお手紙をしたためてくれたというのだ。 わたしが送り主に対して陰性感情を持っているかもしれないと思っていることが文章から読み取れた。 「わたしの古い知り合いだけど臆病なので名前は書けない」と書いてくれていた。本当に臆病なら、そんな風にわたしが思っているかもしれないのに、お手紙なんて出せないよ。 どなたか分からなけれど、勇気を出してお手紙を送ってくれてありがとう。時間をかけ

言葉を分けたら、ゆたかさが増えた。

ある日のことを書こうと思う。仕事のことで落ち込んでいる人がいた。わたしが大事にしている言葉をLINEで届けた。 「大事な言葉なのに、共有してくれてありがとう。」と言われた。不思議な感覚だった。大好きな言葉だからこそ、たくさんの人に知ってほしいと思った。 それからしばらく考えた。言葉に限らず、大事にしているものや大切な人を自分だけの檻に閉じ込めてしまうことはもったいないことだと思った。 奪うばかりの人でなく、貰うばかりの人でなく、贈ることのできる人でありたい。自分にとって

円錐切除術は怖くないし、痛くない! ー手術・入院レポー

手術前に同じ手術(LEEP法)を受けた人のブログ読みたいなと思って探したんですが、なんだかあまり詳細に書かれたものがなくて。同じような思いをする人が減ればなと思い、記録しておきます。あくまでわたしの経験なので、参考にならないこともあるとご承知の上でお読みください。 円錐切除術を受ける方ご本人だけでなく、パートナーさん/ご家族さんにもぜひ読んでもらいたいです。 手術に至るまでのことはこちらに載せてます。(反響とサポートが多くてびっくりでした、本当にありがとうございました。)

アラサー独身女が子宮頸ガンについて真剣に悩んだから、ここに全てを残しておこうと思う。

「どうします、手術しますか?」 そんな言葉を聞く日が来ると思ってなかった。否、来て欲しくなかった。 *** 2019年の夏になる少し前からわたしは不正出血に悩まされていた。散々悩んで病院に行くことにし検査を受けた。数日後、電話で「子宮頸ガンの疑いがあるから大きい病院で精密検査を受けてください」と言われた。 全く予期せぬ言葉だったので、頭が一瞬真っ白になった。その時、わたしは27歳。ガンについて考えたのは、生命保険加入時の「ガン保険かぁ。どうしようかな。入っといたほうが

揺れるカーテンと蘇生していく心。

人生で初めての手術をした経過と心情を克明に記録している。でもまだわたしはそれを公開できないでいる。向き合う時間を散々取ったけど、まだまだ足りないみたいだ。病気と一緒に生きていくということは、そう簡単じゃない。 退院後、わたしは引きこもり続けていた。一度だけコンビニに出かけてみたけど、あまりにしんどくてそれ以来ずっと太陽の光をを浴びていなかった。 バスソルトを入れた浴槽に身をしずめて、考え事をする時間がわたしはとても好きだ。とても穏やかな内省の時間がそこにあるから。でも今の

きっとそれは、コーヒーに落とした角砂糖。

わたしは感情が動くと、文章を書きたくなってしまう。病的なものなんじゃないかと自分でも思うほどに。 少し前、ある人に自分が抱えている苦しみの話をした。あまりつまびらかにしたくはなかったはずなのに、なんとなく話してしまった。いつかその苦しみが溶けてなくなればいいのに、と。 すると、思いもよらぬ返事が来た。 「コーヒーに落とした角砂糖みたいなものなんですよ、きっと」 たまらなく素敵な言葉だと思った。 わたしはコーヒーが飲めない。それでも、コーヒーに角砂糖を落として、くるり

withコロナで生きていくために。

ああ。このままじゃ、破滅の一途だ。 コロナウイルス感染拡大のニュースが流れてくるたび、暗澹たる気持ちになりました。リーマンショック以上に恐ろしいことが起きるだろう、と2月の終わり頃から思い始めるようになりました。 わたしはホームレスの人たちに関わるようになって、16年ほど経ちます。 ▼経過はこちらに詳しく書いていますので気になる方はよかったら▼ リーマンショックといえば、2008年。わたしはまだ高校生でした。その後大量の派遣社員が失業することになり、派遣村ができました。

おうち時間にnoteを書こう

自由に行きたいところに行けない日々が1ヶ月以上続いています。元々お家にいるのはさほど苦ではない性分ですが、旅に出られないことが個人的にはとてもストレスです。 もともと3月と4月にそれぞれ海外に出張に行く予定があったので、旅に行くのはずっと我慢していました。しかし両方なくなってしまい、かれこれ半年近く自由気ままな旅ができていません。 家でご飯をつくるのも好きですが、ふらーっと美味しいご飯屋さん開拓をするのも好きなので、それができないのもまたちょっと辛いです。 と、まあ個人

人生は「好き」を集める旅だ。

わたしはたまに狂ったように言葉を綴る。何時間もかけて書き続けるから、たまに自分が何者なのかと思うこともある。 それだけ時間をかけ結晶化した言葉たちは、いざという時に他の誰でもなくわたし自身をとても励ましてくれる。心が砕けてしまいそうなかなしい時ほど、急に自分の言葉を思い出す。ああ、綴ってきて良かったとその度に心がきゅうっとなる。 発信し続けることで、いつのまにか誰かに何かが伝播していることもまた嬉しい。先日10年くらい連絡を取っていなかった友人が手紙を送ってくれた。そこに

国際女性デーによせて。

わたしは他の人と比べると、人に対してあまり怒りを覚えないほうだと思っている。でも、どうしても、どうしてもゆるせない人がいる。 それは思春期の頃に、安全を脅かしてきた男の人たちである。 幾度となく10代の頃、嫌な思いをしてきた。わたしはなぜか電車ではなく路上でしばしば痴漢に遭った(電車でも毎日痴漢してくる人もいたけれど。でも電車では誰かが助けてくれた。人気のない路上ではどれだけ声をあげても周りには人はいなかった。)。 勝手に触ってきたあげく「お金欲しくない?」と声をかけて