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揺れるカーテンと蘇生していく心。

人生で初めての手術をした経過と心情を克明に記録している。でもまだわたしはそれを公開できないでいる。向き合う時間を散々取ったけど、まだまだ足りないみたいだ。病気と一緒に生きていくということは、そう簡単じゃない。

退院後、わたしは引きこもり続けていた。一度だけコンビニに出かけてみたけど、あまりにしんどくてそれ以来ずっと太陽の光をを浴びていなかった。

バスソルトを入れた浴槽に身をしずめて、考え事をする時間がわたしはとても好きだ。とても穏やかな内省の時間がそこにあるから。でも今のわたしは1ヶ月ものあいだ、湯船につかることができない。

普段できていることが何もできない。その事実に気持ちがどんどん塞いでしまう。

でもそんななか、たくさんの人がいろんな形で連絡をしてくれた。カラカラに乾いていたわたしの心が満たされていく。感謝の気持ちでいっぱいになった。こんなにも人はやさしくて思慮深くてあたたかいのかと思わされるばかりだった。

そんなふうに思えるようになってから、わたしは閉め切っていた窓を開けた。

春の風がカーテンをふわりと揺らす。なんてうつくしいんだと思った。鳥のさえずりが聞こえる。なんて心地よいんだろうと思った。

他にもたくさんの音が聞こえる。生活音が踊るように跳ねるようにわたしの耳に入ってくる。途切れていた感情の回路がゆっくりと繋がっていく。心が蘇生されていく。

この感情の動きや揺らぎを感じる時間を持てるようになったことは、とても大きいと思う。

本心では早く心も身体も元気になりたいとは思うけど、ゆっくりゆっくり蘇生していく時間を大事にしていきたい。きっとこの人生を振り返った時、とても愛すべき時間になるだろうから。

普段の自分ならしないことに、サポートの費用は使いたいと思います。新しい選択肢があると、人生に大きな余白が生まれる気がします。