見出し画像

2017年とにかく聞いた曲 5曲 ( その2 ) - 35分 音だけで再現する "銀河鉄道の夜" の世界

こんにちは!

今日は昨日に引き続き、僕が2017年「これでもか!」ってくらい聞いた曲の1曲について書きます。

BGM : Kashiwa Daisuke / Stella

=================

今日書くのは、昨日haruka nakamuraに興奮して書けなかった Kashiwa Daisuke の "Stella" です。


=================

僕は今年、この曲をとにかく繰り返し繰り返し何度も聞きました。
それでも、多分トータルで 20回くらいしか聞けていないんじゃないかと思います。

なぜか。

それはこの1曲が 35分あるからです。

3分くらいの曲だったら 20回聞いても1時間ですが、この曲を 20回聞くのは 10時間かかります。

昨日書いた haruka nakamura の2曲も割と長い曲でしたが、その2曲を足してもまだ Stella には敵わない、超壮大な一曲です。

=================

去年の12月31日大晦日。
僕は「今年一年を締めくくる一曲に何を聞こう?」と部屋でパソコンを前に考えていました。

考えた結果、僕はこの曲を選び、部屋を真っ暗にしてベッドに横たわってパソコンから伸ばしたヘッドフォンを耳に当てて聞いていました。

音を通して頭の中に広がる35分間のドラマチックな世界に没頭していました。

今年に入ってからも僕はその時と変わらず、気づくとこの曲を選択しています。
ベッドの中、電車の中、夜中の散歩、ロンドンの街。
様々な場所でまた35分間のドラマを頭の中に広げます。

=================

僕が Kashiwa Daisuke に出会ったのは、5年くらい前のことです。
当時会社員だった僕は、給料を使って毎月 CD を 2 - 30枚くらい買い漁っていました。

そんな時に出会った最初の Kashiwa Daisuke のCDは確か、88 というアルバムです。


ピアノだけで展開されるこのアルバムの中には John Coltrane の "My favourite things" のカバーなんかも入っています。
("My favourite things"は、あの、京都に行きたくなるやつです)

88 の中には "Swan song" という10分くらいのピアノ一本でドラマチックに展開する曲が収録されていて、そのトラックを何度も聞いていました。
思えば、僕がピアノで展開される長めの曲が好きになったのは Swan song がきっかけかもしれません。

88 の後には Kashiwa Daisuke が音楽を担当した「言の葉の庭」という映画の DVD も購入しました。

Kashiwa Daisuke はデジタルな音楽もピアノだけで展開されるクラシカルな音楽も、縦横無尽に行き来する音楽家です。

=================

また、僕は Kashiwa Daisuke の活動する姿勢が好きなんです。
彼は「アーティスト」というよりも、僕には「職業としての音楽家」として写るんです。

最近、"FREEZINE" というフリーランスを応援する情報サイトがスタートしました。
そこで、フリーランスとして活動する人に焦点を当てて話を聞く "PEOPLE" というコラムがあります。
その第一弾がなんと、Kashiwa Daisuke さんだったんです。


僕は「なぜ Kashiwa Daisuke!?」と驚きました。
失礼だけど、もっと "らしい" 人選ができたんじゃないかなとも思いました。

あえて Kahiwa Daisuke を選ぶFREEZINEの人選には「自分たちが好きな物をきちんと発信したい」という姿勢を感じます。

( FREEZINEには日本の仕事のあり方を本気で変えたいという思いが随所に見受けられます。まだ始まったばかりのようですが、是非多くの人に読まれて欲しいです )

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本で「音楽家」というと雲の上の存在か、いつまでもバイトで食いつないで夢を見ている人という二極化したイメージが強いですが、「音楽を作る」という行為はそんなに難しいものではありません。

もっと彼のように、仕事や手段として音楽を作ることが選択肢の一つとなって良いんじゃないかと思っています。
そんな活動をする人が増えて欲しいと僕は思っています。

そして、現実にそんな姿勢で活動をしている彼は、僕にとって、理想の姿の一つです。

=================

"Stella" は宮沢賢治の "銀河鉄道の夜" がモチーフになっています。
確かに、それを聞いた上で Stella を再生すると、中盤の幻想的な疾走感のあるシーンであったり、エンディングへ急に展開していく場面であったり、"銀河鉄道の夜" のシーンを感じさせる箇所がいくつかあります。

長い曲を聞くのは、慣れていないうちは難しく感じてしまうかもしれません。
でも、一度はまってしまうと抜け出せない魅力があります。
3分や5分では表現できない世界観がそこにあります。
是非、この壮大な音の世界を一度体感してみてください。

( 残念ながら Stella は Apple Music に登録されていないので YouTube のリンクと、同じテイストの曲のリンクを掲載します )

YouTube
Kashiwa Daisuke / Stella ※削除される可能性もあります
Kashiwa Daisuke / April.#19
Kashiwa Daisuke / meteor

Apple Music
Kashiwa Daisuke / April.#19
Kashiwa Daisuke / Swan Song
Kashiwa Daisuke / My favourite things

Amazon
Kashiwa Daisuke / Program music 1

FREEZINE
Kashiwa Daisuke インタビュー
高みを目指して登るほど、ゴールは遠くなる。それでも、毎日作り続ける。

=================

昨夜、僕は寝る前に歯を磨いていました。

僕は物凄く音の大きい電動ハブラシを使って歯を磨いているので、先に寝ているルームメイトを気にして、歯を磨く時は外に出ます。

すると、夜中にガラガラとスーツケースを引きながら向かってくる人影があります。

僕のフラットメイトのスペイン人です。
最近見ないと思っていたら一週間くらいスペインに帰っていたそうです。

僕を見ていつも通りの素晴らしい笑顔で笑って。
僕は "Welcome back" と握手をして迎えました。

英語を学ぶためにイギリスに来ている彼はあまり英語が得意ではありません。
そんな彼が、居心地の良い故郷で時間を過ごした後にまたイギリスに来る時の心寂しさが、僕は少し想像できます。

外で歯を磨いていて良かった。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?