Hiroki Yoshida

行政のデジタルトランスフォーメーションに従事。 東大公共政策大学院、シンガポール国立大学MBA,MPM、ケネディスクールフェロー修了。 「行政をハックしよう」発刊 https://www.amazon.co.jp/dp/4324110263

Hiroki Yoshida

行政のデジタルトランスフォーメーションに従事。 東大公共政策大学院、シンガポール国立大学MBA,MPM、ケネディスクールフェロー修了。 「行政をハックしよう」発刊 https://www.amazon.co.jp/dp/4324110263

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      社会のデジタル化に関わる記事を追加していきます。

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    Government as a Serviceが示す新しい行政の可能性(α版)

    様々な日常のモノの消費は、オンラインで定額課金で受けられるようになってきており、これらをXのサービス化、"X as a Service"と呼ぶ。例えば、CDやビデオは、SpotifyやNetflixを通じてモノを介さず、PC,タブレット、スマホがあれば、サービスとしてどこでもストリーミングで視聴できる(Music as a Service, Video as a Service)。車や自転車も所有からシェアリングによって必要な時に移動手段としてサービスを受けられるようになった

      • 組織人材循環論

        組織の均質性を無くし、一定の割合の外部人材を組織に取り込むことが、新しいカルチャーや組織能力の強化を生み出すために有効ではないかということを以前のポストで記載した。 これをもう一歩進めると、常に一定割合の人材が外部から循環している仕組みを作れた組織が、常に進化を続けることができ、事業をアップデートできる組織なのではないかと考える。 外部の環境変化に対応して組織はビジネスのあり方を変えなければならない。更にはビジネスの競争優位を生み出すような能力を持ち続けなければならない。

        • 日本列島改造論と、今にもたらす示唆

          最近日本列島改造論が日刊工業新聞によって復刻販売された。 50年前に田中角栄によって発刊された本著はこれからの国家のあり方がどうなっていくべきかというビジョンをあらゆる角度から記載している。 まず内容について簡単に要約した上で、今の時代と答え合わせしてみたい。 日本列島改造論で描かれた内容 日本列島改造論は、高度成長の中で生じた都市部の過密問題及び農村部の過疎問題、公害問題等を背景として、これらを同時に解決する政策の方向性を打ち出している。また、こうした経済成長に伴う社

          • 組織カルチャーの浸透圧

            経済産業省で行政サービスのデジタル化を進めるに当たって、はじめにやったことのひとつは、民間企業で活躍してきたITエキスパートを採用してチームを作ることだった。 2018年から取組を進め、専門職非常勤という形で採用を進め、彼らが働きやすいカルチャーづくりを推進してきた。このチームは現在でも引き続き進化を続け、省内のデジタル化を推進するためになくてはならない存在となっている。 元々は情報プロジェクト室という原局の一つの室であったが、現在では大臣官房のデジタル・トランスフォーメ

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            なぜ組織に外部のエキスパートを取り込むことが重要なのか

            これまで経産省で行政組織のデジタル化を推進する上で外部のエキスパートを採用して内部化していくことを行なってきた。 現在ではデジタル庁でも様々な分野のエキスパートと連携しながら働いているが、これにはいくつかの意義があり、改めて説明したい。しかも、これはデジタル分野に限らず、全ての政策分野においても重要なことである。 1.エキスパートのスキルを組織内の業務に活かす 一般的な外部人材の登用はこれを目指すことが中心であろう。例えばデジタル化の場合、ITサービスの開発に関するスキ

            givが目指す「恩送り」による血の通った社会システム

            シンガポール留学時代からの友人である西山さんが取り組んでいるプロジェクトに関して書いた本を発刊された。この取組は自分の問題意識とも合致しており、スタート当初から色々とお話を伺っていた。こうしてその考えが本として形になったことは素晴らしいと思う。 シンガポールでは現地のスタートアップと日本企業をつなげるビジネスを単身乗り込んで開拓されており、その頃は彼がこのような活動に至るとは全く想像がつかなかった。 彼が運営するgivでは、入会したメンバーが自分の能力を通じて誰かにサービス

            行政サービス開発と官民の関係性(私見)

            行政サービスのデジタル化がデジタル庁発足後さらに加速されてきているが、サービス開発は行政組織だけでは達成できない。 官民の開発に対する関与の度合ついてはさまざまなレベルがあり、これによってサービスのオーナーシップのあり方が異なる。 今回は行政組織内の開発能力にさまざまなレベルがある中で、どんな開発体制があり得るのか整理してみたい。 1.事業者委託による開発 これまでの多くの行政オンラインサービスは大手のITベンダーに依存していた。システムの企画や仕様書の作成まで外注してお

            京都の夜とくるり

            大学生の夏休み友人を訪ねて京都に遊びに行った。 学生の時分、お金もなかったので、長距離バスで早朝に着いて、二条城を横目にとぼとぼと歩き、喫茶店を見つけて朝ごはんを食べ、寺を巡った。 哲学の道を歩き、京大近くの本屋を覗き、熱い銭湯に入って、友人の行きつけのお好み焼き屋でご飯を食べた。 高校時代3年間寮で生活を共にしてきた友人が京都で異なる文化に溶け込んで生活しているのは少し大人びて見えた。 宿代を浮かせるため友人の家に泊めてもらった。雑魚寝して電気を消した中で、静寂が訪

            OSとしての組織カルチャー

            組織を何かを成し遂げるためのソフトウェアであると捉えた場合、そのOSは組織のカルチャーだろう。 OSはソフトウェアの開発環境を規定するように、組織カルチャーはその組織が何かを行おうと組織に属する人が働く環境を規定するものだ。 コンピュータ言語が様々な概念を規定するように、組織内のルールは、その組織内の人々の役割や機能の概念を規定する。 コードがデータの処理を規定するように、組織に属する人はそれぞれが目的に対する役割を果たす。 コードの束がそのソフトウェアの機能を規定す

            行政官のジョブデスクリプションを考える

            前回の投稿では外部の専門人材を組織内に内部化していくことで、行政組織の生産性を高めることができるのではないかということを書いた。 しかし実際に彼らが活躍するためには現在いるプロパーの行政官もどういった能力を期待されているのかを合わせて整理することが必要である。 専門人材がジョブデスクリプションをベースに採用されるとしたら、行政官についても同様にこれを定めていくことで、市場における代替性を明らかにすることができるのではないか。今、行政官にしかできないとされていることは本当に

            デジタル時代に直面する行政組織の課題(私見)

            この1年くらい行政組織のあり方について以前よりもフォーカスして考える機会が多い。その中で改めて行政組織の非効率は何によって生み出されているのか、思うところがあるので自分なりに整理してみたい。全ては行政組織の経営に問題があるというのが自分の立場だ。 経営感覚のない行政組織 企業経営においては事業戦略を立て、それに合わせて資本と労働力を配分することが求められる。行政組織においては事業戦略=政策の基本方針、資本=事業予算、労働力=行政官の人数*能力と考えられる。 しかし、そのそ

            日本のメンズストリートファッションはなぜ世界で受容されたのか

            この30年日本は経済的には停滞を続けてきたが、一方で文化的にはグローバルな認知を高めて来た。食、アニメなどに留まらず、建築、アート、ファッション、音楽などについても言えることだ。 これは日本のバブル期に世界各国を日本人が旅して回り、その文化を日本国内に持ち帰って来たこと、その文化が日本のコンテクストと混じりあって発酵した事に大きな要因があると思う。 もう一つの要因としては、こうした海外文化の編集を通じた文化の創造が、インターネットを通じたグローバルな文化の創造を先取りして

            サカナクションのユリイカで泣きそうになる

            ここ数日サカナクションのユリイカにハマってリピートしていた。都会に暮らす人はその曲に心揺さぶられる人もいるのではないかと思う。以下自分なりの解釈を書いてみた。 東京でせわしなく働いて、空もビルで覆われている。意味もないのに生き急ぐ、色んな出来事が押し寄せ、必死で乗り越えながら気づいたら長い時が過ぎ去ってしまっていた。そしてそのせわしなさはいつ終わるかも分からないようにずっと続いていくようだ。 そんな時にふと思い出すのはかつては夕日に髪を染めていた過去の自分だ。「あなた」は

            「Public Digital」で刺さった文章たち

            本書は英国政府のデジタル化推進組織Government Digital Service (GDS)を創設したメンバーが書いた本で英題は「Digital Transformation at Scale」となっている。邦題の「Public Digital」は彼らがGDSを卒業後立ち上げたコンサルティングファームの名前でもあり、世界各国の政府デジタル化をサポートしている。 自分は4年前くらいに英国出張に行った際に筆者の1人であるアンドリュー・グリーンウェイにインタビューする機会を

            ラグジュアリーファッションにおけるブランドとは何か

            House of Gucciという映画を半年前くらいに見た。グッチ家における内紛とその結果としてブランドが創業家の手から完全に離れていく顛末を描いた映画だ。衣装にはグッチが全面協力し、レディーガガをはじめ有名なハリウッドスターが登場するエンターテイメントだ。 グッチが創業100周年ということもあり、ブランドのマーケティングも兼ねた映画なのだろうが、これが本当にブランドの価値を高めるものなのかは疑問だ。なぜなら、この映画はグッチが既に創業以来の歴史なんてとっくに失っていること

            デジタル時代の行政システムアーキテクチャーとは

            ※2020年に書いていたものを投稿し忘れていたので改めて投稿します。ただデジタル庁ができてこの視点はますます重要になっていると思います。また本投稿は拙著「行政をハックしよう」のアイデアソースにもなっています。 行政のデジタル化で考えなければいけないことは①国民にとって利便性の高いサービスの提供と②政府内の効率的なオペレーションの実現の2つである。この2つは行政が現在も抱える大きな課題だ。 これらを達成するためには、大局的なシステムアーキテクチャーの視点が欠かせない。個別最