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水中写真コンテストから考える、海との繋がりの大切さ

宇宙も興味深いけど、私は地球の海に対する好奇心の方が上回ります。地球の約7割は海であり、正確に調査されている部分は1割にも満たないといわれています。さらにダイビングできる場所や深度となるともっと狭い。潜るたびに新たな発見があって、そこが堪らなく面白い。

さて、毎年開催されている水中写真コンテスト「Ocean Art Underwater Photo Competition」の2019年度の表彰作品が発表されました。

何で水中生物ってこんなにも面白い形や行動をするんでしょう?

今回選ばれた水中写真は、圧倒的に水中生物にフォーカスした作品が多いです。陸上生物をじっくり観察して撮影することも楽しいと思いますが、広い地球の大部分を占める水中で特徴的な水中生物を発見したときの興奮はなかなか味わえません。

しかも自由に動きにくい水中で、撮影のために水中生物に近付くと物凄いスピードで逃げられてしまうこともあります。だから選ばれた作品のように、バシッと撮れることは本当に凄い。運も良くないと撮れないです。

奇妙な姿をしながら生きている水中生物と多様性

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水中生物は奇妙でときには、非効率にもほどがあるような姿や生態をしています。ダイバーに人気のカエルアンコウは、魚なのに泳ぎが下手で、胸のヒレを使ってバタバタと海底を歩きます。

表彰作品にあるパンク風の髪型のように見えるタツノオトシゴ、擬態だと思いますが、なぜこの形に辿り着いたんでしょう?面白いし興味深いです。人間の目には擬態できていないように見えても、天敵からは身を守れるから良いのかもしれません。

水中生物の理解できない不思議な生態でもしっかりと生きているわけです。そこに存在してしまっているから認めざるを得ない。陸上の人間社会でも同じだと思います。合う人も合わない人もいますが、存在してしまっているからしょうがない。

ピンとこない海の環境問題

受賞作品のなかでも考えさせられたのが、釣り針に絡まって死んでしまったウミガメを写したショッキングな作品でした。ほかのメディアでもニュースになっていたので、コンテストは知らなくても写真は見たことがあるかもしれません。

写真を見て「海にゴミを捨てるなんてヒドい」とは確かに思いますが、海の環境問題は謎が多く、実際に何をしたら良いのかわかりません。昨今の病気のように、デマやミスリードの情報はいくらでもあるからです。数年後に全て間違っていたとなる可能性もあります。

捨てた空き缶を巣にして生きている魚もいます。それが魚にとっては良いことなのか悪いことなのかわかりません。環境問題の活動自体は素晴らしいと思いますが、個人が行動に移すことは結構難しそう。

ですがダイビングをすると、水中の大量のゴミやそれで傷ついた水中生物を見て、少しだけ当事者意識が芽生えます。たった3割の陸上の出来事が海にも影響がある、海と陸は繋がって私たちの生活にも影響があるとわかるようになるからです。

海と繋がるダイビング

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私がダイビングをする理由のひとつは、自分が生きていると強く実感できるからです。器材を付けなければ水中で息もできない人間が、3割の陸上から離れてアウェイの空間へ出向き、優雅に生きる水中生物を眺めると、ちゃんと地球で生きていることを実感できます。

生まれ育った日本を離れて、全く異なる環境の海外で過ごしたときも、生きていると改めて実感できました。それでも日本を離れずに簡単に別世界に行けるのはダイビングの魅力です。

未知の世界である海と繋がりはダイビングによって得ることができます。テクノロジーは進歩してきましたが、情報の多さによって私を含めて自分が生きやすい暮らしは何なのか見失ってしまうように思います。海との繋がりはその生きやすさについて改めて考えるきっかけとなってくれます。

海に潜って壮大な水中生物たちとじっくり向き合ってみると、自らの生きやすさのヒントが生まれるかもしれません。水中写真を見て、実際に潜ってみてほしい。そんな思いからまずは水中写真コンテストの作品紹介をしてみました。


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