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租税教室⑤:世界のユニークな税金(豆知識)

 皆さんは「アンネの日記」について、一度は耳にされたことはあると思います。第二次世界大戦でナチス・ドイツのユダヤ人迫害から逃れるため、アンネ・フランクは窓の少ない細長い家の構造を利用し、本棚で遮断し隠れ家スペースに隠れて、あの日記を書き続けたそうです。それは戦争の愚かさと、不寛容・人種差別の危険さを世界中に訴えた名著ですよね。(表紙の写真はAnne Frank House公式ホームページより引用)

 ところで舞台となった窓の少ない細長い家。今でもオランダで昔ながらの景観保護のために「カナルハウス」と呼ばれる運河沿いの邸宅は、そのままの姿で残され、古くなった外壁を修繕する際も、壁の色などには自治体が制限を設けているといわれます。なぜ家の建設時、このような構造スタイルになったかは、当時のオランダには窓税という税金があったからと言われています。今回のnote記事では、窓税を皮切りに世界のユニークな税金の一部を紹介していきたいと思います。

1.オランダの窓税

 冒頭の「アンネの日記」の舞台となった家の造り。歴史的背景は17世紀に遡ると言われています。東インド会社の交易によって富を得た豪商たちが、こぞって邸宅を建て始めたのを見計らい、建物の間口の幅に基づいて税金を課すようになりました。けれど豪商たちも、唯々諾々と重税を受け入れたわけではなく、少しでも税金を安くするために、間口のみ不自然なほどに狭く、奥行きを長く設計していったと言われています。

 では、アムステルダムで最も間口が小さい家は、どれくらいの幅なのか。諸説あるものの、1738年頃に建てられたアウデ・ホーフ通りの家も「最も小さい家」(細い家)のひとつだと言われており、幅2.02メートル、奥行き5メートルのコンパクトな3階建てとなっています。(税金逃れの仁義なき戦い「アムステルダムの最も小さい家」(オランダ) | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト (serai.jp)より)

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2.ロシアのヒゲ税

 ヒゲ税は17世紀末、ロシアで制定。ヒゲぼうぼうの人がヒゲを整えないと課された税金です。先進的国家をすることをめざし、国民の意識改革のためピョートル1世が作りました。

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 1698年に西欧遊学から帰国したピョートル1世は、ロシアの近代化改革の一環として1699年にヒゲ切りを法令化(ヒゲ税)、1705年に服装の規範を定め口髭・顎鬚を剃ることを義務化するなどしましたが、多くの反発を招いたと言われています。髭を生やすことはロシアでは古来からの伝統である上、後世の風刺画でもヒゲを切られそうになっている左の男の方がむしろ大きく堂々とした様子で描かれていることからも、当時の世相が窺えます。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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3.ハンガリーのポテトチップス税

 2011年9月2日の日経新聞記事(肥満防止で「ポテチ税」導入 財政再建中のハンガリー~毎年7400万ユーロの税収見込む~)では、”ハンガリー政府は1日、国民の肥満防止を目的に、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分が特に高い食品に課税する通称「ポテトチップス税」を導入した”としています。

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4.トランプ類税

 4つめ最後は、”トランプ類税”。あぁ~、トランプさんが定めた税金ね!?

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・・・いいえ、違います。(写真は朝日新聞GLOBE:2020年11月2日より引用)トランプ類税は日本の税金です。1957年、日本でギャンブル性の高い麻雀杯、トランプ、花札などに課せられましたが、1989年の消費税導入に伴う間接税の整理によって廃止されています。

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 以上、如何だったでしょうか。小中学生のお子さんがいらっしゃる方には自由研究のネタとして、世界のユニークな税金を一緒に調べても面白いかもしれません。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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