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日米の成長力格差⑪:終身雇用制度と長時間労働の親和性⁉

日米の成長力格差の要因を考察しています。イノベーション力の差につながっている多様性に不寛容で排他的な社会、戦後の奇跡の復興を支えた3種の神器(個別最適・属人化依存・長時間労働)は、もはや日本の弱みになっています。


✅もはやワーカホリックではない日本


コロナ禍で、一気にテレワークが広がり、会社帰りのサラリーマンの一杯も遠のき、働き方が大きく変わり始めています。

日本の80年代の勝ちいくさを支えた長時間労働にも変化が見えます。

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OECDの就業者1名当りの年間労働時間数で比較してみても、2018年に日本の年間労働時間数は、ドイツの1,363時間には及ばないものの、1,680時間となり、米国の1,786時間や韓国の2005時間を大きく下回りました。

もはや数字の上では、諸外国にワーカホリック、仕事中毒と呼ばれた日本人は、そこにはいなくなりました。

全体的には労働時間は短くなりました。アウトプットが同じならば、生産性は高まっているはずなのですが、労働生産性は逆に落ちている数字も確認してきました。

一体、私たちの働き方のどこに問題があるのでしょうか?

✅終身雇用制度と長時間労働の親和性


労働時間数の減少とともに、正社員比率が減り、非正規社員比率が増えました。

正社員の中には、長時間労働に起因した極度な疲労から精神的な病に追い込まれて、自殺するという痛ましい事件が報道されてきました。

2015年に電通社員の高橋まつりさんが自殺した事件は、今日の1,680時間という労働時間実現のきっかけとなりました。

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しかし、どうして正社員に採用されると会社のために死ぬまで働いてしまうのでしょうか?

じーじは、変な言い方ですが、終身雇用と長時間労働は親和性が高いと思っています。

会社に入ってから会社に職務を与えられます。

自分で選んだ職務ではありません。

そして、その職務の客観的評価基準が曖昧であればあるほど、上司も当事者もその頑張りを評価する尺度として、長い時間働くことを「頑張っている」と評価してしまうのです。

✅賃金体系を維持できなくなってきている


終身雇用、年功序列の賃金というものをグラフで可視化してみるとこんな👇感じではないでしょうか?

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赤色のグラフが年功賃金のカーブ。緑色のカーブが頑張り力カーブとでも呼びましょう。

一昔前55才定年だったものが60才定年となり、今や65才へと定年年齢が引きあげられようとしています。

60才定年の企業では、55才以降に役職定年の年齢を設け、給与水準も一定年齢に達すると引き下げて、大体この赤い線の賃金カーブを描いていると思います。

一方、仕事に対する意欲や頑張り、体力的にも無理が効くのは若いころです。

経験を積むに従い40才くらいまで生産性は高まり続け、やがて下降していく緑色のカーブが労働生産性ではいでしょうか?

つまり、40才くらいまでは、働きの割には賃金が低く抑えられている。

45才で働きと賃金が一致した後、働きの割には高い賃金をもらえるというのが終身雇用の賃金カーブなのだと思います。

今、頑張っておけば、
今、上司に気に入られれば、
今、少々無理して徹夜してでも頑張っておけば、
将来は必ず報われる賃金がもらえる。

そう信じてがむしゃらに働いて米国に迫った80年代半ばまでの勝ち戦の方程式が終身雇用下での長時間労働だったのです。

その成功体験が、理不尽な働かせ方の温床となったのではないでしょうか?

ところが、今や会社は先取りした社員の若い頃の頑張りに対して、年齢が来たからといって報酬で報いることはできなくなりました。

これでは、米国と戦えるハズがありません。


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