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「50歳」になった瞬間、仕事マッチ件数が激減した話

派遣会社Aがとんちんかんな案件紹介ばかりよこしてくるので、某派遣会社Bに新規に登録した。これで2社目の派遣会社である。誕生日は翌日に迫っているので、ちょっと焦りを感じつつ、急いで登録を済ませた。49歳と50歳ではたったの一分違いでも、その語感、心理的ギャップは巨大だ。

なんとか登録を終えた直後、お仕事紹介メールが届き始めた。自分でもお仕事情報を検索してみると、私のスキル・希望条件とマッチするものは結構ある。同時に、こちらの検索に関係なく、派遣会社からのおすすめがリストに表示される。(登録情報:居住地や年齢などの個人情報・経験・スキル・資格等から自動で選出されている仕組み)

その中から、3件、条件をクリアしていて私の希望に近い案件にエントリーした。アラフィフはとにかく数を打たないと始まらないということは、既に転職マッチングサイトで学習した。それならば、こちらもさほど深刻に考えず、派遣だしね、と。とにかく面談までこぎつけてから考えようという軽い気持ちだった。

少ししてコーディネーターから電話連絡があり、詳細説明を受けた。そのうち、一件はちょっと紹介できないが、残り2件はすぐに紹介できるという。一つは紹介予定派遣で3回の面接あり。(派遣なのに!?そもそも違法でしょ)

もう一つは外資系での半年期限付きの派遣だった。ブラックな臭いが漂う面倒な案件は辞めて、外資系の案件のほうに応募することにした。あとは企業に提出して、連絡待ちである。49歳最後の日。先日既にエントリーして紹介に進んでいるA社別件の仕事と、こちらの仕事のどちらか決まればいいな、と家族と話した。

ところで、一つびっくりすることがあった。

49歳ラストDAYの夜 23時には60件の仕事が「あなたにマッチします」と派遣会社の登録画面に表示された。ところが、一夜明けて、朝9時頃にログインしてみると、なんと、その数が6件に減っていた!(笑)

思わず、PCの前で噴き出してしまった。
年齢制限がないとは完全に「表向きの話」。分かってはいたけれど、これで証拠をしっかりと、この目で確認したのだ。派遣会社の内部では社内選考時に確実に年齢制限をしている。

私に言われるまでもなく、年齢による制限は労働法に違反していると当然、派遣会社の方でも認識しているだろうが、クライアント企業から内密に「35歳までの人を」「49歳?もっと若い人でいい人いないの?」等と要求されれば、その希望を優先させるに決まっている。売上立ってなんぼの世界だ。売れないリスクの高いアラフィフ商品よりも、たとえスキル・経験が少し劣っていても売れやすい若くて無難な商品を勧めるのが手法だろう。私自身、営業職をしていたこともあるので、そういう暗黙の了解、営業担当者の「裏事情」は理解する。

だから、派遣会社の営業担当者を責める気は、全くない。

生真面目な、正義感の強い30~40代女性担当者であれば、応募者を年齢・ブランク等の理由でひとまとめにしてふるいにかけねばならない企業社会の矛盾に、人知れず憤っているかもしれない。私に対しては、内心、少なからず罪悪感を感じることであろう。20代のやる気と希望に溢れた若い担当者であれば、政府と企業の建前上のスローガンや政策、その実態のギャップに失望して、将来のキャリア図が描けない社会に失望するだろうか。(そうした日々の結果、能力を活かせる海外へと新天地を求めて流出する優秀人材は少なくないだろう。)

「働き方改革」なんて、所詮上から号令をかけただけ、現実社会は到底ついてきていやしない。世の中の企業の体質、本質的な部分を変えない限り、女性活躍推進も進まないし年齢による雇用制限も無くならない。

誰もが働こうと思ったときに、求職活動をして、働ける機会を平等に設ける。これは、女性や中高年以上に限ったことではなく、ハンディキャップのある人、外国籍の人、等しくすべての人間に通じる話である。

現在、企業で採用決定権を握る40代、50代の役職会社員も、他人事ではないと今、この瞬間に気づいていないだけなのだ。数年後、自身が同じ境遇に立たされたその時に初めて、この現実を理解できるようになるのだろうか。

しかし、その頃には、時すでに遅しだ。「他人事だから」と皆が先送りした結果、昔も今も、変わらない日本がここにある。その日本が、我々の未来を、働く人々の首をじわじわと絞めつつあることも。自分の身に降りかかったときに初めて、これまでに自分がしてきた仕打ちの意味を、真に理解する日が訪れるのだろうか。





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