桜回線　#毎週ショートショートnote

「はい、桜回線です」

「32年前、港中学校を卒業した原紀子さんに繋いで下さい」

「去年の今日、この番号に繋いでもらえますか？母と話したいんです」

時を超えて会話を繋ぐ桜回線。
人々は春になると桜の記憶を頼りに電話をかける。

「はい、桜回線です」

「あの…3000年後の、誰かに繋いでもらえますか？」

「未来...ですか？」

「時を超えて春に繋がると聞いたもので」

「誰かとは？」

「誰でもいいんです。僕、桜を研究しているんですが3000年後にも桜があるか、それが知りたいんです」

「...畏まりました。お繋ぎします」

「はい」

「わぁ本当に繋がった！あの、初めまして。僕2024年に生きている者なんですが…あ、急にそんなこと言ってもわからないですよね。えーと」

「わかりますよ。桜を研究してるんですよね」

「なぜそれを？」

「桜、咲いていますよ」

「よかった、環境が改善されたんですね！あの…ところで貴方は？」

「さて何から答えよう。そうか...今日があの日か。まず、環境は改善されていません。改変はされましたが。新技術により桜が滅びることはなくなりました。桜同様僕たち人間も」

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