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【風呂酒日和39-2】 浜や(はまや)

【風呂酒日和(フロサケびより)】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


本日は既に一敗している。
とってもとっても魅力的に見えた昭和感のある建て構えに惹かれ、扉を開けた小さな飲み屋さん。
おでんのいい香りがしていて、割烹着を着た優しそうなおばあちゃんが奥から出てきたのだが「ごめんねぇ。今はお馴染みの方だけにしてるの。」と言われる。

うむむ。仕方ない。
お馴染みになりたかったが、紛れもない新参者なので「また今度来ます」と言って退散。
こう言われた場合の「今」は解除される日がくるものなのだろうか。
変なのが入ってきたと思って体よく断られただけだろうか。


しかし、今日の私の心は折れていなかった。
駅までの道でもう1つ近くに気になったところがあったのだ。
店の前にメニューも出ていてなんとなくここなら新参者の私でも迎え入れてくれそうな気がするし、美味しそう。
そんな安パイ感を感じていたお店の方へ向かう。


扉を開けると手前にカウンター、奥にテーブル席が2つ、かな。多分。
外から見たイメージではなんとなく大きい気がしていたが、中に入ると店内は意外とこじんまりとした細長いつくりだった。
ふむふむ、よさそう。


厨房のマスターと目が合ったので1人ですと告げると奥さんにカウンターの席に促される。
いやお母さん?だろうか。多分お母さん。マスクをしてる男女2人の店員だとついつい親子か夫婦か悩んでしまう。

カウンターには左端に男女が2人、右端におじさんが1人。ちょっとおじさん寄りの真ん中あたりに腰掛けた。
右端にいたおじさんから「若、もう一杯、同じのね。」と聞こえる。
"若"ということは、やはり先程の女性がお母さんでマスターは二代目の息子さんなのかな。


いつも通り瓶ビールを頼みながら荷物を置いたり上着を脱いだりしていると、先程の隣のおじさんが「下に入れられるよ」と教えてくれる。
なるほど。椅子の下が荷物入れになっている。
ありがとうございますと言って荷物を下にしまった。

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