怒るナナちゃん、怒らないわたし。
サヤカが結婚するらしい。
「ねぇ、サヤカから結婚式のお知らせ、来た?」
ナナちゃんから電話が来た。
「うん来たよ。12月だってね。」
わたしが答える。
ナナちゃんは、そのお知らせをあまりハッピーには受け止められないようだった。その理由はなんとなくわかる。
サヤカは、わたしたちが学生時代一緒によく遊んでいた頃から「恋多き女の子」だった。
別にわたしやナナちゃんと恋愛問題でぶつかったことは特になかったけど、恋多き彼女のせいで、周りの子が振り回されていたり、傷ついたりしているのは何度も見たことがある。
共通の知り合いでもあり、学生時代から知っていた男の子と、何年か前に付き合い始めたサヤカ。
わたしとナナちゃんはその時も、部外者ながらも「その2人ってそんなに特別仲良かったっけ...?」なんて会話をした。
その男の子のことをとてもいい子だと思っていたので、幸せならいいけどどうかサヤカの「恋多き...」が始まらずにうまくいくといいね、なんて話をしていたのだ。
そしてその後、サヤカから彼と婚約したと聞いて、やっと落ち着いたかと一安心というか、よかったよかったなんて思っていたのだったが、半年ほど前にその婚約がなくなってしまったことを、わたしは最近になって聞いた。
てっきり既に知っていると思って、その話をナナちゃんの耳に入れたのはわたしだった。
サヤカは、仲が良かったはずのナナちゃんに、そのことを言っていなかったのだ。
そして彼女は、別の男性ともうすぐ結婚する。
結婚する子も、同じく学生時代に知り合っているわたしもナナちゃんも顔見知りの人だった。
あまりにも近しい中でそんなことが巻き起こっていて、なんだかなぁという感じではある。
そんなわけで、共通の友人であった前の彼氏と別れ、知らない人ならまだしも、またしても知っている人と付き合って結婚するというのを、後になってから結婚式のお誘いという形で一気に報告してきたサヤカに、ナナちゃんは複雑な心境になっているようだった。
「確かに気まずかったのかもしれないけどさ。婚約破棄したのも、新しく付き合って結婚するのがあの子だってこともなんにも言わなかったのに、私が知ってるかのように連絡してきて、結婚式来てくれない?って。なんかちょっと順番違くない?」
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