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僕はアントン


やぁ、僕はアントン。僕は魂。
それから君も「アントン」だね。
なんの魂かって?おもちゃの魂だよ!

ここは、アントンズラボ。
だからここにいる子はみんな「アントン」なんだ。


ほら見て、ここにたくさんおもちゃがあるでしょ?
僕らはこれから下の世界に飛ばされて、いろんなお家の、どこかのおもちゃに入るんだけど、ここではその練習をしてるんだ。
どんな形のおもちゃでもうまく入れるようにね。

え?どうやって下の世界に行くかって?
大きなアントンが指でピンって僕らを飛ばすんだよ。

ここには僕らを作った大きな大きなアントンがいるんだ。
でも大きなアントンは、怠け者でいつもお菓子を片手に持っていたり、よそ見しながら「僕らの出発」をやるもんだから、たまにうまくおもちゃに入れずにどこにもいけなくなってしまう魂もいる。

人間が「おばけ」って呼んでる中に、きっと僕らも混ざってると思うよ。


だからね、僕は最近あることを考えてる。
大きなアントンに見つからないように、ここを飛び出そうと思ってるんだ。
自分の力でね。

だって、そうだろ?
せっかくこうして生まれたんだから、どこに飛んでいって何になるかわからないなんてつまらないじゃないか。
しかも大きなアントンがもしも失敗したら、僕は「おばけ」になっちゃうかもしれない。
そんなのは嫌だ。
ちゃんとおもちゃに入って、大切にしてもらって、みんなと遊びたいんだ。


それでね。いい方法を思いついたんだ。
僕はこれを使おうと思ってる。
ほら、このおもちゃのバズーカ、使えそうだろ?
この中に入って、ぽーんと窓から飛び出したらきっとうまくいく気がしてるんだ。そう思わない?

よし、さっそくやってみよう。
善は急げだよ!
みんな、僕が成功したらあとに続くといいよ。


よし、OKうまく入ったよ!
さぁ、トリガーを引いて。そうだ。
あそこの窓の外に向かって、僕を飛ばすんだ!


わぁ!
すごい、大成功だ!
大きなアントンが怒ってこっちを見てる。
ふふふ、もう遅いよ。
僕は自由だ!


星屑だった家がどんどん大きな街並みになっていく。
もうすぐ着陸だ。さぁどこのお家に行こう。
かっこいいおもちゃはあるかな?
よし、どうやら僕はあのお家がいいみたい。あそこにしよう!



...ん?
成功、かな?
どうやら何かの中には入れたみたいだ。
あとで自分の姿を確認しなきゃ。
さぁ、僕と遊んでくれる相棒はどこかな?


わぁ、ここのお家のパパとママだ。
こんにちわ!子どもたちはどこにいるのかな?

ん?僕を持ち上げてる。
おや、これは、もしかして…


あっ、やぁ!君じゃないか。君も飛んできたんだね。
クマのぬいぐるみ、いいね。かわいい。
君とまたここで会えるなんて嬉しいよ。
また一緒に遊べるんだね。
でも、ということは...


そうか、なるほど。やっぱり。
確かに、これは手だ。
小さな小さな人間の手。
すごいや。自由に動かせる。
人間になれるなんて、夢のようだよ。
やっぱり自分で飛び出してみてよかった!

じゃあ、今日から君と僕は相棒ってわけだね。
これからよろしくね、クマくん。

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