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退屈を嘆く女の子と、りんご飴の御徒町。

山手線の外まわり。
昼過ぎくらいの車内は、座席は満員だが立っている人は数名という感じの混み具合だ。

いつもは席に座ると自然と携帯を手に取ったりしてしまうのだが、その日はなんとなくそのままぼーっと座っていたところ、向かいの座席の2人に目にいった。
女の子とお母さんが座っている。いや、女の子はもう座っているとは言えない。電車に飽きてしまったのか座ったまま溶け出してしまったかのような形ででろんと長く伸びてみたり、反対を向いて席に顔を沈めてうずくまったりしている。大体4〜5才くらいという感じだろうか。


「ね〜、お菓子ないなら、もう乗る意味ない」

女の子はなかなかはっきりとした口調でそう訴えた。
なるほどなるほど、どうやらお菓子がなくてふてくされている模様。
お母さんも女の子もお揃いっぽい小さなサコッシュ(ポシェット?)のようなものを下げていて、確かにあまりたくさんのものが入るようには見えない。財布と携帯、ハンカチとティッシュくらい入ればもうキャパオーバーというようなサイズ感のバッグだ。

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