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【エッセイ】まだ見ぬ我が子に想うこと

私は子供が好きだ。

彼らは動物みたいに純粋で
嘘や変な思惑もなく
まっすぐな目で世界を見ている。

穢れのない彼らと一緒に居ると
私の荒んだ心は一瞬で浄化される。

私には甥と姪がいるのだが
みんなかわいくてしかたがない。

小学生の甥は

「パパの車が一番早い!」

とか

「ひろくんにスキー教えて欲しいなー。」

とか

楽しい話やうれしい話を
たくさんしてくれる。

(ちなみに私はスキーが出来ない。)

4歳の姪は私のことが苦手らしい。

苦手というか恥ずかしい?

すぐ「嫌だー!!」と言って
逃げたり隠れたりする。

そのくせ写真が好きらしく、
スマホのカメラを向けると
かわいらしくポーズをとる。

おしゃべりするのがとても楽しい。

全然目は合わせてくれないけれど。

2歳の甥は動き回りたくて仕方ないお年頃。

そこたら中走り回って
すぐどこかに行ってしまう。

親の影響で某男性アイドルグループに
はまっているらしくyoutubeでMVを流せば
ひたすら歌って踊りまくる。

最高にかわいい。

私の推しは間違いなく彼だ。

この子達に対して私は何の責任も負っていない。

だからただひたすらにかわいがっていれば良い。

お金の心配もしなくていいし、

将来不登校に成ろうがグレようが関係ない。

無責任に愛することが出来る。

なんて気楽なものだろう。

甥や姪ですらこんなにかわいいのだから、

我が子なんてその比ではない事だろう。

でも私は恐らくこの先、
自分の子供と会うことは絶対にない。

だって女性を愛することが出来ないし

セックスだってしたいと思わないのだから。

自分の遺伝子をこの世に残すことが出来ない。

でもそれで良いと思っている。

むしろその方がきっと良い。

もし、私に子供が出来たら

間違いなく全力で愛するだろう。

きっと人生の全てを注ぎ込む。

他のものが見えなくなる程に。

そんな未来が容易に想像出来る。

やりたいことはなんでもやらせてあげたい。

お金が原因で出来ないことを作りたくない。

いろんな世界を見せてあげたい。

そのために全力を尽くしたい。

でも、頑張りすぎて疲れてしまって

どこかで壊れてしまうような気がする。

重たくてうざい親になってしまうのは嫌だ。

だから我が子なんて居なくたって良いんだ。

甥や姪くらいの距離感が丁度良い。

我が子が居たらきっと
私の人生観を押し付けてしまう。

私が出来なかったことを
無意識に我が子にやってもらおうと
してしまうような気がする。

そんなの私の勝手なわがままだ。

そんなの絶対間違っている。

だから良いんだ。

ずっと一人で居るって決めたんだから。

でもやっぱり、

出会うことのない我が子のことを
考えてしまうことがある。

抱いた時の柔らかなぬくもり

身体から漂うミルクの甘い香り

よだれだらけにされた服

大きくなったら一緒に走り回って

全力で遊びつくしたい。

大事な物を見失わずにしっかりと歩んでほしい。

自分のことを嫌いにならないでほしい。

大切な人の話を聞かせてほしい。

幸せだと思いながら人生を終えてほしい。

本当は子供が欲しい。

自分の分身を育ててみたい。

「お父さん、こんなことも分からないの?」

なんて馬鹿にされたりなんかして。

私だけでは知ることのできないような
君の見ている世界を教えてほしい。

「ありがとう。幸せだった。」

そういって私の最期を見送ってほしい。

馬鹿みたいに
出来もしないことを妄想してしまう。

普通に生まれたかった。

もっと普通の人生を生きたかった。

普通が何なのか分からないけれど

でもやっぱり普通の人生が欲しかった。


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