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天使の住む場所

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病院の選び方や、病院の日常をお届け
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『看護師のお仕事とは』

目薬をさしに患者さんのもとへ行くと「看護師さんに怒られちゃって」と涙していた。その内容は私にとっては看護師の都合だなぁ、というもの。
暫く話を聞いてから声をかけた。「もう大丈夫? 目薬しても流れていかない?」 すると涙は笑顔になった。これが看護師のお仕事

高校野球を熱心に見る元ヤクザの患者さん

「高校の時は何か部活してたの?」と聞くと、少し遠い目をして
「二十歳の頃からヤクザやってるからよ」とだけ言って、視線をまたテレビに戻した
その眼差しは青年のようなキラキラと少々の影を混ぜた少し寂しい色だった

全身入れ墨の老人がいる
背中に龍、胸にも龍、足には虎かな

今で言う厨二病かもしれない。気合いが入った厨二病
そして数十万かけて数日かけて入れた模様。彫師はどうやって決めたのだろう? 当時は食べログみたいな口コミサイトはないだろうし。
ぜひ聞いてみたい

次の勤務の楽しみができた

看護師が唯一泣いたある患者さんの死

看護師が唯一泣いたある患者さんの死

「てんぺいちゃん、彼女できた?」

 Fさんは入院する度にこう私に聞いてきた。

「いやまったく気配もないです」

と答えるとFさんは

「もっと痩せたらモテるのに。優しいんだから」

と笑って励ましてくれた。「てんぺいちゃん」と可愛がってくれていた。

 そう、入院する度毎に。

 Fさんは心臓の難病だった。

 予後も悪く、対処療法としての薬物投与しかできない状態。それでも本人は(少なくとも傍

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看護師は縛るのがお好き?      ~拘束道具紹介~

看護師は縛るのがお好き?      ~拘束道具紹介~

「ちょっと危ないから縛っちゃおっかなー?」

 看護師は患者様の安全のために、身体抑制をすることがあります。
 身体抑制とは要は縛ること
 なぜ守り、癒やす対象となる患者さんを縛るのか。
 そして、縛るときにはどういった方法があるのか
 今日はそんなお話

①入院に関連する混乱『不穏』 
 患者さんの中には、「なぜ入院しているのか?」と言うことを忘れて混乱してしまう方がいます。俗に言う不穏(せん妄

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看護師が教える良い医者の選び方

看護師が教える良い医者の選び方

優しい医者だからといっていい医者ではない

 前回お伝えしたとおり、話していて優しい雰囲気の医者だからといって腕が悪い可能性がある。

https://note.com/himeari/n/n8ea86c27243c

なんでも「ふんふん」と聞いてはくれるが、必要がないのに薬をどんどん増やしたり、逆に追加の薬が必要な状態なのに様子見を決め込んでしまっては良い医者ではないだろう。そんな医者にかかって

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天使にかける声3(あるいは天使がかける声1)

「本当にあいつ嫌い。早く死ねばいいのに」

 この声の主は放課後の高校生達ではない。その声の主は看護師達だ。そして街中の喫茶店でなく、病棟でその声は聞こえる。声の主は看護師だ。その言葉を注意する者はなく大抵は「そうだよねー」と嬉々と同意する。命を扱うはずの場所で不謹慎だ……と思われる方もいるかもしれない。しかし命扱う場所だからこそ、『死』という言葉が軽くなるのかもしれない。看護師を1年もしていれば

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天使にかける声2

「いいのかそんなこといって? 俺がお上にいって処分してもらうぞ」

 これはある患者様からとある看護師が言われた言葉。その言葉に看護師はただただ「申し訳ありませんでした」と謝るだけだった。

 50代くらいの男性の患者様だった。身の回りのことはできるが、とある疾患で手術を控え入院していた。また詳細は不明であるが、生活保護を受けている。入院直後から「ちょっと行って来る」とタバコを吸いにいく。手術も控

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天使にかける声1

「やめろー!なんでこんなことするんだ! 殺す気か!?」

とか

「いいのかそんなこといって? 俺がお上にいって処分してもらうぞ」

とか

「本当にあいつ嫌い。早く死ねばいいのに」

 これはとある場所で聞こえる声達。

 とある場所とは病院。

 一つ目の声は自分で痰が出せない患者様に吸引行為を行った時のもの。自分で痰が出せない患者をそのままにしていると、痰が気管につまり下手すれば死んでしまう

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