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仲間がいつもそばにいる―心に寄り添う感動作『かがみの孤城』

先日、辻村深月さん原作の舞台『かがみの孤城』を観に行った。
場所は池袋のサンシャイン劇場。とても久しぶりの生観劇だった。

2階席の15番後方席。値段はどの席も一律なのに2階席で見えるかなと不安だったが、運よく席はセンターで、思ったよりも広くなかったのでちゃんと見えた。でも、表情まではよく見えないので、オペラグラスは持って行って正解だった。

今日は舞台の感想ついでに、原作への想いや感じたことをまとめておこうと思う。

一気読みの長編ファンタジー

私はこの原作が大好き。去年、夢中になって読んだのを覚えている。かなり分厚くて長編だけど、一気に読めるほど引き込まれる。

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物語の大枠は、いじめられている中学生・安西こころが部屋にある鏡の中に入ってしまい、鏡の向こうの世界で6人の中学生と出会って成長していくファンタジー。

「オオカミ様」と呼ばれる城の管理人によって集められた7人の中学生は、見つけた者が何でも望みを叶えられる「願いの鍵」を見つけるという、課題を課される。城は9時〜17時までの滞在が許され、猶予は一年。

願いの鍵は見つかるのか。7人の共通点、集められた理由とは何か。ミステリーも交えたファンタジーである。

伏線回収のスピード感と気持ち良さ
 そして、幸せな読後感に包まれる

私はミステリーや推理物が苦手だ。謎を追うことに面白さを見出せず、追う過程を面倒に感じてしまう。そんな私が辻村さんのミステリーを好きでいられるのは、謎を追うことだけを描かずに、結末までの間に物語がたくさんあるからだと思う。

本書もそうだった。7人はいじめられているこころ以外にも、それぞれに悩みを持ち、思うようにいかない生きづらさを感じている。それぞれが持つ苦悩が少しずつ描かれていって、それは現実に通じるものがあり、深く共感した。

謎が明かされるまでに、7人それぞれにそんな物語があって、謎を追うことを意識しなくていい。だから、ミステリーの苦手な私でも楽しめるんだと思う。

鍵はどこにあるの?7人ってどういう繋がりなの?オオカミ様の正体は誰なの?
いろんな謎が散りばめられているけれど、変な回りくどさがなく、それらの謎は終盤に一気に解けていく。この伏線回収のスピード感、すごく気持ちがいい。

そして、それらがすべて明かされた時、幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。胸に温かいものが広がっていく。この読後感はぜひ多くの人に味わってもらいたい。

舞台で仲間と再会、懐かしい気持ちに
 居場所がない人に寄り添う物語

さて、舞台の話。ポスターのビジュアルから原作の表紙そっくりそのままに作られていて、舞台化したら一体どんな感じになるんだろうってワクワクしていた。

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舞台は原作に忠実で、原作ファンの私もがっかりなんて全然しなかった。終盤の伏線回収のスピード感まで同じだった。

オオカミ様も私の想像通りの体型と性格。7人それぞれの性格が見事に再現されて、みんな原作から飛び出てきたかのようだった。

私は去年読んだきり、舞台鑑賞前に再読することができなかったのに、この仲間たちを舞台上で見て、なんだかすごく懐かしい気持ちになった。また会えたね、久しぶり!って、そんな感覚だった。

後半は、会場のあちこちで鼻水をすする音が聞こえた。みんな泣いていた。私も泣きそうだった。

舞台を観て、改めてこの物語の素晴らしさを実感した。居場所がない人、生きづらさを持っている人の居場所、心の拠り所になる。寄り添ってくれる。そして、勇気をもらえる。そんな作品だと思う。

また原作を読みたくなった。

鏡の向こうの世界に連れて行ってくれる

子供の頃、鏡の向こうの世界に憧れていた。ジャンプしたり、何度も頭や指をガラス面に押しつけたりして、鏡の中に入ろうとしたこともある。
鏡になんて入れない、鏡の向こうの世界なんて存在しない、絶対あり得ないけれど、あの頃は向こうの世界に行けるって、本気で信じていた。

『かがみの孤城』はそんなあの頃の夢も叶えてくれた。鏡の向こうの世界、すごく楽しかったな。この7人の仲間たちとオオカミ様に、感謝の気持ちでいっぱい。

いじめられていたり、孤独と闘っていたり、生きづらさや心細さを感じていたりする人には、特にこの作品をおすすめしたい。きっと同じ気持ちを持った仲間たちが心を慰めてくれると思う。この物語で救われる人って多いんじゃないかな。

私もまた、彼らに会いに行きたいと思う。



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