庄内の風と土と祈り 6月号
大型連休も過ぎるとモザイク模様のように田に水が注がれてゆき、やがて磨き上げられた1枚の大きな鏡のようにキラキラと大空を映す。
咲きほこった花たちが新緑に押され、ゆっくりと地に落ちるころ、大地に水が満ち渡り、庄内平野の気温は少し下がる。
天地に抜けるような景色とひんやりとした空気がそこに暮らす人の身心を爽やかにする。最上川の堆積物によりできたこの庄内平野。おそらく1000年前にはこの水田もなく沼地が一面に広がっていたことだろう。
「こんな田舎には何もない」と自嘲的な声をたまに