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山頭火関連の本の感想

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種田山頭火の句集、関連の本の感想をまとめています。
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記事一覧

「山頭火全句集」を一章ずつ⑭⑮

「山頭火全句集」を一章ずつ⑭⑮

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正十五年」「昭和二、三年」の章です。

有名なこちらの二句は、「大正十五年」の章にありました。

意外です。

こんなに有名な句ですから、もっと山頭火が年を取ってから作られた句なのかと思っていました。

いやぁ、いいですよね。

私がこの本を読もうと思った理由はこの「鴉鳴いてわたしも一人」なんですよ。

「ヨルシカ」ナブナさんのボカロ、「

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「山頭火全句集」を一章ずつ⑫13

「山頭火全句集」を一章ずつ⑫13

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正十一年」と「大正十四年」の章です。

まず「大正十一年」。

この章の最初の句がこちら。

なんです。

いきなり「草木塔」に出てくる句に近くなった感じがします。

ここから僧侶になるための修行が始まったのかなと思いました。

お気に入りは

です。

noteを始める前に読んだ本なので記事はないのですが、以前読んだ種田山頭火の一生につ

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「山頭火全句集」を一章ずつ⑨⑩⑪

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

なのですが、今回は「大正八年」「大正九年」「大正十年」の感想を一気に読んでいきたいと思います。

というのもこの三章、短いんですよ。

「大正九年」「大正十年」はそれぞれ一ページずつ。

「大正八年」は7句しかないんです。

何があったんですか山頭火さん・・・。

ではまず、「大正八年」。

上に書いた通り、七句しかありません。

全体的に冬の句が

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「山頭火全句集」を一章ずつ⑧

「山頭火全句集」を一章ずつ⑧

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正七年」の章です。

突然ですがこの章で、とても気になった句があるんですよ。

こちら、

「大きな蝶を殺したり真夜中」

句集を読んでいて、不意に目が離せなくなったのがこの句です。

言っていることが衝撃的だ、ということもあるのか、どうなのか・・・。

どうしてこの句に目が吸い寄せられたのか、自分でも分かりません。

歯切れの良いリズム

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「山頭火全句集」を一章ずつ⑦

「山頭火全句集」を一章ずつ⑦

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正六年」の章です。

暗い・・・。ですね。

寂しそうとかではなく、何というかぞっとするような暗さがあります。

暗い、というか殺風景というか。

もちろんそうじゃない句もあるんですが、やっぱり全体のトーンに飲み込まれてしまっているように感じます。

「大正六年」のページを開くと、夜の闇の中にいるような気分になったり、背中がぞわぞわするよ

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「山頭火全句集」を一章ずつ⑥

「山頭火全句集」を一章ずつ⑥

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正五年」の章です。

全体的にどことなく悲しげなトーンの章でした。

「兵隊おごそかに過ぎゆきて若葉影あり」

など、戦争が始まった頃なのかな、ということをうかがわせる句があっただけでなく、

「鉄柵の中コスモス咲きみちて揺る」

など、明るそうな句も何となく悲しげに見えてしまうんですよ。

コスモス咲きみちて、のところは華やかで、悲しく

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「山頭火全句集」を一章ずつ⑤

「山頭火全句集」を一章ずつ⑤

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正四年」の章です。

前の章に比べて長くなったな、という印象です。

その分色々な句があって、山頭火の生活を覗けるような気がして面白かったです。

田舎、とか昔っぽい句も多いのですが、「人々」という言葉が入っていたりすると広い通りを歩いて行く多くの人達、という感じで、都会のイメージがあります。

さて、この章で私が一番気になった句はこちら

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「山頭火全句集」を一章ずつ④

「山頭火全句集」を一章ずつ④

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正三年」の章です。

この章では、「時雨」や「海」など、水の表現が印象的でした。

山頭火さんは水が好きだったそうですが、降ってくる水や広がっている水も好きだったのでしょうか。

水を飲むのも、泳ぐのも、流水に手を入れるのも、眺めるのも、好きな私なのでとても気に入った章です。

特に

「蚊帳越しに海ゆらゝ月の汽船待つ」



「火酒恋

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「山頭火全句集」を一章ずつ③

「山頭火全句集」を一章ずつ③

山頭火全句集を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正二年」の章です。

前回ご紹介した「明治四十五年・大正元年」の章よりも、「草木塔」の山頭火に近くなったのかな。

という印象でした。

何というか、昼間が多い。

カタカナが少なくなったのもあり、自然?

自然・・・だけではないか。

ザ・都会、じゃなくて、田舎のほのぼのするような情景が描かれている句が多くなったような気がします。

とは言

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「山頭火全句集」を一章ずつ②

「山頭火全句集」を一章ずつ②

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「明治四十五年・大正元年」の章です。

全体的に「夜」の風景が多かった印象でした。

赤い提灯が灯る温泉街とか。

(私の温泉街のイメージは「千と千尋の神隠し」です。)

あと「ふぐなべ」がいくつか出てきました。

いくつか、ではあるのですが、この章自体が一ページしかないのでめっちゃ出てきたような気になっています。

う~ん、やっぱり、「暖か

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「山頭火全句集」を一章ずつ①

「山頭火全句集」を一章ずつ①

と、いうわけで!

タイトルにもありますが、「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいこうと思います。

(先日投稿した、「草木塔」の章以外)

今回読んだのは、「明治四十四年」の章です。

「カフェーにデカダンを論すなつの蝶飛べり」

草木塔に出てきた句との違いに驚きました。

カフェー・・・。

この時代にカフェ、あったんですね。

「草木塔」にカタカナ言葉が全然でてこないので忘れていました。

何と

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「草木塔」を読んだ中二女子の感想

「草木塔」を読んだ中二女子の感想

何、というか。

私、山頭火の生き方に憧れていたんですよ。

歩いて旅して、世のしがらみもなくて、みたいな。

でもそんな暮らしも楽じゃないんだな~。という。

全部を読んで、一番最初に思ったのはそんなことでした。

山頭火の旅の話なんですが、地域の人と交流したりしていて、楽しそうだな~。って、そう思っていたんですけどね。

やっぱりお金がない暮らしって大変なのかなって思いました。

そりゃ、想像

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