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「山頭火全句集」を一章ずつ⑦

「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。

今回は「大正六年」の章です。

暗い・・・。ですね。

寂しそうとかではなく、何というかぞっとするような暗さがあります。

暗い、というか殺風景というか。

もちろんそうじゃない句もあるんですが、やっぱり全体のトーンに飲み込まれてしまっているように感じます。

「大正六年」のページを開くと、夜の闇の中にいるような気分になったり、背中がぞわぞわするような感覚があるんですよね。

う~ん。

山頭火さんに何かあったのでしょうか・・・。

大正四年頃の句ではめっちゃ幸せそうだったのに・・・。


「いさかえる夫婦に夜蜘蛛さがりけり」

これが、特にそうであると感じた句です。

蜘蛛が嫌いだから、とかそういうのではなくてぞっとする。

今までの山頭火さんの句だと、人間を句の中に登場させるときは子どものこととか、「人々」とかで賑やかそうだったりオシャレだったりしていたんですよ。

子どものことを詠んでいる時は幸せそうで、寂しそうな時もありましたがこの句のような「怖い」印象はなかったです。

この句では、人間の醜い一面が表れていると思います。


それから・・・。

とページをめくって見ていると、見つけてしまいました。

全然暗くない、暗くなさ過ぎて山頭火さんが辛い時に見た景色が美しくて、それを詠んだのではないか、と疑ってしまうような句。

前後を見るとそういうわけでもなさそうですが。

「空の青さ桐の青さそよぐ風かな」

こちらです。

「あぁ~。好きだな。」その一言です。

青さ、風。それから空も桐も、全てが爽やかで、すごく好きです。

こういう風景に出会ってみたいなぁ。

青、というのが、基本的に好きなんですよ。

水色も濃い青も、この句の中にはみんな入っていて、美しい風景が思い浮かびます。

綺麗な風景をそのまま切り取って俳句にしたかのようなこの句。

どこかのノートに書き写しておいて、学校の授業の気怠い空気に新鮮な風を入れようと思います。


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