フィードバック文化を醸成し、成長し続ける組織を構築するために
株式会社ブレーンバディ執行役員CHROの永井です。
今回は、組織づくりをする皆さんとフィードバックについて考えていきたいと思います。変化の激しい現代社会において、常に人材・組織をアップデートし続けることが会社として成長し、生き残る術だと考えています。特にスタートアップ企業は、商品・組織をつくりながら前進するケースが多く、フィードバックの質と量が成長角度・スピードを大きく左右します。今回は、フィードバックの考え方と文化醸成について考えていければと思います。
フィードバックとは?
フィードバックは大きく分けると2つに分けられると考えています。
上記2つがフィードバックだとした時に、ギャップを埋めるネガティブなフィードバック(ギャップフィードバック)だけではなく、良い結果を通知するポジティブなフィードバック(ポジティブフィードバック)も存在することを認識したいです。まず、フィードバックについて考える際に、決して叱責や詰めるだけのものではないと捉えていただきたいです。
そして、当たり前ですが、フィードバックには発信者と受信者が存在します。個人的には、極論ですが、受け手側のマインド次第で全てのことをフィードバックとして受け取ることもできると考えています。しかし、フィードバック文化醸成というテーマを考えるためには、発信者側の考え方や技術も非常に重要になると考えています。そのため、今回は以下構成で書いていきます。
・発信者側のマインド
・受け止め方
・フィードバック文化のある組織をつくるには
発信者側のマインド
発信する側の正しいマインドは、「相手をリスペクトし、相手のことを想い、成長を心から願う気持ち」が正しい状態です。よく個人の欲求充足や感情的な発散を目的とした叱責などの行動や言動を、フィードバックだと正当化している人がいます。しかし、それは受け手にとってはフィードバックだと捉えられない可能性が高いです。逆に、フィードバックができない人もよく見かけます。特に日本人は、言わない美徳を文化として持っている種族なため、フィードバックすることが苦手な人は比較的多く存在します。ただ正しく捉えていただきたいのは、フィードバックは相手の成長を心から願うからこそ伝えるべきなのです。逆に言わないことの方が不誠実です。もちろん技術云々はありますが、まずはフィードバックをする側が正しくマインドを装着することが重要です。
受け止め方
冒頭でも書いた通り、フィードバックを受ける側のマインドセット次第で、どんなこともフィードバックとして成立させることができると考えています。それぐらい、受け止め方は重要なポイントです。
フィードバックをされた際の受け手の状態は、大きく分けて①誠実に受け入れる(コーチャブル)状態②忌避する(アンコーチャブル)状態の2パターンに分けられると考えています。アンコーチャブルな人は、フィードバックを受ける耐性がなく、ポジティブにフィードバックを受け入れられません。その状態だといくら発信者が、当人の成長を願ったフィードバックをしても、受け入れることができず長期の成長は見込めません。一方で、コーチャブルな状態だと全てを成長機会に変えることができ、パフォーマンスのアップデートや学び直しが推進されます。
「みんながコーチャブルな状態になれば良い」と考えられる人は、きっと成長意欲が高く、自分に対しても厳しい方だと思います。一般的に、アンコーチャブルな人は、忌避する気持ちをこれまでの人生の中で価値観として植え付けているケースが多いです。そのため、忌避する考え方を変えることは正直簡単ではないと思います。だからこそ、多くの企業が採用要件として「素直さ」を示し、フィードバックを受け入れられるかを見極めるのではないでしょうか。
ただし、変えられないかというとそうではないと考えています。後ほど文化醸成や当社の取り組みの中でも書いていきますが、関係性の質を高めることと成長欲求を高めることでコーチャブルな状態は一定醸成できると考えています。
フィードバック文化のある組織をつくるには
ここまで、フィードバックの重要性や発信者・受信者の考え方を書いてきました。組織づくりをされている方であれば、「成長し続ける組織をつくるためには、フィードバック文化を醸成させることが重要だな」と感じていただけた方も多いのではないでしょうか?僕もフィードバック文化を醸成することは、成長し続ける組織づくりにおいて非常に重要だと考えています。今も成長し続けている企業を見ても、フィードバックを前向きに捉え文化として根付かせている会社が成長していることは明白です。例えば、リクルートは、360度評価をいち早く取り入れ、立場に関係なく、フィードバックが行われる状態をつくっています。
ではどのように文化として醸成するのか、当社の取り組みを事例にしながら考えていければと思います。
1)関係性の質
社内でフィードバックが相互に機能する状態をつくるために、お互いの関係性の質を高めることが重要です。関係性の質とは、MIT組織学習センターのダニエル・キム氏が提唱している成功循環モデルのことです。このモデルは、組織の成果を上げるためには、KPIや行動では無く、関係の質を育むことで「思考の質→行動の質→結果の質」の順に質を高め結果(成果)を高められるというものです。
例えば、関係性の質が高まっていない状態で上司から部下へギャップフィードバックをすると、部下がただの叱責や詰められていると感じ、良い結果が生まれない可能性が高いです。これまでの記事で、当社が関係性の質を高めるための取り組みをご紹介しているので参考にしていただければと思います。
お互いの個性を受け入れ、相互に人としてリスペクトし合うことを起点に、関係性の質を高めることで思考・行動・結果が変わってきます。当社では、組織の土台を作るフェーズだからこそ、質の高い関係性を構築し無駄な思考をしない状態を目指しています。
2)個人の成長に向き合う文化
フィードバックを受ける側がコーチャブルであることの重要性は、ご理解いただけているかと思います。コーチャブルな状態をつくるために、個人が自分の成長に強度高く向き合う状態を構築することが重要です。そのため当社では、「日本一ストーリーを生み出すスタートップ」になるという中期ミッションを掲げ、個人の自己実現に向けたストーリーを設計・共有する文化を醸成しています。それぞれが成長・自己超越の欲求を充足するために、入社時や四半期毎に、上長と人生ストーリーの設計と実現のために何をするのかを考えます。また、定期的に全社員に共有し合いお互いで支援し合えることが無いかを話し合い実行していきます。
ストーリー支援の取り組みをすることで、自分のやりたいこと(成長欲求)が明確になり、成長に向き合う強度が上がっていきます。また、ストーリー起点のフィードバックをすることで、ギャップフィードバックが自分の成長に繋がるという思考を生みやすく、受けてはコーチャブルな状態になりやすいです。
3)フィードバック機会の創出
フィードバック文化を醸成するために、社内でフィードバックが日常的に行われている状態をつくっています。当社ではあらゆる場面で、立場に関係なくフィードバックが相互にできる機会を創出しています。今回は、人事評価部分は割愛し、その他取り組みの一部をご紹介できればと思います。
<各種表彰>
月次、四半期などいくつかの賞を設けています。ポジティブフィードバックの一つとして行っており、収穫の後の祭りを盛大に行っています。また、受賞者が、取り組みを共有し質問や感想、感謝の気持ちを伝えることを行い、欠乏欲求を満たすことも行なっています。
<全社会後のアンケート>
立場に関係なく、発表内容へのフィードバックを受けています。もちろん、発表内容の理解を深めることや理解度を測ることも目的として置いていますが、アンケート内容から事業部長・役員・社長まで真摯に向き合い、改善プロセスを設計し実行しています。
<slackコミュニケーション>
日常のコミュニケーションが多く流通している場でも相互のフィードバックをし合っています。当社ではテキストコミュニケーションをslackに集約しているのですが、オープンコミュニケーションをvaluesでも掲げ、お互いのコミュニケーションの見える化を行なっています。その中でスタンプ・返信などで反応し合うことで、日常的にフィードバックし合う状態をつくっています。
その他にもフィードバックに関する取り組みは様々行なっています。僕はフィードバック文化醸成を考える際に、日常の中でどれだけ自然に機会を最大化できるか考えるようにしています。例えば、上記取り組み自体は既に行なっている会社も多いのでは無いでしょうか?ただ、フィードバック機会の最大化を考えて設計されていないことも多いと思います。日常行なっている取り組みや業務の中で少し変化を加えるだけでも、フィードバック機会は最大化できると考えています。当社でも引き続き日常の中で機会の最大化を目指していきたいです。
フィードバックを活用し、成長し続ける組織にするために
僕は、フィードバックの量と質が人を成長させると考えています。各個人が成長することで、組織が成長し、市場へ提供できる価値が最大化していきます。全社員が個人(自分・他者)の成長を心から願い、コミットすることで変化の激しい社会で生き残っていけると考えています。
当社でも、フィードバック文化を組織に強く根付かせ、成長し続ける組織を構築していきたいです。そのためにも、僕個人・会社としてたくさんのフィードバックを頂きたいと考えています。ぜひ今回の記事に限らず、僕のnoteを読んでいただいた感想や、当社の取り組みなどに対してフィードバックをいただければ嬉しいです。
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