見出し画像

ワンペーパーの場合、オンラインプレゼンの場合〜資料づくりでは説明の流れを作って、 その中で情報を関連付ける

 以前、「資料づくりでは説明の流れを作って、 その中で情報を関連付ける」ことを取り上げたが、ワンペーパーの資料やオンラインプレゼンにもあてはまる。

パワーポイントにそんなに時間を使ってるの?

 組織によっては説明資料はワンペーパーでまとめることがルールになっていることがある。A4で一枚、A3で一枚などサイズの違いはあるが、いずれも何ページにもわたる説明資料の持つ弊害が目立つようになったことから一枚でまとめるようになった。
 弊害は主にパワーポイントで資料を作ると、作り込むことに時間をかけすぎていたり、見た目のインパクトに凝りすぎたりしたことにある。あれもこれもと取り上げる内容がふくらみ、説明が時間内で収まらないということもあった。
 こうした状況を解決するためワンペーパーにまとめることで内容を整理し、資料作成の時間を節約することが図られた。
 そのうえ説明を受ける側にとっても一枚で全体像が一覧できるために理解のスピードアップできるというメリットもある。

これって縮小コピーじゃないよね?

 これらの理由からワンペーパーにまとめる動きが進められたが、実際に取り組んでみると、当初のもくろみとは違った不都合な点も出てきた。
 言いたいことを無理に一枚に押し込めようとして縮小コピーを集めたかのような微細な文字が並ぶ資料が現れるようになった。細かすぎる表現は内容が整理されていないうえに目を凝らさないと読み取ることができない。年齢の高い管理職が、目にした瞬間に理解しようとする意欲を失うという結果を生むことにもなった。

ただ文字を大きくすればいいってものじゃない。

 細かい文字で詰め込んだ資料の見ばえをよくするには取り上げている各項目の内容を整理し、要約すればよい。取り上げる材料をそぎ落とすことで、文字の大きさや表現を見直すことができ、見た目は大きく改善される。
 実際に、こうした工夫で見やすいワンペーパーの資料はよく見かける。
 ところが、そのレベルにとどまってしまうと「一枚で全体像が一覧でき、理解のスピードアップできる」というメリットはじゅうぶんに得られない。各項目は文字の大きさに注意して、要領よくまとめられていても、ひととおり目をとおしてみると頭の中で説明の流れを追いかけていけないという問題が立ち上がってくる。

説明の流れが頭に入ってくるようにして!

 説明の流れを追うことが難しいのは、前回、パワーポイントを例に取り上げた問題が、ワードで作成したワンペーパーの資料でも起こっているからだ。前回、説明に使った図をワンペーパーの資料の図にすると次のようになる。
 ドット(点)が取り上げられた情報を示している。説明の流れを追いかけていけない資料は項目を越える情報の関連があいまいになっている(下記「図1 近似線しか引けない説明はわかりにくいーワンペーパーの場合」)。

図1 近似線しか引けない説明はわかりにくいーワンペーパーの場合

 わかりやすく、説得力のある資料にするには、それぞれの項目をまとめるだけでなく項目をまたがった情報の関連づけをして全体構成を組み立てる必要がある。(下記「「図2 わかりやすい説明はドットとドットを結ぶ付けることができるーワンペーパーの場合」)。

「図2 わかりやすい説明はドットとドットを結ぶ付けることができるーワンペーパーの場合」

オンラインプレゼンこそ、つじつま合わせが大切

 ワンペーパーのあとに普及した資料の潮流のひとつにオンラインプレゼンの普及がある。オンラインプレゼンでも説明の流れの中で情報を関連付けることは、対面でのプレゼンよりも重要になる。
 対面でのプレゼンでは説明の途中で「あ、ここちょっと伝わってないな」と感じたら、補足したり説明の仕方を修正したりして、リカバリーできる。
 ところがパソコンの画面やスクリーンを介して行うオンラインの説明では、相手の反応を十分にとらえることが難しい。相手がどの部分を説明しているかわからなくなったり、理解できない部分があったりしても気づくことなく、どんどん説明を進めていって、相手を置いてきぼりにしてしまう。
 対面の説明に使う資料でも完成度の高い構成は必要であるが、多少の欠点は発表のその場の工夫で何とか乗り越えられてしまうが、オンラインではそうはいかず、致命的になってしまう。
 その結果、説明が進むにしたがって相手の理解しようとする意欲が減っていくという事態を回避するには、まず説明ストーリーを明確にし、そのストーリーに応じて、取り上げた情報がページをまたがっても互いに結びついていることが理解できるように表現することである。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?