長編小説「きみがくれた」中‐④
「祈り」
マーヤの父親から封筒を預かり、マスターにあの紙を託した夜、亮介が家に帰ると冴子はまだ起きていた。
玄関まで出てきた冴子は、マーヤは喜んでいたか、マスターの店へ寄って来たのか、それにしても随分と遅かった、といつものように一人でしゃべっていた。
「夏目君あの花好きそうだもの、ねぇ?真理子さんも気に入ってくれたんじゃない?そう言えばあの子ったら帰って来たなら顔出せばいいのに、ねぇ、央人じゃあるまいし」
「まぁ出掛ける時に言って行くだけ央人よりマシか‥ていうか央人はま