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とても暗くて憂鬱になる超短編小説まとめ

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とても暗くて憂鬱になったり切なくなったりします
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記事一覧

短編小説 マッド桃太郎(サイコグロホラー)

短編小説 マッド桃太郎(サイコグロホラー)

昔々、あるところに
おじいさんとおばあさんが住んでいました

おじいさんは山へ芝刈りに
おばあさんは川へ洗濯へと
出かけていきました。

おばあさんが川に着くと、
川の様子がいつもと違っていました。
昨夜の大雨のせいで川の水かさは増し
川の流れがものすごく速くなっていたのです

「こりゃ洗濯どころじゃないなぁ」と
おばあさんは洗濯をあきらめ帰ろうとすると
川岸のほうから大きな大きな
桃が流れてくる

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とても暗くて憂鬱になる超短編小説⑦

とても暗くて憂鬱になる超短編小説⑦

善悪の判断

悪人は処刑されて善人だけが生き残った
しかしまた善人の中から悪人は現れて
善人だった悪人が処刑されてゆく
その繰り返しだった
それからこの世界は
1人の悪人も出さぬよう
些細な違反にも
目を光らせた

少しの罪さえ許されず
違反者は
次々と処刑されていった
残された住民はビクビクしながら
法律を遵守し
清廉潔白に
日々を過ごしていたが
もしかしたら
冤罪で殺されるんじゃないかと
夜も

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とても暗くて憂鬱になる超短編小説⑥

とても暗くて憂鬱になる超短編小説⑥

頭がおかしくなって

頭がおかしくなって1日が経ちました
僕は変わらず学校へ通学しています。
まるでゾンビのように青白い顔で
日々のルーティンを繰り返している
自分自身が何か起こしそうで
少し恐いです

頭がおかしくなって
僕は僕を見下ろしている感覚です
下駄箱で上履きに履き替えている自分は
まるで自分じゃないかのよう
何も知らない隣にいた女子たちが
昨日のドラマの話で盛り上がっています

頭がお

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とても暗くて憂鬱になる超短編小説⑤

とても暗くて憂鬱になる超短編小説⑤

脳内彼女

目が覚めたら病院だった
体を動かそうとすると
全身に痛みがはしり
なぜこうなったか
思い出そうとしても
すっぽりと記憶が抜け落ちていた

少しして
看護婦と医者が現れ
僕の様子に気づくと
冷静な口調で
松田さん目覚めたんですね。よかった
といって笑った

僕は先生に
何があったのか覚えてないんですと
話しかけると

先生は優しい口調で
無理に思い出さなくていいですよ
と微笑み

今は安

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とても暗くて憂鬱になる超短編小説④

とても暗くて憂鬱になる超短編小説④

死神

一生懸命働いて家族を養っている
父親を見てたら悲しくなった

全力で夢に向かって戦っている
歌手の歌を聴いたら辛くなった

誰かの為に生きることも出来なかったし
好きなことをやり続けることも出来なかった

何も残っていない何も・・・
ただ、楽をして
欲望に溺れた自分がいるだけだ

そんなマイナス思考に陥りながら
松田が自分の部屋で
酒を飲んでTVを見ていると

そんなに自分を責めないでくだ

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とても暗くて憂鬱になる超短編小説③

とても暗くて憂鬱になる超短編小説③

ハンブン

ある日 魔法使いが現れて国民のハンブンに魔法をかけた 
ある者は豚のような人間になって
ある者はネズミのような人間になって
ある者は犬のような人間になってしまった
国民はパニックになり国外へ逃げ出そうとしたが
逃げようとする人々を魔法使いは次々と消していった
そして魔法使いは意地悪く笑ってこう言った。

いいかい、お前たちは一生この場所で生きていくんだ。
私はその姿をずっと見てるからね

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とても暗くて憂鬱になる超短編小説②

とても暗くて憂鬱になる超短編小説②

スライドショー

四畳半のぼろアパートの一室に
似つかわしくない高級机は
田宮にとって必要不可欠なものであった。

いつものようにその机に向かい
上半身を突っ伏すような姿勢で
必死に筆を走らせる

それは物語とは言えない
支離滅裂な文章だが
田宮は書かずにはいられなかった

書かなければ
なにもない自分になってしまう気がして
恐ろしくて
震えながら怯えながら
ただひたすら筆をはしらせた

そうして

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とても暗くて憂鬱になる超短編小説

とても暗くて憂鬱になる超短編小説

おかしな目的

1人のようなものだった
親に見捨てられ友達や恋人にも裏切られ
途方に暮れながら僕は死に場所を探してさまよっていた

そんな死に場所探しの旅の途中
気持ちの悪い怪物に出会ったんだ
気持ちの悪い怪物は僕を見て聞いてきた
「おまえを殺していいか?」って

僕は殺していいよって答えたんだけど
怪物は不服そうにおまえはつまんないから
殺さないよってどこかへ消えた

僕はその後1人で死に場所を

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