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勉強しなさいって言わなくても勉強する子にどうやって育てたの?(1)

数年前、息子が東京大学理科1類に現役で合格しました。その2年前、娘は大阪大学に現役で合格しました。二人とも塾にはほとんど通ったことがありません。

「ほとんど」と言うと、「なんだ、塾にも行かせているじゃないか」と思われそうですが、娘は高校3年生のときに予備校の夏期講習と冬期講習に各1週間くらい、それから、受験直前に過去問対策講座を受講したくらいです。

息子は、中学受験をしたとき直前の2ヶ月半だけ塾に通い、その後は、高校3年生のときに、模試の成績上位者に対する無料受講の「ご招待」がきたものに時々参加したくらいです。「中学受験」と聞くと、「なんだ、やっぱり教育熱心な家庭じゃないか」と思われるかもしれませんが、子育てをしている中で、「中学受験」は私の計画には入っていないことでした。

娘が小学3年生のときです。「ママはどうして塾に行きなさいって言わないの?」と聞いてきました。学校で、塾に通い始めたという友だちの話を聞いたようです。

私は娘にこう答えました。

「子どもを塾に行かせたがるお母さんはね、子どもが塾に行っていると、ちゃんと勉強していると思って安心するから行かせたいのだと思うの。でも、Kちゃん(娘)は家でちゃんと勉強しているでしょ?学校でもしっかり先生の話を聞いているでしょ?学校の授業がわからなくて困ることなんてないでしょ?じゃあ塾に行く必要はないよね。」

「それにね、もしかしたら私立の中学を受験する子もいるかもしれないね。受験するから塾に行っている子もいると思うよ。じゃあ、どうして私立の中学に行くのかな?親が行かせたいのかな?中学受験しておけば、きっと高校受験をしなくてもいいでしょ?もしかしたら大学受験もしなくてもいいかもしれないね。子どもの将来を心配して、『こうしておいたほうがきっと子どものためになる』って思って、中学受験させたいと思う親もいるかもしれないね。」

「でもね、ママはそんなふうには思わないの。どんな場所でも自分がしっかり勉強していれば、自分が頑張った分だけちゃんと道は開けてくるの。今ママは、毎日KちゃんやTくん(息子)を見ていて、ちゃんと自分で頑張れると思っているから、塾に行かせようなんて思わないし、中学受験させようなんて思ってないよ。」

娘はしっかり話を聞いてくれて、自分なりに納得したようでした。

そこで、さらに続けました。「でもね、もし、学校の授業がわからなくて困ったり、もっともっと勉強したいと思ったり、何か習いたいことがあったら、そのときはママに言ってね。やりたいことは何でも、できるだけやらせてあげるから。」

その後、娘は「Tと一緒にスイミングを習いたい。」「ベネッセの英語教材が欲しい。Tと一緒にやるから。」など、必ず事前に弟に一緒にやろうと根回ししてから、自分がやりたいと思ったことは言ってきてくれるようになりました。もちろん、Tが嫌々付き合っていたわけではありません。仲の良い姉弟だったので、「一緒のほうがより楽しい」そんな様子でした。

そして、勉強のほうはそれまでどおり、学校の授業をしっかり聞いて、宿題も自分できちんとやって、家庭学習の教材(ベネッセ)も楽しんでこなしていく、という生活を送っていました。子どもの中学受験については、あとで詳しく述べたいと思いますが、親が決めた受験ではなかった、ということです。


東京大学の合格発表から少し経ったある日、夫がぼそっとつぶやきました。

夫「会社でな、どうやって育てたらそんなふうに子どもが育つの?って、聞かれる。」

私「私も聞かれる。パパは聞かれても困るでしょ?(ほとんど子育てしてないしね~)」

夫「ほんま、困るわ。」

私「でもね、勉強しなさいとか言ったこともないしね。別にそんなこと言わなくても二人ともちゃんと勉強してたしね。」

夫「それが不思議なんや。なんでうちの子は、何も言われなくても勉強するん?」


そばでこの会話を聞いていた娘が会話に入ってきました。

娘「そうそう、それっ!勉強しなさいって言わなくても勉強する子にどうやって育てたの?ママすごくない?」

私「勉強しなさいって言われなくてもちゃんと勉強していたのはKちゃんでしょ。なんで勉強してたの?」

娘「なんでって…勉強しないと将来困るから。」

私「勉強しないと将来困るっていつから知ってたの?」

娘「そんなの当たり前やん、みんな知ってる。」

私「そう?それ知らない子どもって多いと思うよ。知っていたらみんな勉強するでしょ。まぁ、将来困るっていうかねぇ…勉強しないと自分の将来の選択肢が狭まっていくよ~って話はしてたよ。勉強すればするほど選択肢は広がるんだ、ってね。ママはKちゃんやTくんが小さいころからいろんな話をしてきたよ。だから知ってるんじゃないの?覚えてないの?」

娘「え-っ、全然覚えてない。」

私「今は覚えてないけど、聞いた時にはちゃんと理解していたから、当たり前にずっと心の中にあるんだと思うけどね。」

というわけで、「勉強しなさいって言われなくても勉強する子にどうやって育てたの?」という、当事者である娘の疑問をきっかけに、子育てを振り返って文章にしてみることにしました。

(これは2016年2月に書いて、ずっと眠らせていた文章です。自分自身でも読み返しながら、少しずつ公開していきたいと思います。)


(2)●寝る子は育つ
(3)●子どもの人格形成
(4)●子どもの果てしない興味
(5)●幼少期の様々な体験
(6)●子どもを認めること
(7)●まずは生活習慣から
(8)●お受験ママとの出会い
(9)●息子の中学受験
(10)●娘の中学受験(公立中高一貫校)
(11)●娘の大学受験
(12)●息子の大学受験
(13)●親が一生懸命生きること
(14)●おわりに

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