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勉強しなさいって言わなくても勉強する子にどうやって育てたの?(5)

●幼少期の様々な体験

娘は小学生以降も、家庭学習としては幼児期から引き続いてベネッセの「チャレンジ」に取り組んでいました。息子が小学1年生になったときにも何か学習教材を与えようかと思いましたが、そのときにはすでに小学2年生までの算数は姉の教科書やベネッセの教材で習得していたので、何を与えるべきか少々悩みました。

悩んだ末、「学研の科学」(※残念ながら現在は休刊)を購読することにしました。どうせなら姉弟で一緒に楽しめた方がいいと考え、姉の学年に合わせた小学3年生の科学にしました。娘と息子の科学への興味は、この「学研の科学」の教材によるところが大きかったのではないかと思います。私は仕事で忙しい毎日を過ごしていたので、二人だけで教材に取り組んでいましたが、うまく子どもの興味を引き出してくれたようです。

また、市内には科学館があり、小中学生にはこの科学館に無料で入館できるパスポートが配布されていました。学校で科学館のイベントの案内をもらってくると、娘はその案内をくまなくチェックしては「これに行きたい」と言ったり、人数限定のイベントで申し込みが必要なものなどは自分で応募したりしていました。1年に何度も科学館に足を運ぶようになりました。

科学館には宇宙に関する展示やプラネタリウムもありました。自然と宇宙や星にも興味を持つようになりました。娘が小学5~6年生ころでしょうか、ある日私が仕事から帰ると、リビングの床に地球儀を置いて一人が小さなボールを持ち、もう一人が懐中電灯を持って、姉弟で何やら議論しています。皆既月食についての検証のようです。小さなボールは月、懐中電灯は太陽でした。まぁ、楽しそう!姉弟の仲が良いことも、様々なことに興味を広げることに大いに役立っていました。


子どもの興味を伸ばすためには、ある程度、親が様々なものに触れさせる機会を与えることも必要ではないかと思います。普通に生活していても、まだわずか数年しか生きていない子どもたちにとっては日々新しい発見で溢れていることは間違いありません。しかしまた、子どもたちの狭い世界の中で触れることができる物事には限度もあります。子どもの頃に様々な経験をすることで、さらにいろいろなことに興味を持つようになってほしい、そう思っていました。

私自身、子どもの頃にガールスカウトの活動をしていたので、キャンプなどの野外活動をする機会には恵まれていました。子どもたちにも同じように自然に触れる機会を持たせてあげたいと思っていましたが、家族でのキャンプなどの機会は持てずにいました。そこで小学生の頃には、夏休みなどに子ども向けキャンプを主催している団体の活動に参加させるようになりました。

3泊4日のキャンプ中、毎日の食事すべてを自炊する「クッキングキャンプ」をはじめ、冬の「雪遊びキャンプ」など、小学生の頃は毎年のように参加しました。自然に触れる体験というのは子どもの興味を伸ばすうえで不可欠なのではないかと感じています。我が家の子どもたちの理科好きは、自然に触れる体験によるところも大きいのではないかと思ったりします。

また、キャンプ以外にも、日常とは少しかけ離れた体験もさせてあげたいと思っていました。子どもたちの通っていた小学校では、6年生でスキー合宿に行くのですが、我が家は家族でスキーに行くようなアウトドア派ではありません。

小学校のスキー合宿で初めてスキーを経験することになるのも楽しいことではありますが、うちの娘の性格上、初めてのことを集団で経験したときに、人一倍周りのみんなについていくことが大変なのではないかと心配でした。あまり運動が得意でなかったこともありますが、それ以上に真面目すぎる性格ゆえに一度も経験したことがないことに対して必要以上に身構えるところがあったのです。

事前に一度でも経験しておけばきっと何倍も楽しめるに違いない、そう思ったので、人工スキー場の1日スキー教室に二人まとめて行かせてみることにしました。子どもの吸収は素晴らしく早いものです。最初はスキーの板をはめるのも一苦労だったのに、1日が終わるころには緩やかな斜面をなんとか滑れるようになっていました。子どもたち自身が楽しんでいたので、さらに別の日にもう一度スキー教室に行き、二人ともそれなりに上達しました。

子どもの性格にもよると思うのですが、初めてのことに対して恐れも躊躇もなく楽しんで取り組めるタイプの子もいます。しかし、娘も息子もおそらくこのタイプの子どもではありませんでした。どうせなら楽しい思い出が残りますように、親としてはそんな気持ちでスキー教室への参加を決めたわけですが、たったこれだけで「スキーは楽しい」という思いが子どもの中に芽生えるのであれば、少し値の張るスキー教室の料金も安いものではありませんか。


大人になる前に経験させておこうと思って私からアクションを起こして子どもに経験させたものは、スキー以外には、アイススケートとテニス、パラグライダー体験などです。

アイススケートは市の広報紙でスケート教室開催の案内を見つけたので、子どもに「これ行ってみる?行くなら会場までは送ってあげるよ。帰りは二人で電車に乗って帰れる?」と聞くと、二人とも「やりたい!」と言うので申し込みました。毎週日曜日の朝9時頃から始まるレッスンに約2ヶ月、朝寝坊を我慢して車で送ってあげることだけが私の役割でした。これは、あくまで「体験しておく」レベルでの短期間の習い事でした。

パラグライダー体験は、子どもの頃に空を飛ぶ体験をするなんて素敵だわ、と思った私が「これやってみる?」とパラグライダー体験を実施している団体のホームページを子どもたちに見せると、やはり例のごとく「やりたい!」と言うので体験しに行ったという次第です。緩やかな斜面を風に乗ってふわりと舞い降りる、という程度の飛行ですが「空を飛ぶ」感覚は味わえたのではないでしょうか。これも子どもから言い出すことなんて普通はないですよね。こんなのがあるよ、と親が示してこそ興味を持つのではないかと思います。

実際に海に入ってイルカと一緒に触れ合うドルフィンスイム(香川県)では、初めてのウエットスーツに身を包み、息子は一瞬でしたがイルカの背びれにつかまって泳ぐことができました(娘は触ることはできたようですが背びれには手が届きませんでした)。

船の上から間近で野生のクジラに出会うホエールウォッチング(高知県)では、船の全長よりも大きいのではないかと思うほど巨大なクジラの潮吹きを目の前で見ることができ、数十頭(40~50頭?)もの野生のイルカの群れに出会うこともできました。イルカが大群でピョンピョンと弧を描き海中をジャンプする姿は圧巻でした。この夏の息子の自由研究は「クジラの研究」、5年生だった娘はこの体験に感動したのか一人でいつの間にか旅行記を作り上げていました。

本州最南端の和歌山県串本でスキューバダイビングの体験もしました。小柄な小学4年生の息子にはダイビングの機材は少々重すぎたようで、ダイビング後のシュノーケリング体験の方が自由に動き回れて楽しんでいたようでしたが。本州でも熱帯魚が見られるということを私はこのとき初めて知りました。大人になってもまだまだ知らないことはいっぱいです。

テニスに関してだけは、物事への興味を広げるという観点とは若干違っていたかもしれません。運動が苦手な娘のことを心配し、また娘とは違ってやればそれなりにできないことはないのにスポーツへの関心が薄い息子のことも心配して、何か一つくらいは人並み程度にたしなめるスポーツを持っておきなさい、ということで私から子どもたちに働きかけてスクールに通うことになりました。

最近、娘に聞いてみました。「テニス習っておいてよかった?」「よかったわ~!テニスできなかったら、大学の体育の選択で選ぶものなかったし。高校のときも体育の授業で助かったわ。この間みんなで旅行に行ったときもテニスしたし~」

そうですか、それはよかったわ。これも日曜の朝9時からのレッスンだったので、息子が通った4年間(娘はうち2年くらい)、私は車での送迎のために日曜日の朝寝坊もできなかったのですが。娘に関しては「普通にスポーツのできる女の子のテニス初心者」くらいのレベルではありますが、それでも娘にとっては大きな財産です。

子どもが自ら何かに興味を示したときがチャンスです。そして、子どもが興味を持ちそうなことを親がさりげなく目の前に持ってきてあげることも大切かなと思います。子どもは基本的に学ぶことが大好きなので大抵のことには興味を示します。何かに興味を示したとき、とくに子ども自らが興味を示したことに対して、その気持ちを否定しないであげてほしいなと思います。親が子どもの興味を尊重し、その気持ちを認めてあげることが、勉強好きな子どもに育つ重要な要素なのではないでしょうか。

(次回は「●子どもを認めること」)


勉強しなさいって言わなくても勉強する子にどうやって育てたの?(1)


小学生の頃に二人で作った泥団子が7つ、まだ息子の部屋にありました。
1つは真っ二つに割れているし、よく見るとヒビがはいっていたものもあったけど、左下の一番大きなものはとてもきれいな状態でした。完璧なのができるまで頑張ってたなぁ~!ところで、色ってどうやって付けたんだろう?今度子どもたちに聞いてみようっと。たぶん17~18年前の泥団子です。

泥団子



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