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勉強しなさいって言わなくても勉強する子にどうやって育てたの?(8)

●お受験ママとの出会い

娘が小学6年生、息子が小学4年生の頃、私の職場にはお受験に懸けるママがいました。彼女には我が家の子どもたちよりそれぞれ1学年ずつ下の学年のお子さんがいて、中学受験を目指して二人とも小学3年生から塾に通わせているということでした。

ある日、「学校でよくできると思っていても、塾のテストを受けたら思っていたような成績が取れなくてびっくりするよ。一回塾のテスト受けてみたら?」と彼女から言われました。塾には無関心な私への親切な忠告でした。

家に帰って子どもたちに話すと「塾のテスト受けてみたい!」と言うので、ある進学塾で月に一回塾生が必ず受けているテストを外部生として受験してみることにしました。

一度も塾に行っていないので、子どもたちはそれまで全体の中での自分の位置を知る機会というものを持っていませんでした。少なくとも小学生の間は、学校生活の中ではそのような機会を与えられることはまずありません。自分の力試しをしてみたいという気持ちがあったようでした。

結果は、6年生の娘は有名進学塾の塾生の中で偏差値55程度、4年生の息子は算数に関しては偏差値70に達するかというところでしたが、国語の偏差値は50をわずかに切っていました。

もともと子どもに多くを望んでいたわけではない私は、娘の結果に関しては「こんなものでしょうね」、息子の結果に関しては「算数はさすが!大好きで自分から勉強していただけのことはあるわ、でも国語が平均点ないってどういうこと?」と少し意外な思いもありました。

返ってきた国語の答案を見てみると、漢字ができていないことに驚きました。中学受験を目指している子どもは学校ではまだ習っていない漢字や、少しひねった読み方の漢字も知っているのだということをそのとき改めて知りました。その反面、少し勉強すれば覚えられそうな漢字に関する問題が全部書けていたら、ひとまず平均は越えられるのだということもわかって安心しました。

このテストの後、二人は「数学検定を受けたい」と言い出しました。外部生としての受験でしたが、大手進学塾のテストを受けてみて、その中での自分の学力の位置を知ったことで、学校以外の場で自分の力を試す手段として数学検定を選んだのかもしれません。

算数に関しては、息子は常に少なくとも2学年上の内容は習得していましたので、二人で同じ級の試験を受けることにしました。二人での数学検定受験は、娘が中学2年生、息子が小学6年生の秋まで続きました。その後は息子だけが受けることになります。

姉弟二人一緒の最後の受験は、中学卒業程度の内容である数学検定3級でした。そして、二人とも合格。ですので、小学6年生の秋に息子は中学校で学習する数学の内容をすべて自力で習得していたということになります。私がしたのは、毎回次に受ける級のテキストを買うことだけでした。学校で習っていない内容も、自分たちで考えながら楽しく勉強していました。

娘がふと「Tって、中学行って何するの?もう中学の数学終わったよね。」と言いました。ここで初めて、中学受験が少し現実のものとして私の頭をよぎりました。息子の様子を見ていて何となくその可能性がないわけではないとは考えていました。それは、私から積極的に受験を勧めることはなくても、もしかしたら本人が私立に行きたくなるのではないかという可能性でした。


実は、お受験ママから毎日聞かされる中学受験情報に多少の興味がわいた私は、息子が小学5年生の時にK学院の入試説明会に参加しました。入試説明会なんて6年生で行くものだとばかり思っていた私は、「みんな4年生くらいからいろいろ情報を集めている」と聞かされ、「まぁ、すごいのねぇ~」と他人事のように思いながら、見学というよりも「見物」するような気持ちで息子と一緒に行ってみることにしました。

講堂に入り、入り口でもらった資料をパラパラとめくっていると、横からのぞき込んでいた息子が「ママ、この学校の授業料すごく高いよ!!」と慌てたように言いました。「そんなに大きな声で言わなくていいの。ママ、それくらいは知ってるから。」私は声をひそめて言いました。5年生にして、息子がものすごくまともな金銭感覚を身に着けていることを再認識しました。

そんな調子で入試説明会の「見物」を終えたものの、だから塾に行こうとかそんな気持ちはまったく起こらず、それまでどおり基本的には学校の勉強だけ、趣味で数学の勉強をするという毎日を送っていました。毎日の生活の中での唯一の変化は、毎朝学校に行く前に漢字ドリル(中学受験向け)を1ページだけするという日課が追加されたことだけでした。

ただ、もしも中学受験するようなことがあればK学院にしようと母は心に決め、息子には「塾に行かないで合格したら、K学院なら行かせてあげるよ~」とにこやかに告げておきました。


6年生の秋に中学数学の勉強が終わってしまったことで、息子がどんな中学生活を送るのかと考えたときに「好きなことを存分に勉強できる環境を与えてあげたい」という思いから、中学受験が現実味のあるものとなったのです。

ここまできて、私は、「お受験ママさんありがとう、5年生の時に説明会に行っておいてよかったわ」と思いました。どんな出会いも無駄なことは無いのですね。

(次回は「●息子の中学受験」)


勉強しなさいって言わなくても勉強する子にどうやって育てたの?(1)

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