haccaノベル

〖八花設計室〗 11月の作品ジャケットデザイン

〖八花設計室〗 11月の作品ジャケットデザイン

haccaノベルのデザイナー、石川です。 haccaノベルのデザインについて〖八花設計室〗と題してお届けします。設計室はそのままでも、デザインルームと読んでいただいても結構です。 11月リリース作品のジャケットデザインについて解説をしてゆきます。 *** 11/20リリースの『秋の記憶』。中村 リエッタさんの作品です。 hacca filmでも少し触れましたが、今回のジャケットには、キャラメルキャンディーとキャラメルシロップを用いています。 キャラメルシロップの色合

スキ
9
〖hacca film〗 『秋の記憶』

〖hacca film〗 『秋の記憶』

秋の記憶のジャケットは、これらから出来上がっています。
 八花設計室での紹介の前にちょっとネタバレです。
 モナンのキャラメルシロップ。
 ウェルダースのキャラメルキャンディ。 本当だ――秋はキャラメルに似ている。 私はその時、三谷のことを好きだと思った。 haccaノベル、最新作は中村リエッタさんの『秋の記憶』。
 何度読んでも、いいなあ、うまいなあ、と思います。 大きな記憶の喪失、その記憶ゆえに手にできないもの。
 不可抗力からくるもの、忘れたくて、でも大切だから呼び

スキ
7
〖八花設計室〗 10月の作品ジャケットデザイン

〖八花設計室〗 10月の作品ジャケットデザイン

haccaノベルのデザイナー、石川です。 haccaノベルのデザインについて〖八花設計室〗と題してお届けします。設計室はそのままでも、デザインルームと読んでいただいても結構です。 10月リリース作品のジャケットデザインについて解説をしてゆきます。 *** 10/20リリースの『ヒーローじゃない』。曳町 織さんの作品です。 第1回haccaコン受賞作品となります。 連載が終了しましたので、作品世界の内容にも触れつつ解説してゆきたいと思います。先に作品を読みたいという方は

スキ
5
ヒーローじゃない25

ヒーローじゃない25

 ──次のニュースです。先週発表された特級ヒーロー・青葉千晃氏の機関脱退について波紋が広がっており、国民の間でも不安の声が挙がっています。  ──これを受けて機関は記者会見のスケジュールを大幅に繰り上げ、早ければ今週末にも行なうとしています。  ここ数日間全く変わらないニュースの内容に、ソファでコーヒーを飲みながらアマネは思わずため息を吐き出した。半年以上全く動きがないと思えば唐突に出てきた特級ヒーローの機関脱退ニュース。驚きはしたが、予想していたことなので狼狽えることはな

スキ
2
〖hacca film〗 『ヒーローじゃない』

〖hacca film〗 『ヒーローじゃない』

第1回haccaコン受賞作『ヒーローじゃない』は、絶賛連載中です。 アマネとチアキ、ふたりの距離がぐっと縮まって……! haccaノベルの公式サイトから、ぜひご覧ください! 『ヒーローじゃない』の作中には、料理の場面がふんだんに用意されています。この季節らしい、実りの豊かさをお楽しみください。  棘のある返事をしてからコンロに火を付ける。フィリングは最初は弱火でじっくり煮て、最後に強火で一気に水分を飛ばすのが美味しく作るコツだ。林檎の皮はフィリングをルビー色に染めたい時に

スキ
7
ヒーローじゃない24

ヒーローじゃない24

 吐く息は僅かに白く、頬を撫でる空気は冷たい。山間部は冬の訪れが比較的早いので、十一月ともなれば厚手のコートを羽織っていないと寒いくらいだ。  雪はまだ見ていない。昔は十月には初雪を観測した年もあったというが、温暖化が進んだ為かここ数年は師走になってようやくぱらぱらと降る程度なのだという。とはいえ、油断していたらあっという間に降り積もって一面銀世界になってしまうので、雪かきや除雪機といった道具や設備は欠かせない。  先に外へ出たチアキを追って、準備を済ませたアマネも家を出て

スキ
3
ヒーローじゃない23

ヒーローじゃない23

 考えて、考えて、考えて。アマネの中で少しずつピースが合わさっていく。  どうするのが最善なのか、どうすれば──チアキを、助けてあげられるのか。  限りなく低い可能性の中で、それでも、アマネは諦めたくはなかったのだ。  髪を乾かし終えてリビングに戻ると、ソファに座って本を読んでいたチアキがこちらを向く。近寄ると、テーブルの上には開いたままの新聞や雑誌、本といった読み物と飲みかけのコーヒーが入ったマグカップが置かれている。朝に飲むコーヒーとは違うと一目で分かった。香りもそうだ

スキ
3
ヒーローじゃない22

ヒーローじゃない22

 ある程度仕事の目処がついた所でいつものように宮前家へ顔を出す。時間的に力也は巡回中の筈なので、家にいるのは七都子と、幼稚園が休みであるひめのだけだろう。  予想通りリビングでパソコンを使っていた七都子がいつものように出迎えてくれる。 「いらっしゃい、二人とも。何か飲む?」 「うーん、じゃあお茶貰おうかな。力也さん戻ってくるまでまだかかるよね?」 「そうねえ、さっき出かけたばかりだから。お茶ね、用意するわ」 「あっ大丈夫、自分でやるから。チアキも同じで良い?」  立ち上が

スキ
3
ヒーローじゃない21

ヒーローじゃない21

 さらり、と髪を梳かれている気がする。差し込まれた指先が頭皮からするすると流れて、毛先に近い所で引っかかるようにして止まる。アマネの髪は細い上に猫っ毛なので、整える前はいつもこんな調子で絡まっているのだ。今日も起きたら、念入りに櫛で手入れをしておかないといけないだろう。  髪を梳いていた誰かは、引っかかった場所で一旦手を止めて指先を抜いたようだった。無理に引っ張られると痛いだけなので、素直にほっとする。そう思っていたら、今度は髪を一房持ち上げられて、毛先をちょこちょこと弄る感

スキ
3
ヒーローじゃない20

ヒーローじゃない20

 静かに、扉の前に立つ。自分の部屋の扉ではない。その隣にある、チアキの部屋だ。  時刻は既に二十三時を回っている。リビングの電気は全て消しているので、この部屋は月の柔らかな光だけが頼りだった。今日は満月に近いので、いつもよりはほんの少しだけ明るいかもしれない。  夜勤があればきちんと電気を点けるし、二人の内どちらかが待機しているが、今日は力也が夜勤なのでこの家は久しぶりに完全消灯していた。  チアキの部屋の前に立って、早数分。アマネは未だに動くことが出来ず立ち尽くしていた。今

スキ
1