石川 葉

私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。物語を書きます。刺繍をします。インクの子どもたちの声を聞きながら。ホームページ http://www.roverdover.com / ヘッダー画:茅野カヤ

石川 葉

私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。物語を書きます。刺繍をします。インクの子どもたちの声を聞きながら。ホームページ http://www.roverdover.com / ヘッダー画:茅野カヤ

    マガジン

    • spin a yarn

      私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。 石川葉による小さなお話の連作。

    • 石川葉のブックハント

      石川葉のブックハント

    • ウェアウルフ

      ボルヘスの『幻獣辞典』から、モチーフの幻獣をピックアップして描く。そして、それをアイテム化する。 幻獣を着るのでウェアウルフ。狼男、wereをwearにして幻獣を纏う。

    • 火曜日の美術館

    • ガーランド|日々のこと

      石川葉の日々のこと。その虚実。

    最近の記事

    【spin a yarn】

    凍った湖の中で、妖精は魚と戯れる。ほとんど霊の妖精を魚が食べることはあまりない。それよりも星のかけらを使って遊んでいる方が楽しい。妖精が星のかけらを魚の口に運ぶと弾けるように泡になる。そのぶくぶくが楽しくて繰り返す。鳥の姿もなく、しんとしている。

      • 【spin a yarn】

        雪の中を駆け回ってきた妖精が、星の貯蔵庫にやって来る。雪と星が合わさっているの見つけた、と言う。年嵩の妖精が、それはあなたの体を通った星と雪だ、と答える。珍しいけれど、薬にならないから、あなたにあげる。妖精はその結晶を大事に胸に抱く。

        • 【spin a yarn】

          星の貯蔵庫を走り回り、飛び回る幼い妖精達。星を削り出している妖精は、止めることもなく作業を続ける。幼い妖精が星に触れると、それは震える。次々と星を鳴らす妖精。そこに鐘の音のようなものが響く。見上げれば、槌を持つ妖精が星をかき鳴らし歌わせている。

          • 【spin a yarn】

            それは粉雪か 星のかけらか 妖精に触れると どちらもまたたく

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          記事

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            【spin a yarn】

            妖精の姿を見失うことはしばしばある。それは妖精が霊であるからなのか、私の心の働きのせいなのかは分からない。どちらも、だろう。心の清さとは関係がない。私が視える時点で、はっきりとしている。探せば見つかる、というのは霊においてより真実なのだろう。

            【spin a yarn】

            妖精を見れば、凍える寒さの中にも、どうしても春を見出してしまう。それは喜びのような、しばらく続く苦痛のような。 春も妖精も、ただあるだけなのに、やはり嬉しく。 心に芽吹く春、そっと胸に手を当てる。

            ブックハント vol.1 『エルマーのぼうけん』

             わたしは『エルマーのぼうけん』のポケット版がかわいいなあ、と思って手元に置いている。  図書館で借りる単行本の、古い紙の酸い匂いも好きだけれど、手のひらで丸まる文庫本の柔らかさを気に入っている。  子どもの頃に読んだ内容は、すっかり乾いてしまっていて、思い浮かぶのは縞々のりゅうの姿ばかり。  読み始めても、いったいわたしは本当に物語の中を通ったのだろうか、と思うくらい何もかもを忘れてしまっている。  冒険に出かけるにあたって、わたしはエルマーと揃いの格好をする。まずは、ボ

            【spin a yarn】

            雪に紛れて星の降る 窓から差し出す手に触れて溶けたのは 或いは星のかけらだったかもしれないと

            【spin a yarn】

            寒いね!と笑顔で駆けてゆく妖精。凍った湖の上で滑って遊んでいる。はしゃぎ回って、転んだりもする。転びそうになった時、飛び上がってそれをかわす妖精は、ずるいよ!と非難される。氷の上では転ぶルールらしい。こちらの心配をよそに元気にくるくる回っている。

            Winter Greetings

             noteには妖精の物語をずっと投稿していたけれど、こうやって、物語ではないお話を書くのは、ずいぶん久しぶりなのじゃないかと思う。今日は、少し時間ができたので、ちょうどいい。  どうして時間ができたかというと、職場で体調を崩してしまったからだ。では、安静に寝ていなくては、と思われるところだけれど、いわゆる持病の発作のようなものなので、薬を飲んで、時間を置けば回復する。とはいえ、体が硬直してしまうので仕事はままならない。それで、早退したというわけ。  私は統合失調症と転換性

            【spin a yarn】

            妖精は、洋服に触れるとすでにそれを着ていて、いつも不思議な気分にさせられる。とても便利ね、と言うと、人も洋服に霊を分けてあげればいいじゃない、と答える。なるほど、洋服もその妖精の一部であるのか、と納得する。納得してもそれはできない。羨望である。

            【spin a yarn】

            素敵な予感の形 砂糖菓子でほころぶ瞳 私の妖精は、そういう姿をしている

            【spin a yarn】

            地上に降った星は月のように振る舞う。妖精はその特性を生かして、各々の星に合わせてカットする。研磨された中で質のよいものは女王に献じられる。装飾にするとも薬にするとも言われる。研磨された星から出た星屑は人の薬となる。瞳の曇りが少し晴れるという。

            【spin a yarn】

            腕の先ではばたく者は、その翅で舞を踊る。その舞について聞いてみても、意味はない、と答えるだろう。それにしては情熱的で、とても感情的に見える。美しいなあ、と口にすると、こちらに飛んできて、鼻先を翅で包む。柔らかく熱が伝わる。指先で拍手を送る。

            【spin a yarn】

            湖の底に沈む星を集める妖精。星は溜まる一方なので、湖の底はさぞかし明るいのだろうと思う。人に降る星が集められたらどんな細工をするだろう。どんなものを作るだろう。妖精よりも躊躇いなく、どんなことでもするだろう。人は確かに特殊な生物だと感じる。

            【spin a yarn】

            妖精が人の洋服を仕立てるようになったら、忽ちハイブランドに名を連ねるのではないかと思う。戯れに、半ば本気で、私の洋服を作ってくれないか頼んでみる。布を着丈分用意してくれたら作るよ、と請け合ってくれる。それから半年経っても布のまま。気長に待つ。