石川 葉

私の世界はどこまでも平ら、レイヤーの目を入れたり消したりして、時々君の前に現れよう。物語を書きます。刺繍をします。インクの子どもたちの声を聞きながら。ホームページ http://www.roverdover.com / ヘッダー画:茅野カヤ

ガーランド|日々のこと

石川葉の日々のこと。その虚実。

  • 12本

【ガーランド】:おやすみ

 やっぱり、どうしても心身の調子が悪くて、思うように続けられない。  来春のプロジェクトと長編執筆のために、毎日の投稿を、また休む。  誰に求められているわけでもなく、自分がやりたいのに、思考が停止してしまうもどかしさ。体がうまく動かない焦燥。  しばらくオンラインのnoteではなく、オフラインのノートに書きつける。  自分の中に棲むインクの子どもたちとしっかりと向き合う。  素敵な物語を紡げるように頑張ってみるよ。  じゃあ、またね。  春に、違う場所で。

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【ガーランド】:クララとお日さま|リコリスガール

『クララとお日さま』をオーディブルで聴き終わったわたしは、静かに涙している。  予想された結末ではあったけれど、人間側の想像力の欠如した愛情に、AF(人工親友)であるクララへ感情移入しているわたしは、怒りの感情を隠さない。  でも、と思う。わたしの愛したあの玩具に、ガラクタに、果たして感情はなかっただろうか、と。 「わたし、AFみたいにあなたのお世話をするでもなく、ただ遊び呆けているけれど、それで嫌いになったりしない?」  いっしょにクララの物語を聴いていたわたしの影は、ど

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【ガーランド】:ショコラ

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【ガーランド】:わたしになる

 今日は病院の日。  近況を伝える。  体の凝りや張りをなくせたらよいかも、という相談をすると、いつもの薬に加えて、内服薬として葛根湯を、外用薬としてロキソニンテープを処方してもらえる。  これでよくなってくれたら嬉しいなあ。  少し前に書いたプロジェクトの物語を書き始める。  ノートにぐんぐん、と書く。  見えてきたよ。  うん、素敵なものを届けられると思っている。  学びができ、原稿が書ける。  これでいいよ、わたし、いつでもこれがしたいんだもん。  魂はすでに救わ

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繭の中で本を読む

  • 4本

立ちどまらない少女たち/【小説】 繭の中で本を読む

 日曜日、オンラインでの礼拝を終えたわたしは、いつになく体調良好で、本屋さんにゆこうかな、と考える。  少し早い昼食に、カップヌードルをすする。オーソドックスな赤いパッケージ。わたし、飲食業界については、まるで詳しくないのだけれど、なんだか日本て、すぐにバリエーションを増やしたがる傾向があるような気がする。時々、新商品開発のドキュメンタリータッチのエンターテインメントを視聴するけれど、そこに登場する人物は、本気で毎週新商品を出すことを考えている。  それがお仕事だから、と言

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夜空はいつでも最高密度の青色だ/【小説】 繭の中で本を読む

 自分の書いている短い作品が詩か、と問われると、うーん、うん、まあ。と曖昧に答えると思う。【spin a yarn】も【March hare sings】も詩にカテゴライズしてもよいとは思う。散文の物語詩、とエクスキューズするかもしれない。ナラティブ、と言えればよいけれど、それには、なんとなく短すぎる気もしている。  とても煮え切らないことを書いているけれど、わたしの、詩を読む態度にも通じるもので、まだ親しく付き合うことができていない、というのが率直な気持ちだ。  いくつ

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インプットすること/【小説】 繭の中で本を読む

 今日のタイトルは書籍のものではなくて、わたしが考えていること。なので、今回はいつもの読書日記ではありません。  こちらの記事を読んで、へえ、そうなったら嬉しいな、と思ってやってみたことを書こうと思う。  タイトルに全て記載されているのだけれど、そこにある不思議な世界を体験できるなら、やってみようかな、と思って。  とりあえず、自分に必要なものとして、これから書く小説のタイトルと一行紹介文にしようと思ってやってみた。  もともと、手書きのノートにタイトル一覧はしたためている

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モモ/【小説】 繭の中で本を読む

 もちろん、わたしが紹介する必要がないほど有名で、読まれていて、間違いなく名作。三度目の読了だけれど、今回はオーディブルで聴いた。それがとてもよかったのでシェアするよ。  最初にオーディブルについて説明をしておいた方がいいかもしれない。簡単に言えば、amazonが提供しているオーディオブックだ。オーディブルのページから引用。 月額1500円(税込)でお好きなオーディオブック1冊のほか、無料でもらえる月替わりのボーナスタイトル、Audible限定のポッドキャストを聴き放題で

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火曜日の美術館

  • 11本

さんかく展 【小説】火曜日の美術館

 本当に久しぶりのギャラリー訪問だ。この「物語」も長い間、更新することができなかった。もちろん、緊急事態宣言下であったことは大きな理由なのだけれど、冬から初夏にかけて寝込んでいたことも、それに拍車をかけた。  都心へは先月、病院のついでの用事があり出かけたので、電車が久しぶりというわけではなかった。それでも、とても緊張した。ギャラリー訪問の前に薬をちゃんと飲めばよかったな。  少し上滑りしているところはあるかもしれない。それでも、今、じわじわと余韻を感じながら書いている。

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羊文学の「POWERS」を聴く そしてひたすら1曲をリピートする 【小説】火曜日の美術館

羊文学の新譜のリリース。楽しみにしていた。 Official Trailerはこちら。 職場への行き帰り、全曲をリピートして聴いていた。 そして、わたしは、お気に入りの1曲を見つけ、それをひたすら繰り返し繰り返し聴いている、今も。 3曲めの『変身』。 最初、 嘘つくな で、始まる曲なので、なんかちょっとやな感じ、と思った。でも、聴いているうちに一番のお気に入りになった。 その理由も、また歌詞。 わたしだけが一番可愛くなきゃやだ 両手いっぱいのハッピーをつかんでなきゃ

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10

「もしかしたらの物語」/「かげおくり」/「THE PARK」を聴く 【小説】火曜日の美術館

今、わたしは比較的調子がよい。理由はいくつかあると思う。ただ、そのうちのひとつは、本来ならば、絶不調に陥らせるような出来事だ。ただ、あまりに素敵なものに出会うと、悔しい気持ちを越えて、伝えなくてはならない気持ちになる。正しさは、分からない。やっぱり涙は流れてくる。それでも、それでも。 「もしかしたらの物語」 夏、7/30-8/10まで、西荻窪にある「URESICA」さんで樋口佳絵さんの個展が行われていました。「もしかしたらの物語」。 わたしは、いつか、どうしても佳絵さんの

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「画家が見たこども展」 【小説】火曜日の美術館

 わたしの心は、はしゃぐ。  こどもたちのいろんな表情、仕草、洋服。  かわいい! キュート! ラブリー! 猫ちゃん!  都心に出たのは4か月ぶりになるだろうか。久しぶりの美術展。足を運んだのは三菱一号館美術館「画家が見たこども展」。  ナビ派の絵画が好きなわたしは、コロナ騒動の前から足を運ぶと決めていた展覧会だ。観られないまま終わると思っていた。観ることができてよかった。嬉しい。  チケットは完全予約制。そのおかげで、ちょっとした貸切状態で絵画を観覧できる。それって、

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スクープ・ストライプ

女子高生がランジェリーブランドを立ち上げる! 三角冬夕と松下雪綺。ふたりの女子高生が、ブランド立ち上げやクラスメイトの抱える問題に真剣にぶつかりながら奔走する青春小説(全16回)。

  • 16本

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.16

***  今日は新作ブラの撮影会だ。もちろん撮影は高階、モデルはエミリー。 「メイちゃん、久しぶり。見学?」  冬夕がメイに声をかける。休日の今日、わたしの家にやってきたメイは私服姿。ボーイッシュなのは意外ではないんだけれど、それが、すっと似合っていて、普段着でもヒロインめいている。パリの街角のカフェにいそうな雰囲気ある。 「谷メイはわたしが呼んだ。迷惑だったかな?」 「迷惑ってなんだよお! ウィンターズだってわたしに会いたかったでしょ」 「うん。会いたかったよ。メイちゃん

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6

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.15

***  取材は翌週、家庭科室で行われた。冬夕とわたし、そして伊藤先生がインタビューを受ける。  なぜ、医療用ブラを作るようになったのか。作り方や生地の選定も含めて、細かいところまで取材を受けた。また、この間の文化祭の展示についても質問責めにあった。  展示内容は医療用のブラの変遷、と意気込んでいたけれど、歴史を辿れるほど特別な何かがあるわけではなかった。医療用のブラはやはり機能的であることが第一だった。  それよりもブラジャー自体の歴史が、女性性の抑圧や解放、様々な活動と

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.14

*** 「スプスプの文化祭大成功を祝して、」 「チアーズ!」 「チアーズ!」  わたしたちは、展示の片付けもそこそこに行きつけのアイスクリーム屋『ムーン・コーンズ』にやって来ている。  乾杯したのは、もちろんアイスクリームで。お互いレギュラーサイズのトリプルコーン。すごい贅沢してる〜! 「予約してくれた人、全員が買ってくれた」 「在庫、なくなったね」 「こんなに喜んでもらえて嬉しい。怖い気持ちもあったけれど、なんていうかヤバいね。楽しい」 「冬夕が語彙力失ってるの、めずらし

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.13

Ⅳ. Scoop Stripe! 「わたしが手芸部に入部したいと思ったのは、母にブラジャーを作ってあげたかったからです。  わたしの母は乳がんを患っていて、左胸の乳房を全摘しています。  それで医療用のブラをつけているのですが、ある時、こんな風にこぼしているのを聞きました。 『もうちょっとかわいくってもいいわよね。ボーダーのブラとか選べるようになったらいいのにな』  わたしは、そんな母の願いをかなえたいと思っています。  この学校の手芸部のみなさんの作品を文化祭で見たことがあ

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リコリスガール

リコリスガール|わたしの影の物語

  • 4本

リコリスガール|影の狼

影の渡り もういないものの例えとして 影の狼の渡り 結晶してさらわれる 光がきらきらと痛み、朝 木々の影に身を潜める 空耳の遠吠え 影にまぎれる むつみあう 闇がぽとりぽとりと垂れる、夜 尻尾の先がくすぶることもない 脚を夜に浸す 空の底を染める 駆け抜ける さよなら 朝が来るよ また輪郭が燃える さよなら 夜が来るよ 影と煤と闇は見分けがつかない  リコリスガール:0018 影の狼<了>

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6

リコリスガール|星を聴く

 昼の星の声 【カチカチ】  聞こえなくて ワーワーと走る  ブランコの見えない あさってからも 大きな足音  ふさぎこんでいるのは誰だ (ああ 日の光の声の大きい (影のはしゃぐ (これなら夜でもぐるぐる回っていられそうよ (はなれてはダメ (さあ 手を繋いで デートをしましょう (あんまり 日に焼けると なにかをうしなってしまうのよ (たとえば (白い肌 (もとよりないわ (うそ めまいして そのからだ 地に焼きつくというわ (あなたは顔に星を撒いてもかわいいと思うよ

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リコリスガール|そらのたね、届く

 わたしは何冊かの雑誌を定期購読しているのだけれど、それらはずいぶん前から積読状態で、いつか読まれることはあるのだろうか、と訝っている。  また入院することができたら読めるんだけれどな、とか思ったりもするけれど、それよりは作家となり、物書きとして必要最低限の所作として読書を行うことができるようになりたい。ずいぶん前から同じことばかりを話している。  それでも、ものを書くことについて、ひとつの大きな気づきが与えられたので、それでわたしは、なんとかやってゆけそうだ。近いうちに、

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12

リコリスガール|ウィッシュリスト

 わたしは、何かをやりたいと考えながら、ではそれは一体なんなのか分からず、一瞬、エウレカの尻尾を掴んだように思っても、それはするりと抜けてしまう。泣きながら目を覚ました時の夢の質量のように、確かにあったことだけ手のひらに残る。  ときめくイントロの予感、それはブレスをわずかに感じさせただけで去ってゆく。  胸の疼きだけ先走って、困惑している。  何か、焦がれるものだということは確かな、それでもそれを為すためには自分に決定的な何かが欠けているような。 「毎日、物語を書い

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