クビの配達引き受けます

クビの配達引き受けます あとがき&設定集

■あとがきまずは第二回逆噴射小説大賞お疲れさまでした。 拙作「クビの配達引き受けます」は最終選考落選となってしまいましたが、コメンタリーと拙作を照らし合わせてみれば確かに問題点が多かったなあ。 書店に置くことを前提に考えるなら、確かにこのタイトルは禍々しすぎるからなあ・・・。 要精進。 まあ2019年の10~12月は酷い事が重なりすぎて、そんな状況でもどうにか筆を止めずにいられたのは逆噴射小説大賞のお陰なので、それだけでも既にめっけもんですね。 以下、使わなかったりボツ

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クビの配達引き受けます #17 <完>

【戻る】  町を埋め尽くす超高層ビル群と言えど、雷雲の上まで突き抜けている物件は、そうそう無い。割合としては数十棟に一件と言った具合だろうか。  それらは一つの例外もなく他ビルに比べて巨大であり、最上部には球状の巨大なエネルギーアンプが設置されている。  そしてそれらの上空には、アンプと無線接続された巨大な居住ユニットが浮遊している。ここに、モリス達のような雲上人は暮らしているのだ。  形状は様々だ。小さな街並みを切り取ったようなものがあれば、前衛芸術モニュメントじみた

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クビの配達引き受けます #16

【戻る】  着地するザジ。膝立ち姿勢。猫じみた、まったく危なげない動き。  その挙動に、ヘカトンケイルMK-Ⅵは敵の健在を断定。次の攻撃の準備に入る。  それは正しい、的確な判断。  だが悲しいかな、遅かった。 「さ、て」  すぅ、と。  ザジは構える。右腕。雷の装甲内部、複合武装ユニットが目を覚ます。  同時にアンリミテッド・アーマー腰部に展開されていた雷の装甲、その一部が消失。蒸発に似た一部始終を、ヘカトンケイルは観測。推察。恐らくアレは増槽《プロペラント》の目的も

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クビの配達引き受けます #15

【戻る】  ZZZAAAAAAAAPPP!!! ビルの谷間に閃く、十数条の曲射追尾エネルギー弾。  長く尾を引く光の矢は、瞬きするよりも早くアーマード・パルクールへと着弾。  炎熱、衝撃、爆発――は、やはり生じない。雷の装甲が生み出す防御フィールドが、そのことごとくを逸らしたからだ。  とは言え、消滅した訳でもない。ビル壁などへ突き刺さる幾条かの光弾。ようやく生じる炎熱、衝撃、爆発。その中の一発は、モニタ内で尚も熱弁していたガヤリ・ラティナを吹き飛ばす。  何だ何だ、何の

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クビの配達引き受けます #14

【戻る】 「百八十秒ですよ、ザジ」 「わーってる、って!」  ザジは飛ぶ。目に見えて向上したスラスター推力は、数ブロック離れたヘカトンケイルへ追いつかんとする。  凄まじい速度。到達まであと何秒だろうか。こちらのハンマーパンチ突撃と同等、いやそれ以上の瞬発力がある――赤い保護シールドの下、ヘカトンケイルのモノアイは冷徹に戦況を分析する。  状況、不利。撃墜可能性濃厚。されどAIに撤退の二文字無し。何よりヘカトンケイルmk-Ⅵにも、切り札がある。 「おっ?」  ザジ

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クビの配達引き受けます #13

【戻る】  衝撃。爆音。炸裂音。金属がひしゃげ、ガラスとコンクリートが砕け散る。  ヘカトンケイルmk-ⅥのAIが予測した光景は、しかし当たらない。 「な、んだ」  APの背で、モリスは息を絞り出す。彼は今、この鉄火場に最も似つかわしくない空気を味わっていた。  即ち、静寂である。  銀箱の、生命維持装置の小さな駆動音。聞こえるのはそれくらいだ。収音機構をどれだけ調整しても、破壊音は何一つ見つからない。下の喧騒を拾うのが精々だ。 「さぁて」  バイザーの下、ザジは

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クビの配達引き受けます #12

【戻る】  この町の上空を、常に覆っている雲の天蓋。本来あるべき成層圏よりも、随分下に垂れこめている分厚い灰色。幾本もの超高層ビル上部を飲み込みながら、時折直角の稲光を閃かせる異様は、アーカイブにしか存在しない神話のよう。  不自然極まりないこれが何なのか、知る者はいない。調べようとする者さえ居ない。それこそ不自然なまでに。  故に。一般人が雲について知っているのは、ただ二つ。  一つ。あの雲自体が、雲上人と自分達を分かつ壁である事。  二つ。時折直線状の稲妻が落ちる時

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クビの配達引き受けます #11

【戻る】  金属音、金属音、金属音が連続する。振動がモリスの髪を揺らす。だが被弾ではない。あんな弾雨にさらされれば、アンリミテッド・アーマーはともかくモリスの銀箱はクズ鉄となってしまう。  では、その正体は何か。  箱の外部カメラと、サンジュから提供されたアーマーのシステム状況データ。二つを同時起動したモリスは、見た。  ザジの両膝、右前腕、そして腰――銀箱の真下。それらの部位に装着されていた増加装甲、ハンドガンのホルスター、貨物保持用マルチアームユニットが、次々にパー

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クビの配達引き受けます #10

【戻る】 「ほう」  モリスの口角が上がる。同時にヘカトンケイルの四連ガトリングガンが、火を噴いた。  BRATATATA!「それはいよいよもって光栄だね。あのアンリミテッド・アーマーの全力を引き出せるとあっては。正式採用……早めの量産も視野に入れないとな」  吹き荒れるは嵐のごとき弾雨。射線が狙うのは、無論APザジである。 「いやいやまあまあリミッター解除と申しましても最初の一段階程度でしてようやくギアが一つ上がる程度と申しますかまだまだ底は深いのでございますと申

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クビの配達引き受けます #9

【戻る】 「ありゃあ」  バイザーの下、ザジは眉をひそめる。  AP弾は全て命中した。だがヘカトンケイルの防護シールドには傷一つ無い。赤い瞼の下で、巨大なモノアイが照準を合わせる。笑うかのよう。  ザジは、あえてその目を覗き込んだ。 「この距離でAP弾を弾くのかあ。やるなオマエさん」 「実際問題中々に丈夫強靱頑丈頑健な素材でございますね珍しい興味深いこれもまた新素材新開発新商品というコトなのでございましょうかモリス様」 「ああ」  そうモリスが頷いた矢先、ヘカトンケイ

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