キャリア

「何をすべきか」でキャリアを決めるべきではない。【あなたのキャリア・アンカーを知ろう】

キャリアを考えるうえで、「何をするべきか」と自問自答することがあります。

しかし、この考え方では、自分にとって最も良いキャリアを選べないかもしれません。

なぜなら「すべきこと」とは、自分の考えた結果でないことがありえるからです。

具体的には以下のような例が挙げられます。

・みんながなりたがっているから、経営コンサルになる。
・親が安定した職に就けと言うから、公務員に就職する

これらはすべて、最終的な意思決定は自分で行っているように見えます。

しかし、その意思決定の根拠が自分の考えに基づいていません。そのため、自分の意志に基づいた決断とは言えないのです。

このような状態では、目的を達成しても満足できない可能性があります。

したがって、「何をすべきか」でキャリアを決めることは非常に危険だと言えるのです。

「何をすべきか」ではなく、
「何が譲れないか」を考えよう

キャリアを形成するうえで「自分がなにをすべきか」と考えるのが危険であるならば、どうすれば自分に合ったキャリアを選択できるのでしょうか。

重要になってくるのが「キャリア・アンカー」という考え方です。

キャリア・アンカーとは、以下のように定義されています。

個人がみずからのキャリアを選択する際に、最も大切あるいはどうしても犠牲にしたくない価値観や欲求
――エドガー・H・シャイン、金井壽宏訳『キャリア・アンカー』白桃書房、2003年

このようにキャリアを考えていくためには「何をすべきか」と考えるのではなく、「譲れない考え方はなにか?」を明確にすることが大切です。

では、そのキャリア・アンカーとはどんなものなのでしょうか。

具体的には8つの種類あります。

8種類のキャリア・アンカー

キャリア・アンカーには8種類あります。それが以下の通りです。

・専門・職能別能力
・経営管理能力
・自立・独立
・保障・安定
・起業家的創造性
・奉仕・社会貢献
・純粋挑戦
・生活様式

これらひとつひとつが、その人の譲れない価値観になりえるものです。

では、具体的にどんなものなのでしょうか。1つずつ解説していきます。

専門・職能別能力

専門・職能別能力がキャリア・アンカーである人は、自分のスキルや専門性を大切にします。

そして、そのスキルを磨き続けられる環境に魅力を感じます。

これは、自分の持っているスキルを実践することが生きがいであるからです。

そのため、自分の専門領域で挑戦し続けられると幸福を感じます。

経営管理能力

経営管理能力がキャリア・アンカーの人は、出世することに興味があります。

組織の中で高いポジションに位置し、メンバーの努力をまとめ、チームの責任をもつことが喜びです。

自立・独立

自立・独立を大切な価値観とする人は、自分なりの仕事の仕方を大切にします。

そのため、自営業やフリーランスなど、自立性の高い職業が向いています。

保障・安定

保障・安定をキャリア・アンカーとする人は、雇用の安定を大切にします。

そのため、どれだけ長く同じ会社で勤務できるかや、同じ組織の中でどれくらい成果を出せるかが重要な指標です。

起業家的創造性

キャリア・アンカーが起業家的創造性の人は、その名の通り起業家に適性があります。

自分だけの力で、障害を乗り越えていくことに意欲的です。

また、自分自身が究極の成功を収めるためのリスクテイクをためらいません。

そのため、キャリアの中の失敗にも耐えることができます。

特徴として、自分自身の価値を企業の規模や会社の成功で測る傾向があるようです。

奉仕・社会貢献

奉仕・社会貢献を大切にする人は、自分にとって価値あるものの実現を生きがいとします。

そのため、世界をより良くすることや環境問題の解決、問題の調停・解決、誰かを助けることなどに高い関心を示すようです。

純粋挑戦

解決不可能と思われる課題に取り組んだり、強敵に打ち勝つための努力をしたり、困難な障害にトライしたりすることに喜びを感じるのが、純粋挑戦をキャリア・アンカーとする人の特徴です。

相手との競争が好きな人は、純粋挑戦が高いと言えるでしょう。

生活様式

生活様式がキャリア・アンカーの人は、自分や家族、キャリアのバランスを取ることを大切にします。

そのため、それらのバランスを取るために必要な柔軟さをキャリアに求める傾向があります。

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以上が8つのキャリア・アンカーです。

あなたはどのキャリア・アンカーが一番近い価値観だったでしょうか?

詳しく知りたい方は、以下をチェックしてみてください。

40の質問に答えることで自分はどんなキャリア・アンカーを持っているかを知ることができます。

また、そのキャリア・アンカーを持っている人の実例も載っているので、大変参考になります。

ぜひ、チェックしてみてください。

(※ちなみに、こちらの本はブックレットなのでめちゃくちゃページ数が少ないです。物理的にめっちゃ薄い。ただし、内容は濃いものになっていますので、キャリア・アンカーを知るためにもやってみるのはオススメです。1時間ぐらいでできます。)

ハシモトの場合

僕も実際にこのキャリア・アンカーをやってみました。

すると、「専門・職能別能力」と「奉仕・社会貢献」で高い数値が出ました。

反対に、「保障・安定」と「純粋挑戦」はめっちゃ低かった。

僕にとってのキャリア・アンカーは、
・専門領域の技能が身に付き、それを向上できる環境
・その能力が社会の役に立っていると実感できる機会

のようです。

一方、ずっと同じ職場で働き続けられたり、無理難題に取り組んだりすることにはあまり価値を感じないことがわかりました。

今までの経験を振り返ってみると、これはたしかに当てはまっている実感があります。

このキャリア・アンカーを1つの基準として、キャリアを形成していく際の参考にしたいと思っています。

まとめ

さて、あなたはどんな価値観を大事にしているでしょうか。譲れない価値観とはなんでしょうか。

より良いキャリアを選択していくために、あなた自身のキャリア・アンカーを明確にしてみることはオススメです。

…というわけで、また明日!

[参考文献]エドガー・H・シャイン、金井壽宏訳『キャリア・アンカー』白桃書房、2003年
山口周著『仕事選びのアートとサイエンス』光文社、2019年

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