マガジンのカバー画像

琴線に触れたnote集

1,428
何度でも読みたくなる。 出会えたことに心から感謝したい、素敵なnote集。
運営しているクリエイター

#小説

短編小説「新春」(約5000字)

noteを投稿し始めてから5年が経ちました。 5周年記念として初めて有料の小説を投稿します。 …

150
幸野つみ
7か月前
67

「子どもを産んだ人はいい小説が書けない」

「子どもを産んだ人はいい小説が書けない」と言われたのだった。 あまりの衝撃で唖然としてし…

ハイライト

                    前日の雨で桜の花はほとんど落ち、路面や水たまりに…

149

小説すばる新人賞歴代受賞者インタビュー「こうして私は作家になった」 第4回・村山…

 『小説すばる』本誌上でスタートした、歴代の新人賞受賞者によるリレーインタビュー企画。 …

ハイライト

 前の日の雨で桜の花はほとんど落ち、路面や水たまりに散らばっている。泥にまみれた花びらを…

285

新宿の雪

 新宿の路地裏。サラリーマンの胸ぐらを掴んで突き飛ばす。 しばちゃんが倒れたサラリーマン…

201

消えない泡 #あの夏に乾杯

北の夏は短い。 盆だというのに吹き込む夜風は涼しく、虫の声も秋を感じさせる。リビングの窓の網戸には、大きな黒い虫が張り付いて離れない。蛍光灯の光に引き寄せられてか、夕飯のカスがこびりついた皿の山に用があってか。 「おい」 テレビの前の父親に目を向ける。むっくりとした猫背のラインに、グレーのTシャツがぴったり張り付いている。野球観戦後そのままのチャンネルで垂れ流されるCMでは、最近人気の俳優が爽やかな笑顔をこぼし、ビールを飲み干している。 「一杯、どうだ」 夕飯の時か

やっぱりぼくは、もう一度、小説を書きたい。

家の中ではVAPE──ニコチンを含まない電子タバコを吸っているんだけど、たまに扱いをミスって…

伊藤チタ
2年前
58

掌編「カッシアリタ」 逃げて

 本当に久しぶりだねえ。  車いすの膝の上にお盆を乗せながら、マキははしゃいだ声を上げた…

月に吹く風

久しぶりにスーツケースとパスポートを用意する。 行先は日本から南へ3,210㎞。 パラオ。 * …

183

短編小説 「現実の街」

「おれ、悪魔をつくる方法なら知ってますよ」 横川はそう言って、デミタスカップからエスプレ…

西平麻依
3年前
94

付け足されたエンドロール

隣の席よりも、斜め後ろの席がよかった。 学ランから浮かび上がる肩甲骨。夏服の袖から覗く右…

翠 はるか
3年前
53

もう君なんて必要ないよ

ずっと一緒だと思っていた恋は、いとも簡単に壊れてしまった。大切だと思うものほど、いつも簡…

着替えのときまでもうすぐ

この齢になっても、自分はぜんぜん大人じゃないな。私がそう思ったのは、ショッピングモールの床に大の字になって、泣き叫ぶ4歳くらいの男の子を見かけたのがきっかけだった。 『あのおもちゃがほしい』 『パパじゃないといやだ』 『大切にしてくれないと、ずっと泣くぞ』 うおう、うおうと泣いてじたばたしている男の子の心の声を想像して、私はつい自らを重ねた。私の心のなかにも、常に泣きわめいている小さな女の子がいる。ほしかったものを数えて、恨みがましく思い、わがままを言ってはふくれてい