はるまき

読んだ本と出かけた場所の話をしていることが多い。

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ふしぎに思うこと

 前からふしぎに思っていることがある。 「やらない善よりやる偽善」という言葉。  なぜ「善」と「偽善」を対比関係にするのかがふしぎでならない。  たしかこれは『鋼の錬金術師』に登場するロックベル夫妻が敵味方の区別せず戦地で医療行為を行なっていた時に、それは偽善だという非難に対して答えた時の台詞だったと思う。(他にもあるだろうけどわたしはハガレンで記憶している)  ロックベル夫妻は、なにも「善」を成そうと治療にあたっていたのではなく、ただ「悪」を許していなかったから、悪以

    • 最近読んだ本!師走

       師走も終わりに近づいたので、最近読んだ本を駆け足でまとめます。 ♢ 『情事の終り』 グレアム・グリーン著,上岡伸雄訳  舞台は第二次世界大戦直後のロンドン。作家ベンドリックスと人妻サラとの不倫関係は1年半前に終わったはずだった。だがある日、ベンドリックスの友人でサラの夫・ヘンリーが、妻の不貞を疑って相談を持ちかける… サラの愛する“彼”とは? 嫉妬に燃えるベンドリックスは探偵に調査を依頼した…  面白すぎた。あまりに面白い本を読むと面白いとしか言えなくなって感想を書け

      • 東京ジャーミイ探訪記

         代々木上原にあるモスク、東京ジャーミイへ行きました。  この日は第二回パレスチナデーが開催されていた。ツイッター(現X)を拝見していた、刺繍製品の販売を通してパレスチナ難民女性の支援を行なっている団体、パレスチナ・アマルが緊急で立ち上げたガザ支援NGO【Amal for Gaza】も出店すると知り、これは絶対行こうと決めた。  募金した際、代表の北村さんからお話を聞けてよかった。緊張でしどろもどろになってしまってすみません。ガザ現地の副マネージャーの方のお話を伺って、日

        • うつろなクリスマスイヴ

           ガザ地区で虐殺が起きているさなか、今年はイエス誕生の地ベツレヘムの教会ですらクリスマスを祝わないのに、「メリークリスマス」って何を祝っているのだろう。  もし自分が子どもの遺体が地面に並んだ写真を見た後でも、お茶を一杯飲んでいる間にも人が殺されていると知りながらでも、いつも通りに好きなことを楽しめるような人間だったらと考えるとゾッとする。だからこれは人の感情の動きとしておかしくはないはずだと言い聞かせる。  ただ、ツイッターを開けば、推しユニの新譜やMVに盛り上がってい

        ふしぎに思うこと

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        • すきな記事
          8本
        • 探訪記
          6本
        • 偏愛
          4本

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          青い空に祈る

           休職して時間ができた。いつものことなんですけどよくツイッターを見ている。  目に飛び込んでくるのは、虐殺された人の身体、手足があるはずの場所に何もなく剥き出しになっているベッド、白い布で巻かれた遺体を抱きしめる人の涙、患者でいっぱいの病院の床、空爆で破壊された建物、廃墟と化した街などである。  働いていた時は自分のことが手一杯で、ニュース記事になっているものは読んでいたものの、それ以上深く現地の情報を追ったりはできなかった。  今わたしは会社を休み、苦痛から切り離された

          青い空に祈る

          ブックサンタになった

           先月、ブックサンタになってきた。  そういえばわたしはサンタになったいちごのアイコンで電脳世界に生息しているから、考えようによっては年間通して常にサンタだったかもしれない。自覚が足りないとトナカイに怒られそうな生活を送っている。  さて、ブックサンタとは全国のNPOと書店が連携したプロジェクトで、自分の好きな本を購入することで困難な状況に置かれた子どもたちに寄付できるというものだ。  知り合いの子に贈るのだったらその子の好みに合わせておすすめを考えたりできるけど、これは

          ブックサンタになった

          続くメビウスの輪

           休職中の日記です〜  使うタイミングが分からんとか言って溜め込んでいた有給が役に立ってよかった。  特に細かいことは書かないが、驚くほどあっという間に休職が決まり、ありがたさと申し訳なさで「あれっ???」と感情の梯子を外された感がある。  正直なところ、日頃からこのスムーズな連携とコミュニケーションがあったなら普通に働けたのでは?以外の何ものでもなく困惑している。わたしが真面目すぎるがゆえに誰にも相談せずに一人で抱え込んで爆発した感じにまとめられたことにはちょっと疑問が残

          続くメビウスの輪

          買ってよかったもの 2023

           とりあえず本と舞台のチケット以外で……。 ノイズキャンセリングヘッドホン  スマホの有線イヤホンの穴が消えてしまって途方に暮れていた。なくならないでほしかった。  以前から買い替えるならノイズキャンセリング機能付きのものにしたかったのだが、今年は確実に推しのセンター曲とソロ曲が発表されるじゃんと思って奮発した。イヤホンは小さくて失くしそうなのでヘッドホンを買ったところ大正解だった。  わたしは背後でざわざわごちゃごちゃと人の話し声がする状況が苦手だと気づいたのだが、ヘッ

          買ってよかったもの 2023

          亡霊のアキレス腱

           浮世を彷徨う記憶の亡霊は文章にすると成仏する気がしているので、今さら言っても面白いことはないが、前進するために書いてみようと思う。  小学6年の冬、不登校になりかけた時の記憶だ。  あの頃、6年生を送る会が間近に迫っていて、毎日練習に追われていた。来る日も来る日も組体操の4段タワーとソーラン節と合唱の練習をやらされていた。わたしは平成生まれのゆとり世代だが、わたしの通っていた小学校は時代とは逆行していて、地元では軍隊と呼ばれていた。今でも小学校の名前を聞いて思い浮かぶ四字

          亡霊のアキレス腱

          1週間おつかれさま

           指示が分かりやすいように自分なりに頭をひねって分かりやすくまとめて書いたメールを、送信前に確認してもらった。  書く必要のないことを書いていると指摘される。私が「この情報があった方がきっと問題が分かりやすいだろう」と考えて書いた箇所だ。  私はあがり症な上にかなりな口下手なので、せめて文面では分かりやすく書こうと心がけているつもりだった。それに、自分はそれなりに文章が得意で、国語が得意な人として生きてきた自負心があった。ただの自惚れだったのかもしれない。  自分で考えて書

          1週間おつかれさま

          おふろであたたまろ

           寒い。秋はいったいどこへ行ってしまったのか。  まだしばらく秋の実りを楽しみたかったのだが、わたしの心は早くも氷河に閉ざされていた。毒が回った土ではもはや豊かな実など成るはずもなく、根が腐って幹も枝も枯れゆくばかりだ。一刻も早く枯葉をかき集めて焚き火で暖を取りたい。そこで焼き芋をしたりマシュマロを焼いたりマイムマイムを踊ったりするんだ。(訳・しごとやめたい) ♢♢  こういう時は、何はともあれ風呂である。  発泡する入浴剤をふたつに割って、湯船の中で手のひらに載せると、

          おふろであたたまろ

          アイスクリームが彩る秋

           先月、初めてサーティワンアイスクリームを食べた。お店の前を通るたびに憧れをあたためてはいたが、夏はすぐに溶けてしまうし冬だと寒いから食べごろの時期がよくわからず、食事というわけでもないし腰を落ち着けて食べる感じでもなさそうだしで何時ごろに食べたらいいものなのかも見失い、まあまた今度にしようか…と見送っていたら、いつしか長い年月が経っていた。 ♢♢  その日わたしは推しのイベントを完走してハイになっていた。アニメイト店頭に掲示されている「イベント実施中‼︎」のポスターを拝

          アイスクリームが彩る秋

          ぬい服 製作日記

          ぬい服をつくった! 念願のぬい服を作った。想像していた以上にかわいくてかわいい!しか言えなくなっている。かわいい… かわいいよぉ…  この記事はぬい服デビュー記念の備忘録です。 ♢ 材料  ユザワヤで購入したふわふわラビットファー、キラキラのパーツ、好きな柄のはぎれ、余っていたボタン、細いリボンなどを使った。最初は首元のリボンに写真中央の刺繍リボンを使うつもりだったけど、耳と合わせた方がかわいいかな〜と思って途中で予定変更した。 ♢ 役立った道具 ・コロコロ  フワフ

          ぬい服 製作日記

          旧古河庭園探訪記

           週末に旧古河庭園へ行った。ちょうど秋の薔薇が見頃でローズフェスタを開催していた。  いろんな品種が咲いていた中で、特に「熱情」という名の真っ赤な薔薇に惹かれた。「情熱」も「熱情」も語感がすごく好きだ。情熱よりもさらに苛烈に燃え滾る熱情ってどんなだろう。思いを馳せるとこちらまで高揚してくる。  情熱の真っ赤な薔薇は心の中で太陽に向かって燦然と咲き誇るすがたを想像できるのだけど、熱情の真っ赤な薔薇となると、血を滴らせたり握り潰されたり枯れて干涸びるような、傷ましい終焉を想起さ

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          やめた〜い!

           仕事辞めたい。絶対この環境との相性が最悪だ。  以前よりも細かいミスが増え、数少ない朋友・集中力もわたしに背を向ける。限界が足音を立てながら背後に迫ってきている気配を感じながら働いているが、わたしは何かを辞めることが非常に苦手だ。  何かしんどいことを伝えたくて人に相談する。ただでさえテンション低めなわたしは、当然嫌なことについて明るく前向きには話せないし、辛気臭い顔で陰気な内容を話すので、間違いなく「早く辞めた方がいいよ」と言われる。  そこで「だよね!やーめた!」とア

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          楽しき哉、夢小説

           わたしは夢小説を書くことが好きなので夢小説について書きます。  もともとわたしは読書する時に好きな場面を好きな配役で舞台化(ドラマ化)した妄想をするのが好きだったので、その延長で夢小説を書き始めたように思う。恋愛小説は主観的な心理表現が緻密で美しくてロマンチックなところと、客観的に見れば登場人物たちの必死さが歪で滑稽ですらあるところが同居しているのが好きでよく読む。  愛とか欲とか性とか、なんかどうしようもないぬめぬめした汚らしい人間の業を問うてくるようなテーマを扱ってい

          楽しき哉、夢小説