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ブックサンタになった
先月、ブックサンタになってきた。
そういえばわたしはサンタになったいちごのアイコンで電脳世界に生息しているから、考えようによっては年間通して常にサンタだったかもしれない。自覚が足りないとトナカイに怒られそうな生活を送っている。
さて、ブックサンタとは全国のNPOと書店が連携したプロジェクトで、自分の好きな本を購入することで困難な状況に置かれた子どもたちに寄付できるというものだ。
知り合いの子に贈るのだったらその子の好みに合わせておすすめを考えたりできるけど、これは見ず知らずのわたしの一存で選ぶしかないのでなかなか悩む。最近読んだ本の中から「小さい頃の自分の枕元に置きに行きたいな〜」と思ったものを選んだ。
♢ 『ネバーブルーの伝説』 日向理恵子著
昔、インク壺に憧れていた。今でこそ万年筆とかガラスペンとか流行っているし、過去の憧れを今の日常で実現させることもできるけど、当時はそんな素敵なものを現実世界でも使えるとは知らなかった。インク壺や羽根ペンってダイヤゴン横丁に行かなくても手に入るものだったんですね。
この物語を読んだ後、きっと青色のペンで文字を書くのが前より楽しくなると思う。自分だけのネバーブルーのインクを探してみたくなった。
♢ 『カトリと眠れる石の街』 東曜太郎著
歴史ある街を舞台に、生い立ちも性格もまったく違う子どもたちが偶然出会って友情を育み、知恵と勇気を携え冒険して、大人を出し抜き、謎を解き、困難に立ち向かう…… 小さいわたしはこういう物語が大好きだった。今でも大好きだ。
この物語で少女ふたりが主人公で活躍していることが嬉しかった。
まくらくらまさんの表紙と挿絵がとても素敵で、本を手に取って眺めているだけでもワクワクしてくる。
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本の話をする時にいつも思っていることだが、自分の好きな本について断片的にでもいっしょに語らえる仲間とめぐりあえたら、本当に素敵なことだと思う。読書は本に対して素直に心を開いて行う行為だから、本の思い出と繋がりあった友と出会えた時の喜びは他のものには代えがたい気がしている。わたしが贈った本を受け取ってくれた子が、物語の中にせよ現実世界にせよ、そんな存在を得ていたら嬉しい。
ところでサンタが今ハマっている本。
♢ 『情事の終り』 グレアム・グリーン著,上岡伸雄訳
この本は遠藤周作の講演をまとめた『人生の踏絵』の中で取り上げられていて興味があった。
本屋さんで背表紙を見かけるたびに「物々しいタイトルだな!」と思ってはいたが、自分で手に取ったことはなかったので、ひょんなことから読んでみるきっかけができて幸運だった。
裏表紙の紹介文がすでに良い。捨てきれぬ情と憎しみとの狭間で煩悶する作家ベンドリックスは、その雨の夜、サラの夫ヘンリーと邂逅する…… 究極の愛と神の存在を問う名篇…… サンタはこういうのにすこぶる弱いんだ。
読み始めたら面白すぎて逆に読み進められなくなってしまっているのだが、年内には読了したい。
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