摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~428
お茶のほろ苦さと、大福の至福の甘さ……その組み合わせ、そのバランスが大切なのかもしれない。物事も、考え方も、人生も、何もかも。苦いものばかりでは甘いものが欲しくなるし、甘いものばかりでは飽きてしまう。苦いものも甘いものも、どちらも必要で、大切なのだ。そんなことに気が付くまで、一体何年かかったのだろう……
*
どれくらい時間が経ったのだろう。真冬の砂浜で座っていると、さすがに寒さが身に染みた。
「そろそろ帰ろうかなぁ」
波の音が、いつまでも心地よく耳に響いていた。
*
帰りの電車の中から、ぼんやりと外の景色を眺めていた。
私にもいつか、亡きおばあちゃんのように孫娘と一緒に甘いもんを食べる日が来るのかしら。
それには、結婚して、子供が生まれて、その子供に孫が生まれなければ。いやその前に、彼氏を見つけるのが先ね……途方もなく遠い未来のことを考えている自分が、何だかおかしかった。
そんなことより、帰ってからいつものように買い物をするのかしないのか、過食するのかしないで済むのか。そんな、もっと現実的なことを考えるべきなのかもしれない。
いや、もしかしたら、途方もなく遠い未来のことをぼんやり考えているくらいがちょうどいいのでないか、とも思う。日々の生活に追われて、目の前のことしか考えていないからいつまでたっても『痩せること』と『食べること』が頭から離れないのかもしれない。
今の私には、ぼんやりとか、途方もなく遠い未来とか、そんな曖昧で不確実なことに思いを馳せる『ゆとり』が必要で大切なこと、のような気がした。
『甘いもんは心の栄養なんだから』
そんな言葉をいつか言ってみたい。
『おばあちゃん、お菓子は500円まで買ってもいいんだよね?』
そんな言葉をいつか言われてみたい……
今日もありがとうございます。
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