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面白い会社をつくる鍵は、楽しむ姿勢と信頼関係にある

ある調査によると、一般的な日本の正社員は、毎日8~10時間仕事をしているようです。

1日の3分の1以上の時間を捧げる仕事。
せっかくなら少しでも楽しく働きたいものです。

そこで今回は、社内でとくに仕事を楽しんでいるように見える、代表の樋口と取締役の鈴木に話を聞きました。

仕事を飽きずに楽しむ秘訣や、経営者として考える面白い会社のつくり方。
私たちが仕事と向き合う上でのヒントがたくさんありました。

順当なキャリアアップは考えたことがない

ー社内のエンジニア第1号として入社した鈴木さん。それまでの経歴を教えてください。

鈴木:高校生のときは獣医になりたくて生物に没頭してましたが、内部進学テストの結果が悪かったので、現役でいける選択肢の中で環境系のコースがある土木工学に進みました。
大学在学中にだんだんとCM映像編集に興味が湧いて、大学とは別の学校にも通っていました。当時は漠然と、建築会社や映像制作の仕事にでも就こうかと思っていました。

-あれ?エンジニアを目指していたわけではないんですね?

鈴木:そうですね。実は、就職活動を一度辞めているんですよ。当時アルバイトをしていたコンビニに強盗が入って、その強盗を私が捕まえたんです。でもそのせいで、就活とかやる気がなくなっちゃったんですよ。

樋口:自分が捕まってやる気が無くなるのはわかるんだけど、捕まえたのにやる気が無くなっちゃったの?

鈴木:そうなんです。「強盗を捕まえた」という同じことなのに、いろんな大人の事情があって、褒められたり怒られたりしました。おかしいですよね。私としては、ここで捕まえないと他のお店も襲われてしまうと思ったんです。

とても不条理さを感じた出来事だったんですが、それがきっかけで物事の見方や価値観について、いろいろと考え直すきっかけになりました。

周りの友だちが必死に受けているような建設会社にどうしても行きたいわけではなかったので、自分の好きなこと、やりたいことをフラットに見つめ直してみました。

実家には幼稚園の頃からコンピューターがあって、これを使ってなにか新しいものを作る側になりたいと思うようになりました。そこで初めてエンジニアを目指すことにしたんですが、全くの未経験だったので、研修制度が充実している会社を探しました。

樋口:未経験からエンジニアになるって大変だったんじゃない?

鈴木:大変でしたね。知識は覚えればいいんですが、キーボードを早く打てないんです。研修期間中、タイピングゲームをひたすらやっていましたが、それでもできるようにならなかったですね(笑)

樋口:その会社でずっと働き続けようと思っていたの?

鈴木:最初からずっといるつもりはなかったです。基本を勉強するつもりで就職していたんで。いま考えるとひどい話ですけどね。順当なキャリアアップは全く頭になかったです。

樋口:鈴木くんが就職する2002年当時、就職氷河期で仕事は全然なかったよね。求人倍率1倍くらい。それでも、せっかく入社した会社に固執する気はなかったんだね。

鈴木:そうですね。いろんな業界のことが知れると思ってソフトウェアの受託開発会社に入ったのですが、あまりやりがいは感じられませんでした。
というのもプロジェクトにアサインされてプログラムを書くのですが、使っている人の顔がわからない。納品されたらどう使われるかもわからない。そんな状態のまま、また次のプロジェクトへ。時には、終わっていなくても他のプロジェクトへ回されることもありました。

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PROFILE:鈴木淳也(すずき・じゅんや)Hamee株式会社 取締役
1979年生まれ。大学卒業後、独立系ICT企業で4年間受託開発に従事。「エンドユーザの傍で仕事がしたい」という思いで、携帯ストラップのECを展開していた株式会社ストラップヤ .com(後のHamee株式会社)に入社。実務を経験しながら、社内向けの受発注管理システムを構築し、同システムをクラウド(SaaS)型ECプラットフォーム「ネクストエンジン 」としてリリース、事業化。現在は滞留在庫に向き合うプロジェクト「RUKAMO」をはじめ、さらなる課題をテクノロジーの力で解決する為にTry and Error。

目の前の人を喜ばせる仕事がしたい

鈴木:そんな当時、ストラップヤ .com(2013年Hamee株式会社に社名変更)に勤めている友人から「エンジニアを探しているから来てみないか」と誘われました。普段、人のことを全然褒めない友人なのに「魅力的な人がたくさんいる」と言っていたので興味がわき、樋口さんに会ってみることにしました。そしたら、初対面で腕相撲しようって(笑)

樋口:そうだったそうだった。柔道の話とか強盗捕まえたって聞いて、じゃあ腕相撲しよう!ってなったんだ。

鈴木:あの日はいろいろ面食らいましたね。それまでの会社では隣同士なのにチャットで会話する環境にいたので、みんなが働いている隣で面接を受けたのも新鮮でした。

樋口:当時は出荷も同じ場所でしていたから倉庫兼オフィス。わちゃわちゃして、会社って感じじゃなかったよね。

ー研修制度が整っている会社から、よく転職しようと思いましたね?

鈴木:面接の日、樋口さんのやろうとしていることや会社のことをたくさん聞きました。エンジニアが誰もいないカオスな環境は、なにか新しいものをつくり出したいっていう私の初心を思い出させてくれました。

樋口:いま考えると、最初のエンジニアが鈴木くんでラッキーだったよ。いろいろ相談しやすくて。鈴木くんは新しいことを面白がってくれるエンジニアだけど、もし違うタイプだったら、いまのHameeは無いと思う。

鈴木:私はプログラム書いて終わりっていう仕事の仕方が嫌だったんです。ちゃんと使っている人のことを理解して、作って、フィードバックをもらいたかったんです。その点、この会社は、褒められるのも怒られるのも直接。大変だけどやりがいもある。なにより目の前の人を喜ばせる仕事は楽しいですよね!

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PROFILE:樋口敦士(ひぐち・あつし)Hamee株式会社 代表取締役社長
1977年生まれ。地元高校卒業、大学3年時に創業。その後、モバイルアクセサリーのEコマース、メーカー、卸売から、ECのマネジメントシステム、海外展開へと事業領域を拡張しつつ、2015年4月に東証マザーズへ上場、2016年7月東証一部へと市場変更。2021年7月から代表取締役会長に内定し、新規事業、クリ魂カルチャー浸透、経営者作りを進めていく。

後悔しながら前に進む

先日の取締役 比護さんのと対談記事では、鈴木さんと樋口さんの信頼関係が語られていましたが、2人の意見が割れることもあるんですか?

樋口:鈴木くんに「こういう機能作ってほしい」と伝えたら、NOと言われたことが以前は何度もあったよね。

鈴木:ありましたね(笑)
当時はきっと余裕なかったんです。以前は樋口さんの言っている本当の意味がよくわかっていなかった気がします。もちろん表面上はわかっているんですが、真意を汲み取れていなかった。
ある時、今まで樋口さんが言っていたことを思い返してみたら、時間が経つとだいたい合っていたんですよ。それからは、ピンときてなくても可能性があるんじゃないかと考えるようになりました。

樋口:鈴木くんに反対されて良かったこともたくさんあるよ。
まだネクストエンジンの名前もない頃に、良いシステムができそうだから他社へシステム提供しようという話になりました。その時に、インストール型にするかクラウド型にするか議論したよね。

ネクストエンジン:楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど複数のネットショップ・モールの受注、在庫、ページを一括管理し、発注、顧客管理、メール送信などの運営に必要な機能を揃えたクラウド(SaaS)型ECプラットフォーム

鈴木:2006年当時、今ほどクラウドが一般的ではなくて、受注管理や在庫管理のシステムもインストール型全盛でしたね。

樋口:顧客情報のセキュリティや処理の重さを考えたら、僕は自分のパソコンに保存するインストール型の方がいいと思ってたんだけど、鈴木くんは違うって。

鈴木:システムがネット上にないと全国には売れないじゃないですか。拡販を考えたら、営業マンが行かずに売れるものを作る必要があると思っていました。

樋口:あの時は議論したね~。30分くらい。

ー3日じゃないんですか!

樋口:そう30分。普段は3分だから(笑)

ー社長という立場を使って自分の意見を押し通すこともできたはずなのに、押し切らなかったのはなぜですか?

樋口:だって鈴木くんを信頼しているから。

鈴木:そう、樋口さんはいつもいろんな決断をさせてくれるんです。

ー確かに鈴木さんと話をしていて「樋口さんと相談する」って言う言葉を聞いたことがない気がします。

鈴木:任せてもらっていることにとても感謝しているし、責任も感じますね。今までたくさんの失敗もしたし、後悔したことばかりです。でも後悔のままで終わったら失敗。それを忘れずに前に進むことが、進化・成長につながっていくと思っています。

飽きない秘訣は、変化を起こす側にいるから

ー若手のエンジニアを見て思うことはありますか?

鈴木:もっとエンジニアリング以外のことを知ると良いと思います。せっかくHameeは事業会社でいろんな職種の仲間がいるので、他の部署とのコミュニケーションを積極的にとって情報を集める。そうすると自然と視座が上がって視野が広がるそれが作れるもののレベルを上げていくと思っています。

樋口:鈴木くんはいろんな情報への感度が高いよね。特にIT系への興味関心はすごい。そしてすぐ試す。
僕がネットを始めたのは1997年ごろ。まだネットの人口が700万人くらいの時でした。イノベーター理論で言うアーリーアダプターくらい。一般の人よりも早いけど、やっぱり遅い。鈴木くんはWindows 95が出る前だからね。完全にイノベーターだよね。

鈴木:何でもすぐ試してみたくなっちゃう。そして使いこなさないで飽きちゃうことも多いです(笑)
でも、Hameeには飽きないですね。人生で一番続いていることがHameeです。

ー前の会社と違って、Hameeの飽きない理由はなんだと思いますか?

鈴木:前の会社では、仕事はただ降ってくるもので、クライアントの要望を納期以内に作って納めるだけでした。その点、Hameeはキャッチできる情報の範囲が違うし、変化へも柔軟。そもそもの要望を見直す提案もできるし、仕事の成果も直に感じられる。自分が変化を起こす側にいるから楽しいんですね。これは立場の問題ではなく姿勢の違いだと思います。

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樋口:変化を起こす人とそうでない人の違いはなんだと思う?

鈴木:やろうとする人と、しない人の差だと思います。やろうと一歩目を踏み出すことはとっても大事。興味を持ってまずは手を挙げてみる。

「手を挙げたらなんか起こる」そう信じられること、その変化を楽しめることですね。怒られるとか、うまくいかないかもしれないという不安はないです。いや、不安はいつもありますね……。

樋口:僕もそう。チャンスを感じながらも、常に危機感はある。いつも背水の陣だと思っているもん。

鈴木:そもそも人生で思い通りにいったことなんてない気もするんですが、そのままやめちゃったら悲しいですよね。不安になっても頑張れるのは、未来が今よりもうまくいくって思えたほうが楽しいし、きっと面白いことになる。そう自己暗示をしています。

正解ではなく、直感で動かす新規事業

ー他にも若手にアドバイスしたいことはありますか?

鈴木:みんなお利口すぎてはみ出していない印象です。

樋口:お利口すぎるっていうと?

鈴木:みんなすごく勉強熱心で優秀なんです。でもみんなと同じ勉強をしてその通りにやっていると、優秀な普通の人になってしまう。勉強はとても大切なんだけど、気をつけないととんがりがなくなって、できあがるのは普通のもの。それじゃもったいないですよね。

樋口:鈴木くんは、どうやって知識や周りの意見を消化(昇華)しているの?

鈴木:良い意見や手法だなって思っても、言いなりではなくて参考に留めるようにしています。ユーザーの声もたくさん聞くけど、そのままを作るんじゃなくて、自分の考えをそこに乗せるようにしていますね

樋口:僕も鈴木くんも、プロダクトアウト思考なのかもしれないね。新規事業をやったことがない人は、マーケットリサーチをして答えを探そうとしている。

鈴木:そうですね。それよりも自分をペルソナとして捉えたほうが早いし簡単。

樋口:でも勘と経験だけでは、周りを納得させることは難しいよね。

鈴木:そういえばネクストエンジンも、結果が出るまでは社内の受けは悪かったですね。私は、全ての打ち手に答えはないので直感で動ける人のほうが新規事業には向いていると思っています。

ーそんな鈴木さんは、樋口さんの直感を理解するのに苦労しないんですか?

鈴木:樋口さんの直感。全部わかるわけじゃないですね(笑)。でも、わかろうとするから理解できるようになってきた気がします。

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Hameeは、自分よりすごい人たちの塊

樋口:僕は全然すごくないけど、先のことをある程度読める方だと思っています。みんながすんなり理解できるように伝えることができていたら、Hameeの売上も今の3倍くらいにはなっていたはず。でも3倍。鈴木くんがやっていたら100倍や1,000倍も充分あったと思う。

鈴木:私は、自分じゃなくて他の誰かがやっていれば1万倍になっていたかもって思います(笑)

樋口:鈴木くんは僕よりITのことを何でも知っているし、先を見ている。その上で、自分でプログラムもできるし、ある程度見た目も作れる。
あんまり多くを語らないけど安心感があります。不思議だよね。人のせいにしないし、人のことを悪く言わないからかな。

鈴木:樋口さんが自分のことをいいと言ってくれるように、私も会社のみんなのことをすごいと思っているんです。もちろん会社を成長させるためには、自分より優秀な人を採用しようと決めています。だから会社は自分より優れている人たちの塊。どうしたらその人が活躍できるのか?を常に考えています。


楽しむ姿勢と信頼関係。これで会社は面白くなる。

ーどうなるとHameeはもっと面白い会社になると思いますか?

鈴木:新しいことをやることだけが楽しいことではないですよね。
「今やっている仕事をどう捉えたら楽しめるのか」をみんなが考えられたらいいなと思います。結局、一番長くやっているメインの仕事を楽しめることが大事。

あの人の仕事は楽しい。私のはルーティンワークだからつまらない。この考えはもったいないです。ルーティンワークを削減する楽しさもあります。それができるようになれば、自然と仕事の範囲も広がって、キャリアもどんどん広がっていくと思います。

樋口:そうだね。そのためにも、みんながもっと動きやすくなるのが大事。会社って、大きい価値を生み出すために分業になっているけど、Hameeではお互いの信頼関係がまだ成熟していないと思っています。

「その話聞いてない」という雰囲気がまだあって、「あなたを信頼しているからいいよ」と進んでいかない。分業しているのに本当の意味での分業ができていないから、みんなで何度も会議しないと進まない。そうすると、自分が事業を動かしている感覚がなくなっていく。自分事じゃなくなって、結果として仕事がつまらなくなっちゃう。

だから、これからはもっとお互いの信頼を上げていきたいと思っています。本当の意味で分業して、一緒に働けるように。そして、みんなが自分で推進していると思えるようにしていきたい。そのためにも組織を同じカルチャーで包んでいきたいね

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さいごに

子どものような眼差しで、お互いをまっすぐに見つめる。相手の言葉をしっかりと受け止めて、自分に取り込む。2人の話している姿を見て、たしかに信頼し合っている様子が見て取れました。

仕事をもっと楽しみたい、もっともっと会社を面白くしたい。

そう考える方は、ぜひ目の前の仲間を信頼することから始めてみてはいかがでしょうか。

取締役同士の対談記事はこちら

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