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【詰方玉動きます双裸玉】「星入り角氷」 22.09.18.

CAUTION! 
純粋に指し将棋をベースにした好手・好手順等の創出を目指している詰将棋創作者はここでブラウザバックした方が良いです。質の低い手順に気分を害したり、SNS等で叩かずにはいられなくなる恐れがあります。

詰将棋創作者への注意

双裸玉では詰方玉が動かないのがふつう

双裸玉の探索を続けてきましたが、詰方玉が動く図は見たことはありませんでした。その理由は、飛車か角で王手をした後に利きを遮っている側まで追いかけ回し、更に玉で開き王手をする難条件をクリアする必要があったためです。ずっと想像上の存在でしたけれども、ついに見つけました。自分が知る限り、これは詰方玉が動く初めての双裸玉です。

・鷹羽狩行/みちのくの星入り氷柱われに呉れよ(1963年)
・小椋 佳/めまい(1976年)
俳句と歌詞から言の葉を拾ってきて「星入り角氷」と名付けました。

「星入り角氷」

初形図:対称形がキレイです

【初手~8手】
▲5六角  ▽6六玉  ▲6七金  ▽7五玉
▲8七桂  ▽6四玉  ▲6六香  ▽6五歩

持駒に銀がなく、角を上から打つと下の方に逃げこまれて詰まないので、初手は▲5六角の一手。これに対して▽7五玉は▲8七桂以下、▽7六玉は▲8八桂以下、▽6四玉は▲7四金以下の早詰なので作意2手目は▽6六玉となります。6手目桂頭に逃げる▽8六玉は▲7七金▽同玉▲7八金として▽8六玉には▲9八桂、▽7六玉には▲8八桂以下の早詰です。角の足が8九まで伸びているので、見た目よりも玉が狭いですね。

8図

【9手~16手】
▲同 香  ▽5三玉  ▲6三香成 ▽4二玉
▲4三歩  ▽3一玉  ▲3二歩  ▽2一玉

8手目(作意の▽6五歩ではなく)単に▽5三玉とすると、▲4四金以降▲7四角と飛び出す早詰があるため、歩の犠打でそれを阻止する意図がありました。10手目▽7三玉は▲8五桂以下、▽7四玉は▲7五金以下早詰なので▽5三玉。▲6三香成の追撃を▽同玉と取れば▲5五桂として、▽7二玉には▲6三金以下、▽7三玉は▲7四金以下、▽5二玉は▲7四角以下、▽5三玉は▲5四歩以下の早詰があります。

16図

【17手~24手】
▲2二歩  ▽同 玉  ▲2三金  ▽同 玉
▲3五玉Ⓐ ▽3三玉  ▲2五桂  ▽3二玉
Ⓐ:玉の開き王手

18手目の変化▽1一玉(18A図)を少し示しましょう。

18A図:▽1一玉

▽1一玉以下、
▲2一金 ▽1二玉 ▲3五玉 ▽2三桂(逆王手)
▲同角成 ▽同 玉 ▲1五桂 ▽3三玉
▲3四金 ▽3二玉 ▲4四桂 ▽4一玉
▲5二成香まで同手数駒余り(31手;18B図)。

18B図

ちなみに、途中▽2三桂に代えて▽2三歩or香の場合は以下の通り。
▲2一金 ▽1二玉 ▲3五玉 ▽2三歩or香
▲2四桂 ▽1三玉 ▲1四歩 ▽同 玉
▲4七角 ▽1五玉 ▲2六金 まで早詰(29手)
角が利くのが渋いです。

作意21手目、▲3五玉でようやく開き王手となりました。双裸玉における玉の開き王手を実現するには20手程度はかかるのでしょうか。本作は角でしたけれども、飛車の場合は受方玉を正面に見て詰方玉の横から打ってナナメ手前に追い回す必要があるでしょうが…… 考えただけでも実現不可能に思える手順です。

21図:開き王手

22手目▽3二玉(22A図)の場合は次の手順通り。

22A図

▲2四桂 ▽3三玉 ▲3四金 ▽2二玉
▲2三金 ▽2一玉 ▲3二桂成▽1一玉
▲1二金 まで同手数駒余り(31手)

また、22手目▽1四玉(22B図)の場合は次の手順通り。

22B図

▲2五金 ▽1三玉 ▲2四金 ▽2二玉
▲2三金 ▽2一玉 ▲2二歩 ▽1一玉
▲1二金 まで同手数駒余り(31手)

24図

【25手~31手】
▲3三歩  ▽2一玉  ▲1三桂不成▽2二玉
2三金  ▽1一玉Ⓑ ▲1二金Ⓒ まで31手
Ⓑ:▽3一玉なら▲3二金or歩成まで(終2手非限定)
Ⓒ:最終手余詰あり

26手目▽2二玉は▲2三角成▽同玉▲1三金までの早詰なので▽2一玉です。最後はどちらに逃げても頭金での詰みです。

31図:詰めあがり

スペシャルサンクス

窪田義行(空気から整えていく 環境派)峰王尊師:拙エレベーター詰に対して ”詐術的印象を与える” と迚も心温まる難癖を拝賜し、双裸玉を探索する契機を頂戴致しました。

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