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OKベイベ~!!/連載エッセイ vol.59

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.61(2010年・第6号)」掲載(原文ママ)。

この原稿を書いているのが、締切を大幅に過ぎた(!!)11月末。

今から3週間前、私は『ハンソ大学・修士号課程/第1回集中講義』に参加する為、韓国の地にいた。
そして今、TVから流れる彼の地の状況は、緊迫の度を増している。
何をできる訳でもないが、ただ半島の人々の心身の平安を祈るばかりだ。
『アジアの同朋達』は、今頃元気にしているだろうか…?

このコーナーにしては、珍しく殊勝な書き出しであるが、これが今の私の偽らざる本音である。
今回それ程、『自分はアジアのカイロを担う一員なんだ』と意識する事ができた『旅』であったからだ。

パスポートも3冊目になった私にとって、実は今回が初めての『アジア訪問』。

仕事関連で海外へ行く時は、大抵『カイロ先進地域』である北米に集中してしまう為、それも致し方ない事ではあるが、今回、初めて仁川(インチョン)空港へ降り立っての感想は…

『近っっ!!』

あっという間の到着である。

前日深夜に、お得意の『高速深夜バス』で岩手を出発し、上野から電車で成田へ直行。
そのまま飛行機へ飛び乗れば、正午前には仁川着である。

これでは、普段の関西方面への出張と時間的には大差ない。
『アジア』が予想以上に近い事に戸惑いを覚えながら、空港の某ハンバーガーショップで『プルコギバーガー』を食べて、自分が韓国にいる事を強制的に自覚させる自分がそこにいた…。

さて、空港にて全国の『同級生』が全員揃ったところで(今回は現地集合)、ハンソ大学のバスがお出迎え。
一路、大学へと向かった。

(ちなみに
 本来であれば大学まで直行の予定であったのが
 岩手から参加した何某の
 抜き差しならない『生理的欲求』により
 途中のサービスエリアへ寄り道をした事は
 内緒である!!)

大学についての印象は、『でかい…そして立派!!』。

私が教員免許を取得したI大学も、全校有数の広さ(ってか、構内を野生動物が徘徊する荒大さ??)で有名であるが、その比ではない。
さすが『教育大国・韓国』で、『№1私立大』の呼び声が高い教育機関だけの事はある。

ただ、それ以上に印象深かったのが、大学側の『ウェルカムな姿勢』であった。

これまで、カイロプラクティックを学びに海外大学へ行くと、それは北米であれ、豪州であれ、『先を行っている者が、後輩を導く』といったスタンスが主であった。

それが良い悪いという訳ではないのだが、今回は『一緒にやっていこう!!』という『同志的スタンス』が強く伝わってきた。
それが非常に心地よかったのである。

考えてみれば、医師(所謂『メディカルドクター』)にしかカイロの施術が許されないという、日本より厳しい法律の下、修士課程のプログラムまで作った大学、そしてそこに集う学生の熱意は相当なものである。

そんな彼等が、『一緒にアジアのカイロを創ろう!!』と手を伸ばしてくれている。
ありがたい話だ。

実際、講義は教授による全体講義と、大学院生であるTA(ティーチング・アシスタント)によるグループワークで進められたのであるが、そのTAの方々も、たいへんな『秀才揃い』であるにも関わらず、我々が既に学位(学士号)を取得し、現場で日々の施術にあたっている『臨床家』である事を理解し、尊重しながら講義を進めてくれていた。

その(アジア的)細やかな『気遣い』と、熱き『友情』に心から感謝したい。

そして…思わぬ『事件』は、そのグループワークの最中に起こる。

講義には一応、通訳として大学の日本語学科の学生が数名入ってくれていた(しかもボランティアで!!)のであるが、なにぶん『専門用語』となると訳すのが大変。

結果、私のいたグループでは、TAからの説明を、ほぼ英語でして貰って、それを『インチキ通訳』である私が日本語で解説するというスタンスを自然ととる形になっていた。

お互い、母国語ではない言語を使いながらの応酬で、スムーズにいかない場面もあったが、それを乗り越える過程がまた逆に、両者の緊張をほぐし、手前味噌ではあるが、我々のグループは、他に比べて『和気あいあい』と講義を進めることができていた。

と、その時、TAの女子学生が『我慢できない』といった様子で、急に吹き出してしまったのである…必死に通訳する私の姿を見て…!!

突然の出来事に、周囲は不思議がるものの、彼女から事情を聞いた男のTAも、通訳の学生も途端に大爆笑!! 
我々、日本から参加している者は、訳もわからず、まさに『ポカ~ン』状態である。

その後、涙を流して笑うTA達に聞いたところ、どうやら私が、韓国で2~3年前に大ブレークした、ある『一発屋のコメディアン』にソックリらしいのだ!! 

とりあえず、向こうの言うままに、決め台詞の『OKベイベ~!!』を、顎に手を添えながら低音のエェ声で発すると、またまた大爆笑!! 
後にも先にも、自分が知らない人のモノマネをして、あれだけの笑いをとる経験はないであろう…。

幸い、上記の理由から、他のグループに比べて講義の進行が順調だった事もあり、TA達が手持ちのPCで、動画投稿サイトを検索。

そのステージでの立ち振る舞いを見た日本の仲間達も一様に、『まんまだな…!!』と大爆笑!! 

他のグループからの軽いヒンシュクをかいながらも、それから数十分、グループワークが中断する程の盛り上がりをみせてしまった。

(その後、冷静になった我々は
 進行状況が他のグループに抜かれたコトを
 今更ながらに知り
 必死に巻き返すのだった…。
 但し、女性のTAだけは
 その後も私の真顔を直視できないという
 重い後遺症を抱える事となる…。)

思わぬところで、自分の『全アジア的可能性(お笑い限定)』を見出した私であったが、それは『公的な場』でも威力を発揮した。

今回、集中講義の最中に、同時進行で大学が様々な研究結果を発表する『カイロプラクティック国際会議』を企画しており、90分の大きな発表枠を託された師匠の『オマケ』的に、20分だけ私も発表する機会を頂いたのであるが、その冒頭部に英語で『OKベイベ~』ネタを披露。

会場の空気を掴む事に成功した事も、合わせて報告しておこう。

(むしろ
 『国際会議』という場をわきまえず
 更なる笑いを取りに行こうとする自分を
 制するのが大変であった…。)

そんな訳で、現地での試験もなんとかパス(恐らく…)。

日本での様々な課題提出&試験を乗り越えられれば、次の集中講義は半年後の予定。
一発ギャグよろしく『OKベイベ~』と余裕で彼の地の同朋達に再会できるよう、頑張らねば!!

(そして…笑いの次なるネタも考えネバ!?)


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