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春が来れば…/連載エッセイ vol.31

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.33(2006年4月)」掲載(原文ママ)。

『春が来れば…』。

最近読んだ本か何かの記事で『筆者の好きな言葉』として語られていた。
どんな苦境に立たされていても、この言葉を口にすれば僅かなりとも頭上に希望の光が射す。
その微かな道標を頼りに、自分は前へ進んでいける。
それがこの言葉を愛おしむ理由だそうだ。

この文章に出会った時、私は文字通り『膝を打って』賛同の意を表した。
何故ならば、私は久方振り、数年来の『苦境』に遭遇していたのだから…。

話は遡って、今年の初め。

私は例によって合衆国の地に立っていた。
ラスベガスにて開催される世界最大規模のカイロプラクティック・イベント『パーカー・セミナー』へ、昨年に引き続き参加する為である。

いつもの様にLA国際空港に降り立ち、いつもの様に入国審査で引っかかり

(これについては『ほねっこ通信vol.15&27』をご参照頂きたい。
 今年は事前にイロイロと工夫していったので
 手続きはいつもよりスムー ズであった。
 まあ、銃を携帯した方々が闊歩する『奥の間』に
 相変わらず連れて行かれはしたが…)

昨年とは打って変わって晴天続きのLAで買い物を楽しみ

(スミマセン!
 某『チョイ不良』雑誌の影響で
 『ピンキー・リング』なんぞ買ってしまいました!!)

手荷物の重量制限が厳しい国内線にて彼の地に辿り着いた。

2度目の訪問であり、ホテルに着いて早々ミーティングが在ったせいもあるが、今年のベガス滞在は比較的冷静に過ぎていった。

もちろん世界ナンバー1観光地を昨年以上に楽しんではいる。
しかし同時に、心の奥底では何故か必死にクールダウンさせようとする自分がいたのである。
そして、その『違和感』はセミナーが始まってから更に顕著になった。

妙に落ち着いた自分を持て余しながら、ある日セミナーの一環で、屋外の公園での野外セッションに参加していた時の事。

先程までメイン会場にて数千の聴衆相手に講義をしてきたあるスピーカーが、その足で我々のもとへ駆けつける場面があった。
遠くから小走りで、手を目一杯振りながら近付いて来る彼を視界に捉えた瞬間、私の脳裏に稲妻が走った。

『どうやったらそこまで絶対的にポジティヴでいられるのか?』

昨年の自分は、パーカー・セミナーの持つ圧倒的なポジティヴ感に酔い、羨望の眼差しを送った。
しかし今年の自分はそのポジティヴ感を貰う立場ではなく、与える立場になりたいと考え始めていたのだ。
その瞬間、『違和感』は『使命感』へと昇華した。

我ながら、大それた事を考えたものである。

しかし、壮大なる旅路の火蓋は切って落とされた。
それと呼応する様に、帰国後、私を取り巻く仕事環境は激変し、これまで数年かけて作り上げてきたものが崩壊しそうにすらなった。
まるで自分の意思を試されるかの様に…。

しかし『人生まさにscrap & buildの如し』。
今はそれすらカイロの神様からの『餞』と捉えている。

そして私は膝を打ちつつ、不敵に口ずさむのであった。

『春が来れば…』。


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