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【美容業界の裏事情】美容学校が美容室を審査する④ 美容室の採用戦略とは?
はじめに
前回は、美容業界の裏事情「美容学校が美容室を審査する」、審査される“美容室の声”についてお話ししました。
今回は引き続き、美容業界の裏事情「美容学校が美容室を審査する」、“美容室の採用戦略”についてお話しします。
※あくまでも私個人の見解になります。
美容学校が美容室を審査する
・美容室の採用戦略
前回お話しした通り、“美容学校は、美容学生に積極的に紹介する美容室(企業)を選定する際、その離職率で厳しく審査する”傾向があります。
その理由は、美容学校が入学生募集(広報)を見据えて、“美容学生の卒業後の離職率(初職就業期間)をなるべく低く抑えたい”からですが、それに不満や怒りを抱いている美容室(企業)も少なくないと思います。
結論として、“美容室が美容学生を採用するためには、(大きく分けて)下記のいずれかの戦略が有効”だと思います。
① 入社1年目スタッフの離職率を限りなく低く抑えて、美容学校から選ばれるようになる!
あるいは、
② 自社の実績、知名度を向上させて、自社を“有名美容室”にする!
MINXやGOALDのように、美容室の中でも突き抜けた存在になるということです。そうすれば、美容学校を介さずとも、美容学生からの求人応募がたくさん集まるようになりますからね。
ただ、近年、メデイア露出の多かった某美容室が
「自社は美容学校を訪問していないし、業者の就活イベントにも参加していないが、毎年新卒募集が集まっている!」
とSNSでイキって発信していたものの、1年後には“美容学校を訪問し、業者の就活イベントにも参加していた”のを見ると、
やはり、“入社1年目スタッフの離職率を低く抑えること”が、美容室が美容学生を採用する上で、一番有効な戦略かもしれません。
・美容室の「新卒採用の動向」について
確かに“離職率が低いこと”は、美容学生が就職する美容室(企業)を決める上で、重要な指標の一つだと思います。
ただし、美容学校で「就職担当教員」として約10年間働いていた私からすれば、就職する美容室の良し悪しを決めるのは、離職率だけではないと思います。
中長期的に“美容師としてのキャリア”を考えれば、スタイリストの「指名売上」や「年収」、「社内のキャリアパス」も就職する美容室を決める上で重要でしょう。
そもそも、「美容室の離職率が高い!低い!」といっても、美容学校毎の校風・教育方針”と“美容室の社風・教育方針”の相性もあり、離職率が美容学校毎に偏るケースもあります。
「美容学校Aの卒業生は入社しても、すぐに離職してしまう…」一方で、「美容学校Bの卒業生は毎年入社しているが、離職者が0!」なんてことも現実にあるのです。
また、離職率以前に“卒業生の就職実績”がなくても、美容学生が働く上で魅力的な美容室もあると思います。
特に、設立して間もない美容室は、新卒採用の実績が少なくて当然ですからね。
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そして、“新卒採用に苦戦している美容室”の中には、上述した内容を理解している美容室も存在すると思います。
それにもかかわらず、近年、“新卒採用に苦戦している美容室は、何の策もなく、美容学校から「離職率の審査」でいいようにあしらわれている”ように感じます。
美容室は、美容学校に会社案内を送付したり、漠然と美容学校を訪問して
「学外の合同説明会に参加させて欲しい」
「美容学生を紹介して欲しい」
などと媚びてお願いするものの、
美容学校から離職率を理由に締め出されて、一向に新卒採用できない…の繰り返しに見えるのです。
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“就活イベントの集客(美容学生の動員)に苦戦している業者(美容業界の求人広告会社など)”も同じ状況に見えます。
就活イベントを主催する業者が変わっても、参加する美容室のラインナップはほぼ同じです
就活イベントの中身も
「東京の有名美容室◯◯◯が参加!」
「トータルビューティー企業が多数参加!」
「美容室が美容学生をドラフト指名!」
など、どれも変わり映えしません。
そして、業者も前述した美容室同様、漠然と美容学校を訪問して
「授業の時間を使って、美容学生を就活イベントに参加させて欲しい」
などとお願いするばかりで、美容学校とのパイプ(信頼関係)を作れません…。
その結果、就活イベント古参の業者が、“就活イベントに参加する美容室を「離職率の低さ」で厳選する新規参入業者”にパイ(美容学校の支持)を奪われてしまうことも起きているのです。
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結局、“美容学校が重視する「離職率の低さ」以外の魅力”をアピールできる美容室(業者)は、非常に少ないのではないでしょうか?
私は“新卒採用に苦戦しているが、美容学生の就職先として魅力的だと思える美容室”も知っているので、そんな美容室には、
「前例に囚われず、採用活動に挑戦し、そこで働く美容師さんが幸せになれる美容室を作って欲しいな」
と思います。
最後に
今回の記事は以上になります。
このnoteでは、私が約10年間「美容学校の就職担当教員」として働いていた時の体験談に基づいて、美容業界の新卒採用の裏側や、美容学校の裏事情など、美容業界の闇を曝け出していきます。
コメントや質問などもお気軽にいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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