俳句集団パエリア

2021年12月結成の俳句集団。当面は季刊雑誌『パエリア』として俳句の発表を行います。…

俳句集団パエリア

2021年12月結成の俳句集団。当面は季刊雑誌『パエリア』として俳句の発表を行います。次回発表は3月25日(予定)です。 取材を含めたお問い合わせは編集人・渡理(paella.haikugroup2021@gmail.com)まで。

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『パエリア』創刊号(2021/12/25発表)

ごあいさつ こんにちは。そしてはじめまして。『パエリア』編集係です。ご覧いただきありがとうございます!  この『パエリア』創刊号は、私たち「俳句集団パエリア」の活動を定期的に発信する、第1回目の発表です。note上で仮想的な「雑誌」として発表を続けていくことを目標にしています。俳句だけではなく、私たちの作品を楽しんでいただけるような文章や、俳句にまつわるエトセトラを扱っていく予定です。詳しい内容はこの記事の中のリンクから、確認できるようになっています。他の記事とも併せてお楽

    • 【俳句鑑賞】先人俳人へのオマージュ(三)野澤節子―命との対話

       我々自身「俳句をたのしんでいる」と周囲に伝えたとき、生きた化石を見るような視線を送られたことは一度や二度ではない。確かに俳句は伝統ある文芸だが、その中で多くの俳人が挑戦を続けてきた。荒田わこの連載「先人俳人へのオマージュ」、今回は野澤節子を取り上げる。 野澤節子―命との対話荒田わこ  新型コロナウイルスのため私達の世界が一変し、遠出をすることが困難になって久しい。  野澤節子 (1920-1995)。  若い時代を脊椎カリエスのため自分の部屋から出ることもままならな

      • 【俳句鑑賞】先人俳人へのオマージュ(二) 鈴木しづ子―伝説の人 その②

         我々自身「俳句をたのしんでいる」と周囲に伝えたとき、生きた化石を見るような視線を送られたことは一度や二度ではない。確かに俳句は伝統ある文芸だが、その中で多くの俳人が挑戦を続けてきた。荒田わこの連載「先人俳人へのオマージュ」、今回は前回「鈴木しづ子―伝説の人」の続編である。 鈴木しづ子―伝説の人 その②荒田わこ 炬燵に眠る夢の中でも嘘をつく 渡理いすか  ぬくぬくと心地よい炬燵の中で眠っている。人によっては最高の幸せと言う人もいるだろう。そんな気持ちの良い眠りの中で嘘

        • 【俳句鑑賞】先人俳人へのオマージュ(一)鈴木しづ子―伝説の人 その①

           我々自身「俳句をたのしんでいる」と周囲に伝えたとき、生きた化石を見るような視線を送られたことは一度や二度ではない。しかし俳句とはただ過去にあるものなのだろうか。確かに俳句は伝統ある文芸だが、その中で多くの俳人が挑戦を続けてきた。今回から荒田わこが連載する「先人俳人へのオマージュ」を通して新たな視点で俳人に触れてみよう。 鈴木しづ子―伝説の人 その①荒田わこ  現代の俳句を目にして先人の俳句やその境涯が浮かんでくることがある。  『パエリア』創刊号から思い当たったのは鈴木

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        『パエリア』創刊号(2021/12/25発表)

          【俳句エッセイ】生活と季語|男雛・女雛

           その人は、小学生の息子と幼い娘を連れ、鞄ひとつで逃げてきた。地元で一目置かれる夫には経済力があり、デキる男の常で口も立ち、つまり押し出しがとても良かった。家庭内という密室で繰り返される夫からの身体的・精神的暴力を彼女がどんなに訴えても、周囲の誰も、実家の両親さえ信じてはくれなかった。  そんな1人の女性とその子供たちが、これまでとは別の人生を生き直すためのサポートをする人たちが世の中には、いる。かくまい、安全な住居と、話のわかる仕事の雇い主を探し、夫に探し出されないよう子

          【俳句エッセイ】生活と季語|男雛・女雛

          【俳句エッセイ】はたらく・はいく|第2回「草餅」

           俳句をやっているというと句会をしたり自然の中へ句帳を持って吟行に行ったりと、元気な老人の趣味というイメージがあるだろう。  でも実際には俳句には多くのメリットがあり、それは俳句を作ることや読み手になることだけではないと思う。私はソーシャルワーカーとして福祉現場や医療現場に行くことが多いのだけれど、俳句って心を豊かにするものだなあと感じる現場に出会うことがある。  例えばコロナウイルス蔓延の影響もあって施設の高齢者は外に出る機会が極めて少なくなっている。以前はよく話をした

          【俳句エッセイ】はたらく・はいく|第2回「草餅」

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|渡理いすかの俳句②

          パエリアのメンバーは、俳句の作り手であり、また読み手でもある。エイミーアットマイテーブルによる、『パエリア』の俳句鑑賞。今回は創刊号の作品の中から、渡理いすかの作品を取り上げて鑑賞した後編。俳句を読み方がわからないという方にも、読み解きの補助線となるはず。 『パエリア』創刊号の作品に寄せて(後半)エイミーアットマイテーブル 嘘をつく男直立鳥兜 炬燵に眠る夢の中でも嘘をつく  なにせ連作のタイトルからして「嘘」であるから、渡理は今回そうとう嘘にこだわっている。一句め、直

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|渡理いすかの俳句②

          【俳句エッセイ】はたらく・はいく|第1回「シクラメン」

           シクラメンは早いものでは初冬から鉢植が出回っている。でも歳時記では春の季語。冬から出回っているのは温室育ち。ひっくり返ったような花の形状が特徴だ。色は赤、白、桃色など。最近は花びらがフリルのように縁どられているものもある。サクラソウ科の球根植物だという。ガーデンシクラメンという名前の小ぶりなものはパンジーなどと同じように花壇に植えられている。  そういえばシクラメンの鉢植を老人ホームの受付で見かけることがある。フォルムの美しい花数の多い高級そうな感じのシクラメンは人生の円

          【俳句エッセイ】はたらく・はいく|第1回「シクラメン」

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|荒田わこの俳句②

           パエリアのメンバーは、俳句の作り手であり、また読み手でもある。エイミーアットマイテーブルによる、『パエリア』の俳句鑑賞。今回は創刊号の作品の中から、荒田わこの作品を取り上げて鑑賞した後半の文章をお送りする。俳句を読み方がわからないという方にも、読み解きの補助線となるはず。 『パエリア』創刊号の作品に寄せて(後半)エイミーアットマイテーブル カトレアの鉢をはみ出す根が嫌ひ  荒田はふだん嫌いとか絶対に言わない。話し言葉を慎重に選ぶ人である。だから余計に面白くて句会で取っ

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|荒田わこの俳句②

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|渡理いすかの俳句①

          パエリアのメンバーは、俳句の作り手であり、また読み手でもある。エイミーアットマイテーブルによる、『パエリア』の俳句鑑賞。今回は創刊号の作品の中から、渡理いすかの作品を取り上げて鑑賞した前編。俳句を読み方がわからないという方にも、読み解きの補助線となるはず。 『パエリア』創刊号の作品に寄せて(前半)エイミーアットマイテーブル  渡理いすかの首は長い。首が短い私は人様の首の長さに対し敏感なので、渡理の外観に抱く印象はほぼ首だ。と思っていたら連作中、首にまつわる句が3句もあるこ

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|渡理いすかの俳句①

          【俳句エッセイ】生活と季語|ぶり+大根

           俳句の世界には、「二物衝撃」ということばがある。俳句の作り方に関係する言葉で、詳しく述べると長くなるのだが、俳句の中にはひとつの句に関連しあわない大きく2つの要素、主に季語とそれ以外の2つが並んでいるものがある。「二物衝撃」は、正味17音・十数字という短い形式の中で、全く異なる2つの言葉が同居することによって醸し出される味わいや面白み、気配とでもいったら良いだろうか。このように、説明をする側もされる側も捉えにくい、本当はとても淡くて形容し難いものであるのに、それを「衝撃」と

          【俳句エッセイ】生活と季語|ぶり+大根

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|荒田わこの俳句①

           パエリアのメンバーは、俳句の作り手であり、また読み手でもある。エイミーアットマイテーブルによる、『パエリア』の俳句鑑賞。今回は創刊号の作品の中から、荒田わこの作品を取り上げて鑑賞した。俳句を読み方がわからないという方にも、読み解きの補助線となるはず。 『パエリア』創刊号の作品に寄せて(前半)エイミーアットマイテーブル 照紅葉釣つた魚の戻さるる 行秋や波打ち際を魚の影  荒田わこは、ふんわりしている。なぜか魚が出てくると句が冴える。キャラと矛盾しない穏やかな作風が持ち

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|荒田わこの俳句①

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|禾門の俳句②

           パエリアのメンバーは、俳句の作り手であり、また読み手でもある。エイミーアットマイテーブルによる、『パエリア』の俳句鑑賞。今回は創刊号の作品の中から、禾門の作品を取り上げて鑑賞した第2回。俳句を読み方がわからないという方にも、読み解きの補助線となるはず。 『パエリア』創刊号の作品に寄せて(後半)エイミーアットマイテーブル 一日がピエンと過ぎた空見過ぎた  ぴえんは2018年ごろから使われ始めたらしい。2019年「JC・JK流行語大賞」コトバ部門 第1位。同年「ギャル流行

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|禾門の俳句②

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|禾門の俳句①

           パエリアのメンバーは、俳句の作り手であり、また読み手でもある。今回からはじまるのは、エイミーアットマイテーブルによる、『パエリア』の俳句鑑賞「パエリアの試食」。今回は創刊号の作品の中から、禾門の作品を取り上げて鑑賞した。俳句を読み方がわからないという方にも、読み解きの補助線となるはず。 『パエリア』創刊号の作品に寄せて(前半)エイミーアットマイテーブル 犬のあと猫きて異形なす家族  禾門は美しい白猫を飼っている。以前は犬を飼っていたと聞く。常に人や動植物と共に在り、追

          【俳句鑑賞】パエリアの試食|禾門の俳句①

          「なんで俳句って○○?」③リズム編(下)~句またがり~

           こんにちは。そしてあけましておめでとうございます!「パエリア」編集係です。いつもご覧いただきありがとうございます。  少しずつこのシリーズも進んでまいりましたが、今回は前回の続きです。創刊号をお読みいただいた上で、ご覧いただければと思います。  この記事シリーズは、私たちの俳句を楽しんでいただく糸口を見つけていただくために、ちょっとしたガイドラインとなったらいいな、と思い作った記事の一つです。この記事では、前回に引き続き、俳句の「常識」と現実のギャップにもやもやする方に

          「なんで俳句って○○?」③リズム編(下)~句またがり~

          「なんで俳句って〇〇?」②リズム編(上)~字余りと字足らず~

           こんにちは。「パエリア」編集係です。いつもご覧いただきありがとうございます。  先週の土曜日、俳句集団パエリアとして初めてのnote投稿=発表を行って、数日が経ちました。皆さんからの反応をいただき、編集担当としても大変嬉しく思うとともに、メンバー一同大変喜んでおります。「まだ読んでいいないよ」という方は、ぜひ創刊号をご覧くださいね。  しかしながら、読んでいただいている方の中から、やはり「言葉が難しすぎた」「そもそも日本語なの?」「何が言いたいのかわからなかった」のよう

          「なんで俳句って〇〇?」②リズム編(上)~字余りと字足らず~