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和菓子のような作品

週末は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

2006年12月8日に投稿したブログより。

不思議な話である。

でも懐かしさもある。

上品で、繊細で、ちんまりと箱に納まった高級な和菓子の詰め合わせのような作品。

純粋に和である。

ここで描かれる風情を多言語に翻訳するのは至難の業だろうと思う。

夢か現か、出現するこの世のものとは思われぬものたちを淡々と受け入れていく主人公。

守る家に住んでいた亡き友は、気が向くと掛け軸の中から抜け出てくる。

まるで、映画でもやっていた居酒屋ゆうれいのようなシチュエーションである。

で、話自体のトーンは、読んでいて限りなく蟲師とダブっていく。

読んだから凄い感銘を受けるとか、何か胸が高揚するとか、そういうものではないけれども、これこそ読書というものを感じさせてくれる作品。いつものように一気読みとかいうのではなく、言葉ひとつひとつをなぞりながら、秋の夜長に、じっくりと向き合って、しみじみと、急がずに味わいたい珠玉のような一冊。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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