ひさびさの伝奇小説
週末は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
2006年11月29日に投稿したブログより。
過去の作家の良いとこ取りに、独自の要素を加えて、どんどん変態中です。
タイトルからも分かるように、柳生新陰流がメインの時代小説。表題作を読み終わるまでは、てっきり長編かと思ってましたが別に十兵衛だけが主役じゃないのね。
で、過去の柳生モノ、隆慶一郎の柳生刺客状や柳生非情剣とか、五味康祐の柳生武芸帳に近い短編集となっております。
ただ、隆慶一郎は最高に面白い伝奇物語(ご存じない方には「花の慶次」の原作者だとお伝えしておきます)を描きまくっていたわりには、柳生モノの短編はわりとオーソドックスな感じの時代小説に仕上げていたような覚えがあります。
その点、この作家はもうめちゃくちゃです。
隆慶一郎の史実に虚構を織り交ぜる技術に、山田風太郎の荒唐無稽な忍法活劇を絡ませた、何とも妖しいお話です。
しかもこの作家の特徴が、朝鮮。日本の史実に、朝鮮での日本に関わる史実を織り交ぜます。まあ、未だかつて朝鮮のみに残されている日本人に関する文献を時代小説に取り込んだ人はいないのだろうけども、その朝鮮の味付けの妖しげなこと。
百済の妖術師、なんて言葉の響き自体、めちゃめちゃ妖しげな雰囲気を醸し出しています。
だから、読んでいると、いかにはちゃめちゃな術とかが出てきても、まあ朝鮮の技ならあり得るなぁ、何て感じに思えてきちゃうから不思議なもんです。
柳生モノはシリーズ化しているようなので、今後の文庫化がとても楽しみですわ。
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