ムダムダ星屑キップ

無駄があるから美しさが生まれるのです

画家の先生が、ポロリと呟く。
この授業では、毎回絵の具を使って課題をする。

決められた枠内にムラなく綺麗に塗るためには、
余分に色を作ることが必要なんだって。

巷で“美しい”と言われるようなデザインは、
合理的かつ効率的で、無駄な模様が一切無い。

無印の食器も、モード系の服も、建物だって。

だから、先生の零す「無駄があるから美しい」
という一言は、どこか前近代的でありながら、
新しい世界の芯を捉えているように聞こえた。

切符派な所

家族や友達に、恋人の好きな所を聞かれる度、
私は、こうやって食い気味に答える。

ICカードも、モバイルICOCAも持たずに、
券売機を探しては、端っこの改札口を通る背中が
たまらなく愛おしいのです。

ピュッと一瞬で吸い込まれてしまう紙切れが、
今の私達を、ここへ導いてくれるのねって。

だからさ。
あなたといる時だけは、いつものICカードを、
封印して、お揃いの切符を買うことにしたよ。

夜の公園で何時間もお喋りできる所

お金のない私達は、公園デートばかりしている。
そういえば、初デートも万博公園だったっけ。

ちょっと寒いねって、まだ帰りたくないねって、
肩を寄せ合いながら、手を繋いで、未来の私達を
想像する深夜2時。

早く帰って、お風呂に入って、寝れば良いのに、
どれだけベンチに座っていても、名残惜しくて。

ねぇ、あのさ。
これからもっと色んな無駄を大切にしようね。
ほんの少しの欠片だって見逃さないんだから！

いつの日か、この星屑が、とびきりの天の川を
織りなすと信じて。