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未来永劫君は本命

こんなの、ただの儀式だと思ってた。

“私達ちゃんと友達だよね?”

そんな確認をするために、チョコやクッキーを、夜中に小さくラッピングしてたっけ。

50個作って、似たような物体を50個貰う儀式。
溶かして、固めて、キラキラまぶしたお菓子達。

私は、どこの誰が作ったのか分からないモノを
食べれない人間だったので、名前の書いていない
チョコ達は、全部結局ゴミ箱に捨てていた。

こんな等価交換なんかしなくても、私達はずっと
友達であり続けるはずなのに。

誰かの作った塊が腐っていくたびに、なんだか
大切な関係まで腐敗する気がして怖かった。

なんにも楽しめない自分に、うんざりしてた。
バレンタインなんて、無くなれば良いのに。

❄︎ ❄︎ ❄︎

8年後の今日。

大好きな君と過ごす初めてのバレンタイン。
当日は会えないから、ちょっと早めだけどね。

私はもう、1ヶ月も前からソワソワしていて。

阪急の9階から1階まで入念に下見をした。
見つけたよ。君にぴったりのチョコ。

セゾンドセツコの詰め合わせ。
雪の結晶と雪兎の模様を見た瞬間これだ!って。

私のことを「ゆき」って呼んでくれるのは、世界
で君だけなんだもん。私達にピッタリじゃない?

「わあ!ゆきが3人だね!食べるの勿体無いよ」

真っ先に私の思惑に気づいてくれる所も、
今からホワイトデーのお返し考えてくれる所も、
宝物みたいにキュッと大切に抱えている所も。

全く、君はいつも想像を遥かに超えてくれるな。

バレンタインの楽しさを教えてくれて、ありがとう。

来年も、再来年も、未来永劫、私の本命チョコであり続けてよね。

約束だよ。ハッピーバレンタイン。

阪急はえげつない人で吐きそうだったけど、
君の笑顔を想像するだけで、そんなの吹き飛ぶんだから。
やっぱり君は偉大だ。

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