雪戸桁

ゆきどけたです。日記、短歌、読書記録など。

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    自作短歌です。

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    2023年〜の読書記録です。

最近の記事

宝石パスタ

夕暮れの日差しが生み出す陰翳にとらわれあなたと世界になった 明るさと彩度を上げた写真からみえない色を目印にして 僕が見た あなたが見た 二匹の犬 つながっている二個のハイチュウ ビジュという言葉を使える人間の溢れた街で栞をつくる カーテンの隙から差した残り火が眠たい体を軋ませている 「まいどありがとうございますRA13」螺旋の文字がトイレでひかる カレンダーの4枚目にいるちいかわがかわいた僕の代わりに泣いてる この本はすれ違うきみを誘拐する用の本です 二秒前から

    • 読書記録#5

      あつい。 最近メルカリを始めて、いらない本や漫画を選別していたのだが、ほとんど減らなかった。手元にある本は、少なからず何か記憶と紐付いているものがほとんどで、やっぱり僕は紙の本が好きなんだと思う。 本棚を振り返ってみると読書記録を付けていない本がいくつかあったので、この機会に残そうと思う。 『虐殺器官』伊藤計劃 タイトルと真っ黒な装丁からハードな内容を想像させられるが、案外そこまで残虐な内容には感じなかった。 主人公はアメリカの政府機関の一部として、ターゲットの暗殺を行

      • ふりかえ_2024_6_28

        今日は『ルックバック』という映画を観に行った。原作の『ルックバック』の、漫画ならではの良さがうまく映画になっていて、とてもとてもよかった。間のとり方や表情の動き方、台詞の力の抜け具合など、みんなが原作の漫画から受け取った魅力がそのまま、音楽もありそれ以上に作り手の熱量を感じる映画だった。 とにかく絵がすごい。藤野と京本がずっとかわいかった。公開初日なのもあってか、シアターを出た後にパンフレットを買う人たちがたくさんいて驚いた。また観たい。 昨日は夜遅くまでNetflixの『

        • (後入れ)サバイバーたれ(命令) 2024_6_26

          今日は忙しかった。 人は忙しくすると余裕を失って、何かがむき出しのままコミニュケーションをする。職場の人たちはみんないい人たちだけど、それでもうまくいかないこともある。今日はうまくいかない方の日だった。 三月に大学を辞め、今の職場でフルタイムで働きはじめてから、だいたい三ヶ月が経った。ようやく将来のことを少しずつ考えられるくらいには回復してきたと思う。そう思えるくらいになった。すっかり閉じこもっていた一年前までは先のことなんてひとつも考えられなかったし、退学直前の数ヶ月前な

        宝石パスタ

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          3本
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          5本

        記事

          ずしり_2024_6_23

          にちようび。朝から大雨警報が出ている。 ここ数日は日の長さのせいでどんなに疲れていてもなぜか夜更かししてしまう。昨日も例に漏れず2時ごろまで起きていたため、今日の起床は12時。休みの日が2日あれば、1日目は大半が睡眠に消えるのは世の常、人の常だ。パスタを茹で、部屋で雨音を聞きながら、そういえば久しく市街地に遊びに行っていないことに気づいた。ちょうど気になる雑誌や本もあったのでお出かけすることにした。 昼のペペロンチーノが重たい。歩きながらそう思った。目当ての雑誌も本も見つ

          ずしり_2024_6_23

          車輪の再発明のために積み上げたひかりのかけらと言葉のレール

          指で編むあなたのための栞紐 人はいるけど静かな駅で  抱擁を夢見るこどもははかなくて、はかないならば僕ではなくて 嘘をつく時によく耳を触りたい 君を騙したい 僕を騙したい 天然水 今日もあなたを憎まずにいられてよかったなんにもなかった かまどに火 箱にしまえばそれまでの大事なものを使い続ける かまどに火 たった一つの薪だから燃え尽きないよう祈りもくべた ペンネンネンネンネンネネムのための子守唄 丸メガネ 星 くらくてまぶしい しがみついた藁が存外丈夫だった から

          車輪の再発明のために積み上げたひかりのかけらと言葉のレール

          反復_2024_5_27

          五月が終わる。今月はかなり毎日の反復だった。新しく増えた仕事にも少しずつ慣れてきて、毎日似た日々を繰り返していた。中旬には好きな人が会いにきてくれてとても助かった。今メンタルが安定しているのはそのおかげだと思う。相変わらず経済的には苦しい状態だけど、この分なら首の皮一枚繋がって毎月やっていけるかな、というところだ。奨学金返還手続きの書類がようやく届いた。届いたけど放置している。封筒を開けるところから頑張りたい(予定)。 短歌の創作が不定期になってきた。ほぼ毎日触れてはいるけ

          反復_2024_5_27

          読書記録#4

          2024年4月、5月 「これはペンです」円城塔 図書館で借りた本。久しぶりに好きな作家さんを見つけた。意味は破綻していないし普通に読めるけれど、よく分からない文章の癖になる感じ。文字というものは人を表すに足るものなのか、一度書いた文章の再現についてなど、節々に考えながら読むのが楽しかった。「これはペンです」「良い夜を持っている」の二部構成で、どちらもある人物を親族(?)が記述するという形をとっている。難解だけどアイデアに驚かされた作品。 「オブ・ザ・ベースボール」円城塔

          読書記録#4

          赤いシークバーは春をすぎたあと_2024_5_3

          四月が終わった。大切な人との限られた時間はあっという間に過ぎ去って、つくづく平凡に時間を憎んだりもするけれど、振り返ってみれば一日一日を着実に重ねた日々だった。 四月はずっとそんな感覚があった。忙しくしていれば時間はあっという間だと言うけれど、それにしたって一日八時間ほども費やしていることがあっという間に感じられるわけがない。毎日を積み重ねる感覚だけが、寝る前にカレンダーにごほうびシールを貼るたびに去来していた。 五月はたくさん本を読もうと思う。毎月言っている。ひどい不安や

          赤いシークバーは春をすぎたあと_2024_5_3

          じぶんじぶん_2024_4_21

          雨。 今日はおやすみの日。だけれど前日の夜中に目が覚めてから、なぜか眠れなくなってしまった。意識が途切れない。言葉が渦巻く。まどろめないことの辛さを久々に痛感した。 抑うつがひどかった時は、頻繁にこの状態になっていた気がする。眠れないことがとても怖かった。不安を紛らわすためにラジオを流し、音楽を聴き、チョコレートを食べる。そんな夜を繰り返していた。 おそらく自分は定期的にこの状態になる。それは疲れていようが、楽しかろうが辛かろうが関係ないのだ。こうなっては仕方ないので、意識が

          じぶんじぶん_2024_4_21

          座標_2024_4_19

          晴れ。 今日はおやすみの日だった。仕事がある日は本当に朝が憂鬱だけど、休日の午前中は満ち足りている。たくさん寝たけど、まだ午前中。予定は特にない。これからなんでもできる。そういう心持ちの状態が一番幸せだ。何にもしなくてもいい。実際に動いてしまえば、動いた分だけの結果が出てしまう。それが良いものであれ空虚なものであれ、何かしらの小さな後悔が一日の終わりに訪問してくる。 とはいえずっと布団にいるのも体調が悪くなってしまうので、昼からバスに乗り本屋さんに行った。病院にも行った。特

          座標_2024_4_19

          君はいる_2024_4_7

          大学を辞め、バイトの雇用形態が変わってから一週間。ちょうど忙しい時期なのもあって、毎日へとへとだった。あっという間といえばあっという間。あまり自分を省みる時間がなかったのは、今回はマイナスに働いている。体を動かして日々を終えることの喜びは、「この生活をこれから続けるのか、、」という憂鬱にかき消されている。ゆっくりできないことはつらい。 何か自分にとっての回復手段を確保しないと、また限界を超えてしまう、なんとかしたい。 「僕を肯定してほしい」という思いが強い。SNS上で、自分

          君はいる_2024_4_7

          4月、がんばろうね、無理せず!

          4月、がんばろうね、無理せず!

          短歌をつくる

          僕は短歌が好きです。 きっかけは定かではないけれど、Twitterで流れてくる現代短歌の自由さ、31文字でこんなにも引き込まれるものを作れるのかと、じわじわ好きになりました。 それからいま、短歌を作って出すということの魅力についてもだんだんとわかってきた気がします。僕は本を読むことが好きだけど、長い文章を書くのはあまり得意ではないし、先達の天才が書いた文章に触れるたび、才能の世界だな、僕が書き続けたところではたしてこんな文章が書けるのだろうかと諦めの気持ちになってしまいます。

          短歌をつくる

          読書記録#3

          2023_12〜2024_3 「三体」 「三体Ⅱ 黒暗森林」劉慈欣 「地球外生命とのファーストコンタクトは、たった一人の女性の破滅願望によってなされた」 かなり前から面白いと評判でずっと読みたかった本。その時はまだ文庫化しておらず、ハードカバーのみでなかなか手が出せなかったのだが、誕生日に母が贈ってくれた。いきなり文化大革命のハードな話から始まったのには驚いたが、読み進めるにつれどんどん面白くなっていき、あっという間に読み終えてしまった。黒暗森林のラストには納得の感動と

          読書記録#3

          上がり下がり

          小学校の時からよくわからない不安の種をぐるぐる考えている子供だった。ふわふわしていると言われて、実際ふわふわ頭の中を旅していた。その中に、上がり下がりの問題があった。 「なにかいいことがあると、悪いことがくる」という、教訓めいたフレーズが、ずっと脳みそに刺さっていた。 僕はとびきり優秀でもなければそこまでひどくもなかった。その状況がとても嫌だった。上手くいっていると不安になった。これから下がるかもしれないと。優秀になるのは無理だったから、小さな反抗をした。宿題をやらなかったり

          上がり下がり