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短歌をつくる

僕は短歌が好きです。
きっかけは定かではないけれど、Twitterで流れてくる現代短歌の自由さ、31文字でこんなにも引き込まれるものを作れるのかと、じわじわ好きになりました。
それからいま、短歌を作って出すということの魅力についてもだんだんとわかってきた気がします。僕は本を読むことが好きだけど、長い文章を書くのはあまり得意ではないし、先達の天才が書いた文章に触れるたび、才能の世界だな、僕が書き続けたところではたしてこんな文章が書けるのだろうかと諦めの気持ちになってしまいます。
短歌はその文字数の少なさから、余白をたくさん使えます。いい意味でも悪い意味でも、そこを読む人が自由に解釈できてしまいます。思わせぶりな文字列を並べるだけで、結構いい感じになります(自己満かもしれないけど)。自分の気持ちをうまくそこに収められた時は、独特の気持ちよさがあります。才能があるなしに関わらず、楽しいです。

三月、一日一首を目標に作っています。
調子の良い日は一日十首ほど作れる時もあったのですが、日が経つにつれて結構大変だと思い始めてきました。もう少し作ってからnoteにまとめようと思ったのですが、仕事が忙しくなりそうなので今のうちに。



いつもよりゆるめにパーマをあててきた 
くるくる みて低気圧さん


ごと愛せ すぐに泣くとこ弱いとこ 人は鏡じゃないと言い切れ


急行の春の雲から飛び降りて着地するためのクリームの靴


いつまでも温かくない部屋の中 おそらくきちゃう明日をにらむ


犬たちが人の数だけいることに気づけば世界は少し光った


「飛びたい」と寝言を言った昨日から雲を隔てて一枚の朝


つくもがみのついた傘でぶっとばす 疲れた顔の大人のかかと


死にたさが何者かにより持ち込まれ フローチャートのはじまりを知るぼく


ごはんです!おいしいご飯できました!炊飯器から福音がある


7歳の僕の思い出に起因した悪夢の次を知るため起きる


寝ることは死後暇になる棺桶で 夢見るための練習らしい


たましいに紐づけられた苦しみは 死んだくらいで消えるだろうか


詰襟を首輪に例える感性で次はネクタイを首輪にする


きみにしか見えない僕はきみだけで完結できる世界を生きる


自動車のエンジンかかれば1℃だけあたたかくなった春 おいてかれた


飛行機は気づいてほしくて音を出す 淡い空でも一人じゃないと


どうしても自分を好きにはなれないが たまにかわいい魔法を使える


立ち止まる難しさから逃げ出して歩き続ける人は綺麗だ


のみこんだ言葉の数だけお守りを抱えて生きることのうれしさ


カラコロリ 春をお知らせする風に竹たちは浮きかすかに遠い


「軽やか」という言葉のかろやかさをあめだまにして舌で転がす


歩き方を忘れた人は飛び方を忘れた鳥より自由だろうか


日暮れどきおんなじ雲を指差した 後部座席の静かな二人


つめたさはきれいさのよこにあります 貸し出し棚の並びにどきり


ひたすらに短歌のリズムをとなえれば いつかの僕が少しよろこぶ


「わがまま」と名前をつけて通したいことをかわいくした 君の名は


食べるのだ 眩しい朝も 絶望だけが正しくて消えたい夜も


くずおれる 視界は淡く遠くなる めまいに乗じて知る春のきわ


「あの窓が眩しいせいで笑えない」くゆるガラス一枚の反抗(犯行?)


「すみませんご飯おかわり並盛りで」俳人だらけの吉野家なう


見知ってる景色に色を吹き込んだ春風みたいな君の左手


21  転んでひざをすりむいて笑えるくらい大人さ11


綿飴の雲から落ちる金平糖 まずは世界に砂糖をまぶす


身を刺すようなつめたさが春色のスウェットを着て往来を歩く


「とまれ」と「すすんでいいよ」をくりかえし 信号のない海まで行ける?


活字があなたをそこまで生かすから ぼくは電波で浮き輪をおくる


布団から知らないまちの情景を心に描く 夢にとりこむ


自分でも好きだなと思えるものを並べてみました。これからも作ります。

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